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2003年02月10日(月) クラミジア迅速診断キットの話(ちょっとずれたけど・・)

相変わらず若者の間ではクラミジアが蔓延しているようですが、いつも書くように、これは自覚症状がないために、余計に感染を助長するという悪循環に陥ってるところがあります。

 一度でもセックスした相手が、クラミジアと、風の便りにでも聞いたら、症状がないから大丈夫だろうなどと間違った確信は持たずに、専門医で調べてもらってください。
 「そりゃ男なんだから、いっぺんだけやったお姉ちゃんも、連絡がつくんなら教えてあげたら、それが人情ってもんでしょ、男ってもんでしょ」と、
 ちなみに私は若いお兄ちゃんに言っております。
 名前も知らない、携帯のアドレスもきかんかった、という、パートナーが結構多いものですから。
 時々、もうあんなヤツとは絶対やらんからいいんですとか逆ギレする方もいらっしゃいますが、オイオイ、それは違うんではないかい、と思います。
 そう思うでしょ?

 性行為感染症(STD)の人の中には、やはり後ろめたさもあって、症状さえ落ち着けばこなくってもいいやと自己判断して、通院をやめてしまう方がおられます。
 そういった人に最小限の通院回数で診断することが出来れば、ということで、クラミジア迅速診断キット(その場で判断できる)が見直されているそうです。
・・ということは、来なくなる人が結構いるということなのでしょうね?

 当院の場合は
 「今の性病は症状だけでは全く予想もつかないものもあるし、一番治療に困るのが薬の効かない淋病なんや。途中来なくなって再発して、結局直るまで1ヶ月かかったヤツがいるよ」とか
 「自分が治ってもパートナーがなおらんかったらまたなるし、隠しててもいっしょやで」とか
 「むらむらしてもオーラルセックスとかでもうつるんだから、そんなことしたらあかんで。絶対せないかんという状況になっても、最初からコンドームを装着、これは義務!」とか、
脅したりすかしたりしながら治療しています。
 医者の方も苦労しているのです。

 当院では泌尿器科ということもあって患者さんは男性が主体ですが、初尿で両方(淋菌・クラミジア)の診断が可能なPCR法を用いています。これが外注なのですが、約4日間で結果が出るため、その頃に必ず受診してもらうようにしています。

 それでも受診しない不届きものはたぶん5%くらいでしょうか。

 なんか論点がずれましたけど、このへんで。

(参考文献:日経メディカル2003年2月号,p51)


2002年12月09日(月) 日本性感染症学会(2002.12.7より)

熊本先生が、上記の学会で、全国医療機関に送ったアンケートの集計結果をまとめて発表されている。論旨と感想を。

・無症状もふくめるとクラミジア感染症の罹患率は19歳女性で13人に1名(推定)
→ワオって感じです。透析人口も600人に1名というデータを聞いた時、こんなに多いのかと少し実感したが、クラミジアはうちでも無症状で受診する男の子の半分くらい引っかかるもんなあ。もう国民病ですね、確かに。

・主な性感症罹患率は20代前半の女性で最も高く38人に1名の割合
→きちんとした愛にはきちんとした防備が必要だというのを、建前だけじゃなくって、教育の一環として教えなきゃやばいんじゃないの、ニッポン。コンドームの項を性教育の本から削ったお偉いさん、そんなことしてる場合じゃないと思うんだけどなあ。セックスするとかしないとかいう時代はもうとっくに終わってると思う。

・クラミジア・淋病は96年くらいから急増しており、特にクラミジアは無症候例が有症候例の4倍あると推定されている。高校入学くらいから急速に増加している。
「性感染症の急増は医療先進国の中で日本だけの異常な傾向で、高校からの性教育指導が重要だ」
→いつも書くけど、淋病はやばいよ。誰か淋菌性咽頭炎の臨床的な報告を教えてくれないかなあ。


2002年11月22日(金) 2002年9月集計のオキサロール注使用成績調査中間報告(中外製薬)より

オキサロールはH12.9発売された静注型ビタミンD3誘導体である。
当院でも10人くらいは使用しているのではなかろうか?
この薬が出るまでは、二次性副甲状腺機能亢進症に対してはビタミンD3の経口・経口パルスがメインで、その先はPEITやPTX(副甲状腺全摘)しかなく、なかなか治療困難な症例も多く存在していた。

発売後、二次性副甲状腺機能亢進症に対して、多施設で使用されているがその決まったプロトコールは未だ確立されていないのが現状である。

今回発売2年を過ぎ、上記のような中間報告が出された。
これが全国の施設の現状であるので、ある程度参考になるかな、と思いながらやっと目を通したので感想も含めて報告する。

1.副作用
・副作用として高Ca血症(Ca11.5mg/dl以上)が19.29%に認められた。
この出現は投薬4週以内が24.6%と最も多く、投与初期の注意が必要であると思われる。
Ca上昇すると、投与量を減量または中止するのがもっとも効果的である。

2.炭酸カルシウムの影響は?
・高Ca血症と透析患者さんのほとんどが内服していると思われる炭酸カルシウム製剤(カルタン)の影響は、統計学的には有意差を認めなかったそうである。

しかし、オキサロール投与によりCa11以上になれば、リンの値を見ながら、炭酸カルシウムも減らせる人は減らすようにしているのが、当院の現状である。
ちなみに当院でのリンコントロールは、P値だけでは、6.0以下を目標にしている。これでもまだ難しい人が多いのが現状である。

3.オキサロールの使い方

初回投与
・iPTH500以上 10*3が62.6%と最多 
減量はもとの容量の50%量を調整する場合が多かった
・iPTH500未満 5*3が78.3%と最多  減量はもとの容量の50%量を調整する場合が多かった

改善率
・iPTH500以上 投与4週で51.2%で低下率30%以上の改善
・iPTH500未満 投与4週で46.4%で低下率30%以上の改善

効くのは効くということである。
この報告では24週後までの追跡調査であるが、長期成績、また、減量の仕方に関してはまだまだこれからの段階である。
この報告では1回投与量を半分に減量してゆくやり方が最も多いとのことである。

4.個人的感想
・個人的には、リンのコントロールがうまくできていない人をどうするのか、どこまで下げるのか(巷では120とか150とか言われている、中外は150を目安にしている)、低Ca透析液を使用しなければならないのか?などが疑問点である。
早くCa上昇のないP吸着剤(リナジェル)が出てくれることを切望している。


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