ヲトナの普段着

2005年04月02日(土) 2ちゃんは無視無視

 少しチャットの世界から離れた話をしましょう。芸術家というものがどういうものかを、みんなは考えたことがあるだろうか。芸術家とひとくちに言ってもいろいろあるよね。絵を描く人もいれば彫刻作る人もいる。音楽を作曲する人もいるし、小説を書く人や写真を撮る人だって芸術家だ。
 
 
 世に名を馳せた芸術家というのは、いったいどういう人たちだったのだろうか。僕自身、書き物やったり写真撮ったりするせいか、そういうことを常々考えるんだけど、僕は芸術家というのは「自分の世界を持っている人たち」だと解釈している。そして広義においてそれは、自分の道にプロフェッショナルになるということにも繋がるのだろう。
 
 例えば僕は文章を書いている。ネットで作品を公開するようになって七年近い歳月が流れたけど、小説にはじまりエッセイや論評、コラムなど、さまざまなものを書いてきた。創出したものは人目にさらされる。僕が生み出した文字たちも、これまで数多くの人たちの目にさらされてきた。するとそこには、僕の文章を好んでくれる人とそうでない人とが現れる。
 
 これぞ葛藤のはじまり。人間ってのは哀しい生き物で、自分が存在する証を手にしていないといられない。証とはすなわち、僕の場合は文章であり写真であるわけだけど、自分を認めてくれない読者と遭遇すると、つい彼らに受け入れられるようなものを書いてみようと考えてしまう。でもそれは、僕本来の文章ではないんだよね。もちろん世に芸術家と呼ばれる人たちは、そんな世間の目など気にせずに、自分が最も美しいと感じるものを求めて生きてきた。だからこそ、芸術家たりえたのだと僕は思う。
 
 
 前置きが長くなったけど、かの「2ちゃんねる」に、ライブチャット関連の板があるのは、チャトレであれば皆ご存知のことだろう。正直なところ、僕はあそこが大嫌いだから話題にするのも厭なんだけど、大嫌いだから書くという理屈もあろうかと自分で自分の尻を引っぱたいているのである。
 
 チャトレのなかには、あそこで評判になることを何かの指標と勘違いしている子もいるようだ。反対に、くそみそに言われることを極端なまでに怖れている子もいる。言葉の暴力という物言いがあるけど、その意味すらわかってない奴らの世界を気にしたところで、何のメリットもないということに気づいて欲しいものだ。
 
 2ちゃんを見てライブチャットに来る客なんてのは、いても極めて少ないと僕は思う。逆はあると思うよ。自分のチャット体験をあそこで書く人はいると思う。けれど、無責任な批判飛ばしまくってる輩の多くは、社会のなかで箸にも棒にもかからない手合いに違いなく、ましてや同じウェブといえども畑違いのところにいるわけだから、彼らが言うことなどぜーんぜん気にすることなーい。と書いても、気にしちゃう子は気にしちゃうんだろうけどね……。
 
 
 自分が信じる道を進みなさい。誰もが受け入れるであろうものに人は惹かれるのではなく、きみにしかない個性に惹かれるのだから。周囲の雑音には耳に蓋をし、いま目の前にいるきみの相手にのみ神経を集中すべきだろう。
 
 わからない奴にはわからないままにさせておけばいい。説明したってどうせわかりゃしない。彼らにきみを理解させる苦労をするのなら、その労力を、数少なくともきみを応援してくれる愛しき人たちに注ぎなさい。大切なのは全男性の支持などではなく、少なくても確実にきみを支えてくれる人たちなのだから。
 
 僕が知っているトップクラスのチャトレたちは、揃ってそういう子たちばかりだ。まわりがどうであろうが、2ちゃんで莫迦話のネタにされようが、地道に自分の世界を探求し展開している。そしてそれがまた、感嘆の言葉もないほどに美しい。
 
 徒党を組まねば好き勝手なことも言えない奴らなど無視無視。ときにはわがままに、きみだけの世界を突き進んでくださいね。



2005年04月01日(金) スーパーチャトレ列伝 麻耶(仮名)

 僕が知るチャトレのなかで最高峰のトリプルAランクといえば、やはりこの子を置いて他にはいないだろう。とにかく性格は申し分ない。容姿とスタイルも美。パフォーマンスとチャットに対する姿勢も、「見習えよー」と声を大にして言いたくなるほど素晴らしい。もちろん、某サイトでは常にトップクラスに君臨しているのが麻耶(仮名)だった。
 
 
 彼女はストリッパーに憧れた時期があったという。素晴らしいことだと思う。素直に思う。売春婦に憧れるのはどうかと思うけど、ストリッパー(踊り子でもいいけど)に憧れるのは正しい女の道なのだ。僕の価値観のなかでは。
 
 女は美しい。その美しさとは、かつてヲトナごっこのコラムで書いたこともあるんだけど、見た目の美しさだけでは決してない。その子ひとりひとりが固有に手にしている美を、本人がいかに見事に表現しているか否かで、美しさはいかようにでも変化してしまうのだと僕は感じている。
 
 そういう観点からすると、ストリッパーと呼ばれる子たちは、おそらく(じつはそれほど詳しくない)自分の美についてかなり敏感な人種であろうと僕は想像している。もちろん自分をよく見つめているから、自分をよく知っている。美しいところも醜いところも、双方併せ持ってはじめて自分という女が存在していることも、おそらく体で知っているのではなかろうかと想像している。
 
 考えてみれば、アダルトライブチャットってのもストリップのようなものかもしれない。ウェブカメラの前で、みずからの肉体を駆使して己の美をそこに表現する。もちろん単なるエログロで「アホか」と言いたくなるようなチャトレもいるけど、それだけに、わが道をゆくストリッパー願望娘は際立って美しいのである。
 
 
 いつだったか、ふと彼女の無料窓を開いたところ、せっせとプロフ用の写真をセルフで撮ってる場面に遭遇した。いわゆるひとつの「メイキング風景」ってやつですか。いやー、数多のチャトレと面会したけど、後にも先にもプロフ写真のメイキング風景を見せてくれたのは彼女だけだったな。
 
 しばらく傍観してからドアをノックし、入って開口一番「撮ってたね」と投げると、「時間がもったいなかったから」と返事が返ってきた。どうよ、この素晴らしい姿勢。改めてコラムで書くつもりではいるけど、プロフを充実させることはチャトレの基本中の基本。出し惜しみなどせずに、自分が作れる最高のプロフを作ろうと励む姿には、思わずおやじの目にも涙というわけだ。
 
 
 アダルトチャットときくと、客はすべてエッチを望んでいると思ってる人も少なくないだろうけど、そうじゃない客もじつは意外と多い。僕はアダルトチャットに果たしてどれだけの資金をつぎ込んだかわからないが、まずそのほとんどをノーマルチャットとして費やしていた。裸見てるよりは、裏話聞いてたほうが遥かにおもしろかったからなんだけどね。
 
 麻耶はまさに両刀使い。彼女とは普通に会話してることのほうが多かったけど、アダルティックなパフォーマンスのみならず、会話もとてもお上手。出すぎず引きすぎず、常にそこにいるお客さんのことを考えながら仕事に励んでいた。
 
 そう、彼女はルールやモラルにも敏感だった。パーティー形式(複数の客が同時に入れる)状況で普通の話をしているときに、いきなり知らない客が入ってきて「脱いで」とはじめても、とても上手に小窓を使ってたしなめているようだった。見事に自分のルームを仕切っていた。客を前に凛とした態度をとれる。それもきっと、チャトレとして必要な心がけなのだろう。
 
 
 じつは彼女は、もしかするとそう長くチャトレをやらないかもしれない。詳しくは知らないんだけど、なにやら夢があるらしく、それを実現するためにコツコツとチャトレでお金を貯めていたということだ。まもなくそれも満願成就する額に達するとかで、そうしたらやめるような話をしていた。
 
 目標を持つということ。それもおそらくは、彼女のチャトレとしての姿勢に影響していたのだと僕は思う。お金というものがどういうものなのか。自分はそこで何をしているのか。対価として自分が持たねばならないプロ意識のようなものを、彼女は常に胸に秘めていたのだと僕は思う。
 
 どんな夢なのかは測りかねるけど、願わくば、本物の幸せを手にして欲しいと思わせてくれる、そんな麻耶だった。



2005年03月31日(木) 生めよ励めよ

 別に、一生懸命セックスして子どもを沢山産んで、日本の出生率アップに貢献しましょうという話ではない。おそらく「今」という時代が、チャトレにとっては歴史上最も華やかなりし時代であろうという話。稼げるうちに稼いでおけよー、みんなー。
 
 
 僕がライブチャットに手を染めた二年前には、本当に数えるほどしかチャットサイトはなかった。それがいまはどうだ。日々増殖するサイトを追いかけていたら、通常勤務(常連サイトへの顔出し)すらままならない状況に違いなかろう。果たしてどれだけの数あるのか、僕にもとんと把握できてないんだけど、とにかくライブチャット花盛りといってもいいほどの盛況ぶりだ。サイトの数だけはね。
 
 おそらくは、チャトレの数も増殖してると思う。たまに国勢調査みたいなことを、このチャット業界もやってみると面白いだろうなどと思う反面、あまりの淘汰の早さに調査が追いつかないかもね、とも思ってしまう。それほどウェブ世界では、時間の流れが速いのである。
 
 
 サイト数が多いと、当然のことながらチャトレは分散する。せっかくオープンしたものの、オープン記念の当初数日間は賑わっても、それが終わった途端に閑古鳥。いつ開いても「ただいまオンライン中の子はいません」という虚しい文字が表示されるだけのサイトと化してしまうのも少なくないようだ。
 
 そういうサイトはどうなるかというと、遅かれ早かれ消滅せざるをえないだろう。つまりは、淘汰されてくる。あちらだって商売だ。運営費を超える収入がなければ、誰だって続ける気はおきないもの。数多あるライブチャットサイトであっても、いずれは競争という名の下に白旗掲げて、消えていくしかないのだと僕は想像している。
 
 現に、老舗(といっても、たかが数年だけど)のサイトでは、いまおそらく、必死になって生き残りへのあれこれに苦慮しているに違いない。最近では低価格競争も少し落ち着いてきたみたいだけど、まだまだ先がありそうだし、チャット以外の付加機能も日々研究されている。基本的には、数多くのチャトレを抱え実績がある老舗は強いに違いなく、新参者は当初は持て囃されても、やはり女の子がいないところにはだーれもいかないからね、いずれは淘汰されることでしょうなぁ。
 
 となると、サイト数が減るということだから、分散していたチャトレが徐々に狭いエリアに集結しはじめるということだ。あらいやだ。競争が激しくなるじゃない。となると、それまで月々〜万円だった収入が、半分、いやそれ以下になっちゃうかもしれない。あらいやだ。チャットで使う衣装代もままならないわ。となると……くどいね、もうやめよう。
 
 
 ライブチャットがなくなることはないと僕は思う。それはとりもなおさず、世に男と女という異なる性が存在し、それらが互いに持つ欲望を絶妙に満たした場が、このライブチャットであるという見方もあるからだ。紆余曲折あったって、ソープランドなくならないでしょ。ヘルスも健在でしょ。もちろん、ラブホだって花盛りでしょ。
 
 でもね、賢いチャトレでありたいのなら、やはり「先見の明」ってやつは手にしておいて損はないはず。それが浮き沈みの激しいウェブ世界であれば、なおさらのこと。「淘汰されるぞー」とひとり騒いでいる僕の予言が的中するかはわからないけど、自分にあった、自分を生かせる場を探しそこに「根を張る」ことは、とても大切だと思える。
 
 生めよ励めよ。そして、栄光を手にしてください。


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ヒロイ