この夏の中学生の課題図書です。
ムスメは読んでいる間中、
「あー、なんだか(この主人公に)ムカムカする。」と言ってたのですが、読み終わった後は「いいな。主人公は自分一人だけ、なんかすっきりと解決しちゃって。」とうらやむ方向に。(自分だけが置いて行かれた気分なのか…)
さて、そう言われたものの、私も読んでみないことにはわからないので、本日、この本を読んでみました。
なるほど、ムスメが何に対してムカムカしていたのか、そしてなにをうらやんでいたのかがわかったような気がします。あなたはまだその渦中にどっぷりで、もがいている状態だものね。
うん、多いに悩めよ、ムスメ。
(ついでに感想文も多いに悩んで書いておくれ。)
さて、この主人公は、まさしく私とほぼ同世代。
私も三千円のおこずかいすべてをレコードに費やしていたし、たまに街(京都)に出たら、レコード屋さん巡り。
深井が主人公に語った、迷いに迷って買った1枚がはずれた時の気持ちもすごくよくわかる。(笑)
パソコンで検索すればなんでも出てくる今の子たちには、こんな気持ちはわかんないだろうなぁ…などと思ったり。
そして、深井君を通して出てくる名前がみんな懐かしすぎ。
私はこの物語に出てくるクロスオーバーもハードロックもプログレもフュージョンも趣味ではなかったけれど、家にいる時は四六時中、FMを聴いていたので、ELPもピンクフロイドもキングクリムゾンもイエスも知ってるし、スティリー•ダンの「彩(エイジア)」が発売された時も知ってる。(ちなみに、この曲はわりと好きだった。)ラリー•カールトンもマイケル•フランクスもクルセイダーズもわかるし、超絶技巧な4人によるリターン•トゥ•フォーエバーもわかる。
でも、このうちのどれかひとつでもLPを持ってる?ときかれたら、どれもないんだけれど…。
これらを熱く語る深井君には、ものすごーく共感してしまって、あの頃のことを思い出してしまいました。
そう、あの頃の輸入レコード屋の独特の雰囲気とか、輸入レコードの独特の匂いとか…。
そんなわけで、この話はどちらかと言うと、深井君寄りに読んでしまい、私にとってはノスタルジックに浸れる物語でもあったのだけど。
主人公のELPに対する解釈もおもしろかった。
(キース•エマーソンが彼の人生にとってターニングポイントなのだから。)
ムスメにしたら、この辺りの話(深井君の話)はピンとこなかったかもしれない。
それよりも、毎日の礼拝の様子の方が彼女にはなじみのあるものだろうし、パイプオルガンの音も、ふだんから聞き慣れたもの。
(ムスメのガッコには、パイプオルガンが講堂にあり、普段から使われている。)
だから学校のその辺りの様子は、きっと私よりもすっと入っていけたと思います。
それにしても、最近は本当に便利です。
キース•エマーソンがどんな人物なのか私は知っていますが、ムスメは知りません。
けれども、ELPの「展覧会の絵」を聴きたければ、Youtubeで出てくるので、
ライブの雰囲気は見ることが出来ます。
(あらためて見て、やっぱりELPは私の理解を超えるバンドだったけれど。)
そして、この話の核であるメシアンの曲にも触れることが出来ます。
(ただ、肝心の「主の降誕」の「神は私たちと共に」はさわりだけしか聴けなかった。)
そして、ムスメがメシアンの曲(主にピアノ曲)を聴いた印象は
「心がざわざわする。落ち着かない。」ということ。
「神は私たちと共に」のイントロはやたらと重いということ。
…ん? これはムスメが主人公に感じたものと似たものなのでは…?