Deckard's Movie Diary
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2008年09月02日(火) |
デトロイト・メタル・シティ |
『デトロイト・メタル・シティ』 あまりに評判が良いので観て来ました。結果は・・・別に観ることも無かったですね。まぁ、世代ギャップなのかもしれませんが、レッドカーペットでほとんど笑えないオイラには辛い映画でした。同じ仕掛けの笑いを繰り返して使うのは(子供が怖がるとか、牛とか)、それだけで興醒めでした。もちろん、繰り返し同じネタを使っても面白くする術がありますが、この映画にはそんなテクニックはありません。また、首吊りで登場するシーンなんて、幾らでも面白くなりそうなのに演出がヌルいので全く弾けません。火のついた煙草の扱いも何度も出てくると「まだやるのかよ!」という感じで痛々しくなってしまいました。際どいネタは取扱い注意なのにそういう繊細さもありません。松山ケンイチのナリキリぶりが評価されているようなところもあるようですが、極端な役柄というのは演じ易いので、両極を演じたからと言って、別にどうってこともありません。監督は『お父さんのバックドロップ』の李闘志男。相変わらず演出が下手ですね。やっぱり、オイラは“メタル・シティ”より“ロック・シティ”のが好きでした(苦笑)。あ、そうそう!タイトルバックが良かったです!
『闇の子供たち』 作る価値のある映画だし、観る価値のある映画だし、偽善的な結末でもないし、腑に落ちないシーン(銃撃シーンとか)とかはあるけれど、真摯な姿勢が十分感じられる仕上がりになっているのは間違いありません。それでも何故かもの足りなくなってしまうのは映画の難しいところです。まず、それぞれのキャラクターの存在感がイマイチ感じられません。特に移植を望む家族の描き方に不満が残ります。そういう事実を知ってまで移植を望むような親はほとんど居ないと思いますし、居たとしても、最悪のモンスターペアレントのような方達なんじゃないですか?っつーか、現在ではそういう事実で移植が行われるようなことはありえないでしょ!どうせなら、重要登場人物の“闇”の部分に焦点を当て、人間の底知れない“闇”の部分が“闇の子供たち”を産んでいるというアプローチに徹底した方が良かったような気がします。最後のシーン、記事の真ん中に鏡を置いた演出が良かっただけに、なんだかなぁ・・・の印象が残りました。
オイラのような出来そこないの人間はいつも心の奥底でとても人には言えないようなコトを考えたりしているのですが、どうにか理性で邪悪な欲望を抑えています。ところが、世の中にはオイラよりも“理性”の部分だけがちょっとだけ不出来なだけで“邪悪な欲望”を抑制出来ない人たちも居るワケです。邪悪な欲望は良い人、悪い人に関係なく心の中に住みつき離れません。今作は良い作品ですが、結局は問題提起だけに終わってしまっているのは否めません。人間の心の奥底に潜む“闇”の部分にもっと迫っていれば、もっと胸を切り裂かれるような気持ちにさせられたかもしれません。
最後に一言・・・血が流れ出てくるような幼稚な演出はして欲しくなかったですね。そんなシーンなんか要りませんよ!
『ひゃくはち』 多少なりとも野球に夢中になったことのある人は観て損はないと思います。映画は名門高校野球部に所属するベンチ入り当落線上の選手の悲喜こもごもの2年間を追っています。ぶっちゃけ、高野連にとっては噴飯モノでしょうけどね。だから、面白いんですけどね!彼等は当たり前のように煙草も吸えば、酒も飲み、監督はプロ野球のスカウトと思いっきり癒着し、その監督に気に入られようとあの手この手でアピールします。スポーツは勉強と違って努力しても持って生まれた才能を越えることは中々出来ません。村で一番でも、そんな名門野球部に入れば自分の順位がどこら辺にあるか分かるってモンです。監督から「お前らを試合で使う気は全く無い!」と200%と言われても、それでも彼等は簡単に諦めません。まずはベンチ入りを目指して競争。で、自分より年下のベンチ入りメンバーが故障すると「不謹慎だけど笑っちゃお!」と大喜びして、次に目指すはどうやってグラウンドに立つか?「練習は裏切らない!」の言葉通り、涙ぐましい努力が実を結ぶのか?まぁ、それは観てのお楽しみで!とにかく等身大のストーリーが心地よい秀作でした。人間の煩悩は“ひゃくはち”、それはスポーツマンシップにだって当てはまるんですよ!
2008年08月26日(火) |
実録・連合赤軍 あさま山荘への道程 |
『実録・連合赤軍 あさま山荘への道程』 時代を経験した身として納得出来ない作品でした。巷の評判があまりに良いので見逃したコトを後悔していたのですが、下高井戸シネマで1週間だけ再上映されたので観てきました。下高井戸の駅で降りたのは人生で初めてかもしれません(苦笑)。因みにオイラは加藤三兄弟の末弟・元久より1歳か、2歳年上だと思います。あさま山荘事件が起きた72年2月は高校二年の三学期でした。72年2月と言えば札幌オリンピックが開催されていた時期でジャネット・リンがアイドルになり、日の丸飛行隊と呼ばれたジャンプ陣が表彰台を独占し、大きな話題になっていました。他にもこの年は、横井庄一さんがグアムから帰国し、フォークの全盛時代で、頭脳警察のアルバムが発禁になり、荒井由実(松任谷由実)がデビューし、山本リンダがどうにもとまらなかった年です。映画は『ゴッドファーザー』『叫びとささやき』『惑星ソラリス』『ポセイドン・アドベンチャー』『軍旗はためく下に』『旅の重さ』『故郷』、TVドラマは『木枯らし紋次郎』『刑事コロンボ』。オイラは71年から始まったロックミュージシャンのコンサートにうなされ続けており、7月に来日予定だったEL&P、と8月のディープパープルのコトで頭が一杯の頃でした。
さて、本作です。何が納得出来ないか!って、彼らが追い詰められていった過程が殆んど描かれていないのが全く持って不満です!無駄に長いリンチ・シーン、坂井真紀のボコボコ顔を延々と写す暇があるなら、彼等の気持ちが何故に内側(当時の言葉では“内ゲバ”)に向いてしまったのかを克明描くべきじゃないでしょうか?60年安保から70年安保、ベトナム戦争に成田闘争、若い一般人や他学生の心の中には多少なりとも学生運動に対して、ある種の共感があったと思います。ベトナム戦争だって、成田だって、誰が考えてもおかしなコトになっていましたからね。例えば、当時“新宿西口広場”と呼ばれていた場所が、69年反戦フォーク集会が行われたことで、集会が行えないように“誰も立ち止まってはならない場所”という屁理屈をつけて『西口広場』から、一夜にして『西口通路』と改められたりしたりして、なんじゃ、そりゃ!とツッコミを入れたくなるような出来事ばかりでした。しかし、69年の安田講堂陥落後、一部の学生がさらに過激化していく中で多くの学生がその方向性に着いていけず、全共闘は量としての力を失っていくワケです。そんな状況の中で連合赤軍は結成され、さらなる武力闘争へ突き進む為に“M作戦”を計画し実行に移します。“M作戦”とは銃や運動資金を手に入れる為に“革命”と言う大義名分の下、郵便局や商店を襲撃。その行為は単なる強盗傷害でしかなく、彼らは一般市民からは完全に恐れられる暴徒でしかなくなってしまいます。その辺りの描写があまりにサクサクと進んでしまうので拍子抜けでした。
それでもこの映画は力作ですし、多くの人に観て欲しい映画なのは間違いないです。ジム・オルークが担当した音楽も当時の空気感を的確に表現していましたし、それぞれの役者(特に森恒夫を演じた地曵豪、永田洋子を演じた並木愛枝)も素晴らしかったです。さすがに、ピンク映画出身の若松監督だけに演出は手堅く申し分ありませんでした。完成度には疑問が残りましたが、ラスト近辺、あさま山荘に立て籠もり、主犯格の坂口らが空虚な言葉を羅列している時に加藤三兄弟の末弟が発した言葉を耳にした時には胸に突き刺さるモノがありました。「俺たちには勇気が無かったんだ・・・」・・・多くの日本人が疑問を感じながらも何もしなかった中で、彼等は“日本を良くしたい!”という志を胸に運動に参加したワケで、その勇気は称えられるものです。しかし、進む勇気があれば、止まるにも引き返すにも勇気が必要です。“勇気”を持って立ち上がった彼等が“勇気”が無くて引き起こしてしまった悲劇。いずれにせよ大勢に反旗をひるがえすには、並々ならぬ勇気が無ければ出来ません。それはこの事件に限ったことではないし、生きていくうえでとても大事なことのような気がします。
この“あさま山荘事件”が民衆デモの成れの果て!という結果を国民に強烈に焼き付け、その後の日本において“民衆デモ”がイマイチ盛り上がらなくなってしまった要因の一つになっているのは間違いないでしょう。韓国での民衆デモが政府を動かすほどの力を持っているのとは大違いです。今の日本でそこまで一般大衆を巻き込むデモは起きません。それを熟成された民度と考えるのは早計過ぎるような気がしますが、どうなんでしょうか?2人も続けて僅か1年で首相の座を放り出し、多くの大臣が信じられないような発言ばかりを繰り返し、外交ではほとんど蚊帳の外扱い、日本はこのままでいいのでしょうか?と、日々愚痴を垂れ流しながらもオイラにはひとかけらの勇気もありません・・・。すみません。
『百万円と苦虫女』 その年のワーストだった『赤い文化住宅の初子』のタナダユキ監督の最新作。当然、スルーしようかと思っていたのですが、オイラと同じように『赤い〜』をその年のワーストに選んでいた友人が「これはいいんじゃないの!」と言ってたので観て来ました。
終盤までは「この映画、いいじゃん!」と思っていたのですが最後でズッコケました。まぁ、出だしのエピソードも嘘臭かったのですが(おそらく自分を重ね合わせていた捨て猫だったんでしょうけど、その腹いせにあの行動は有り得ないでしょ!)、森山未来演じる中島亮平の行動もワザとらしくてシラけました。だいたい、いきなり「飯を作ってくれない?」なんて図々しく頼むような人間が、どうしてそんなまどろっこしいコトをするんですかね?説得力がありません。彼はそのまま、いい人だけどお金にだらしない人間でいいんじゃいですかね?彼が彼女にお金を借り出した時に「まさか、100万貯めさせない為とかじゃないよな・・・」と思ったのですが、そういう方向に行かなかったので「これはいいわ!」と納得していたら、結局はそれかよ!リアルなエピソードで綴られていたのに、何で急に安っぽい少女漫画のようなエピソードを持ってきたのか意味不明でした。オイラは「飯を作ってくれない?」のセリフからお金を借りるような形になってきて「そうか!そういう奴なんだな、こいつ!最初は「悪いなぁ・・・」とか思いながら借りたんだろうけど、甘やかすとどんどんだらしなくなってくる性格なんだな・・・部屋も散らかってたしなぁ・・・」と納得していたら・・・そんな嘘くさいオチかよ!どうせなら、お金は男女の仲をギクシャクするってオチでも良かったと思いますよ。タイトルに『百万円』とありますし、そういう捉え方もあっても不思議ではないですし、あの年齢で百万ってのは大金ですから目が眩んでもおかしくないでしょ。
ただ、それ以外の部分は素晴らしく、海や山での煩わしい人間関係の出来事等、とても良く出来ていて蒼井優演じる佐藤鈴子の心の重たさが観る者の胸にひしひしと伝わって来ます。その中で、秀逸なのが鈴子と弟の関係で、二人が醸し出す温もりがこの作品の最大の魅力と言っても過言ではないでしょう。特に手を繋ぐシーンは暖かい気持ちにさせてくれます。なるべく人と関わらないで生きて行こうとする鈴子の行動は今の若い人達(ウチの息子も含めて)にはけっこう望むところだったりするのかもしれません。それでも自分の意思に関係なく他人は濃くも薄くも目の前に立ちはだかって来るし、自ら人を好きになってしまうかもしれないし、ホントに生きていくというのは面倒臭いことなんですね。結局は誰かと関わって生きていかなくちゃならないのなら、多少なりとも笑顔でいたいです。努力はしているんですけどねぇ・・・これが中々難しい(自爆)。歩道橋の上の鈴子はちょっと悲しげの良い笑顔でした。
それにしてもだ!蒼井優は相変わらず上手いし可愛いけど・・・驚いたのはピエール瀧!もの凄く上手くなりましたねぇ・・・これからも期待したいです。
『TOKYO!』 トップバッターはミッシェル・ゴンドリー。個人的には相性がイマイチの監督でしたが、今回は普通でしたね。まぁ、彼らしいと言えば彼らしい作品でした。二番手はレオス・カラックス。ほとんど興味に無い監督ですが、作品はろくでもなかったです。給料泥棒みたいな映画でした。ラストはポン・ジュノ。これが一番良かった!脚本、演出、撮影、照明、全てのプロの仕事。という3本だったんですが、こういうプロジェクトって意味があるんですかね?題名が『TOKYO!』となっているのに、東京は関係ありませんし、大都会と拡大解釈してもほとんど関係ないし、“日本”という言葉でも括り辛いって、どういいコトなんですかね?まぁ、プロデュース能力ゼロ!ですね。
2008年08月20日(水) |
アクロス・ザ・ユニバース |
『アクロス・ザ・ユニバース』 最初に砂浜で歌い出した時はヤバいんじゃないかと!冷や汗がでましたが、素晴らしい作品でした。
2008年08月19日(火) |
ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝 |
『ハムナプトラ3/呪われた皇帝の秘宝』 やはりエヴリン役はレイチェル・ワイズじゃないとなぁ・・・マリア・ベロじゃ、ギスギスしていてこの映画のテイストに合わないと思いますよ。映画の内容はねぇ・・・まぁ、よくあるハリウッド製の娯楽映画です。お金もたんまりかかってます。凄いよなぁ・・・で、予告編でチラっと出てきたキングギドラの正体が分かった時に吹きだしてしまいました!何でもアリだなぁ・・・まぁ、それがハリウッド・エンタってことですね。
『ダークナイト』 素晴らしい!
2008年08月08日(金) |
インクレディブル・ハルク |
『インクレディブル・ハルク』 ぶっちゃけ、駄作を言われているアン・リーの前作も嫌いじゃないオイラですけど、出来としては今作の方が断然良いと思います。怒りの管理(アンガー・マネジメント)なんて、今の日本にはピッタリじゃないですか!涙あり、笑いあり(あるんかい!)、アクションありの上に、でっかくなったら思いっきり暴れ捲くっています!なんだかんだ言ってもエドワード・ノートンは上手いですよ。っつーか、ノートンが脚本にも参加したからこそ作品に締まりが出ような気もします。リアルな小ネタも真面目に取り組んでいるので好感の持てるユーモアとしてクスクスと笑えました。『再会の街で』で、オバサンだったリヴ・タイラーですが、今回もかなりヤバいオーラが出てます。リアルで会ったら、けっこう引くと思いますよ。さて、まさかの400戦無敗男で始まった映画は、まさかのオチも付いていました。全く知らなかったので、ちょいとビックリ!MARVELはやりたい放題じゃん!
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