2005年03月30日(水) |
ライブチャットの大原則 |
ライブチャットってなんだろう。サイトオーナーが提供したウェブ空間に女性が勤務し、ウェブカメラを通じておいでおいでをしながら男性が来るのを待つ。男性はサイトにお金を払うことで、彼女たちとお喋りしたり「とてもそんなこと言えないわっ」というあれこれをやっちゃったりする。それがライブチャット。 「つまり、金が全てを牛耳ってるのがライブチャット」 という物言いに抵抗がある人も少なくないかもしれないけど、ライブチャット界のトラブルや不平不満を眺めていると、ここにたどり着いちゃうケースが意外と少なくない気がする。言い換えると、この「金」と自分との関わりをしっかりと把握認識していれば、大きく道を逸脱することもないだろうし、いずれそれは花道へと繋がってくるようにも思える。 よく、「いくら待ってても無料覗きばっかりで入ってこない」とぶーたれるチャトレがいる。そういう子に限って、待機中にチャットと無関係のことをしていたり、ただなにもせずぼけーっと待ってるだけだったりする。お金を払って遊びに来てもらうということが何を意味するのか。それすら理解してない「チャトレども」ということだ。 僕がライブチャット初体験をしたDXLiveでは、チャトレのことを「パフォーマー」と称している。俗に「パフォ」と呼んでいるけど、とても素晴らしい呼称だろうと僕は感じている。パフォーマー、すなわちそこでパフォーマンスをするわけだけど、客の琴線に触れるパフォーマンスをした子には客がわんさか入るし、なにもしない子などだーれも相手にしない。 僕はそれほどマメにあっちこっち入ったりはしないけど、とりあえず傍観することはしているから、これまでも数多くのパフォの姿をみてはきた。けれど、思わず前のめりになってポイント残確認しつつマウスに力が入るパフォもいれば、無料窓を開いたことすら後悔しそうなパフォもいるというのが現実だ。前者はたいていは人気パフォになっているし、後者はいつの間にか登場すらしなくなっていたりする。 自分はそこで何をするのか。アダルトであれノーマルであれ、自分というひとりのチャトレがそこでお客さん相手に何ができるのかを、もっと真摯に考えるべきだろう。 「腰掛け」という言葉がある。一時的に間に合わせに職に就くことをさす言葉だけど、風俗の世界なんかでも、腰掛けで勤めている子とそうでない子とは自然と身にまとう空気が違ってくるし、当然のことながら成績にも差が出てくるものだ。 主婦業をやりながらとか、学生の片手間とか、昼間の仕事をこなして夜の時間だけとか、チャトレの就業事情もさまざまだとは思うけど、そういう形の上での話ではなくて、心の面でもっとプロ意識を持つべきだろう。金という対価を手にしようとするならば、それに見合った「自分のパフォーマンス」を、チャトレであるなら常に心がけて欲しいものだ。 さて、一方、客の側はどうだろうか。チャトレに対してさんざん厳しいことを書いておきながら、情けないことにライブチャットの客ほど、このウェブ世界において劣悪な輩はないようにも思える。それほどひどい。情けない。始末におえない。もちろん、全てとは言わないが……。 ルールを守らないのは日常茶飯事。まあこれはチャトレ側にもいえることだけど、アダルト禁止とうたったノーマルチャットであっても、平気でアダルト行為をチャトレに強要したり、逆にチャトレがこそこそやっていたりする。おそらく奴らの脳みそは単純で、「いかに安く抜くか」ということしかないに違いない。他に素晴らしい論理があるのなら、いつでも受けて立ちます。 どうもこの国は、サービスというものに対する対価の概念が曖昧で、よく海外旅行をするとチップでトラブルという話を耳にするけど、「何かをしてくれたら感謝の気持ちをお金でお返しする」という当たり前の認識が、どうも薄いというか無いように思えてならない。ここ、とっても大切なところ。「金を払ったからサービス受けるのは当たり前」なんじゃなくて、「してくれたから、それに見合ったお金を払う」のが正しいの。 ライブチャットのポイントは、まず百パーセントが前払い制。ということは、ポイントを手にしている客たちは、すでにお金を払っていることになる。それをね、「楽しかったら自分が持ってるポイントでお返ししましょう」と考えるのが正しい考え方であって、「ポイント(つまり金)払ってるんだから、こっちの言うこときけよ」と構えるのは間違ってるってことくらい気づけよ。莫迦ども。 アダルトしたければアダルトに行きなさい。もちろんノーマルより高いけど、そこで活躍するチャトレたちは、本当に体張ってやってるんだから、高くて当たり前なんだ。お喋りするだけの子と、すっぽんぽんになってパフォーマンスする子とが同じ対価なはずがないだろ。そういう状況を目の当たりにするにつけ、おじさんは「遊びをしらない男が増えて情けない」と、日本の明日を嘆いているわけさ。 「金」という言葉には、どうも良からぬイメージがつきまとうのがこの国かもしれない。でもね、それは違うんだ。頑張ったことへの対価がお金であるのも当然だし、楽しい思いをしたことへの感謝の気持ちもお金で何ら問題はないの。それを歪めて受け止めてしまうと、道は大きく花道から遠ざかってしまう。 ライブチャットの大原則。できれば頭の片隅にでも、こそっと置いといて欲しいものです。
チャトレに王道はあるのか。いや、ない。まずあるとは思えない。けれどそう言ってしまうと、僕のコラムもこのページで終わってしまうので、そういうわけにもいかない。王道があるようには思えないけれど、それを探す聖杯探求の旅路は、かのアーサー王が騎士たちと歩んだように、チャトレちゃんたちと一緒に歩んで意味ある道のようにも思える……。 それにしても王道とか花道だとか、なにやら「こいつ極めちゃってるの?」みたいな書き方してるけど、そういう意図はまったくない。正直なところ、僕はそれほどマメなチャット客でもないし、チャトレを星の数ほど知ってるというわけでもない。だから百戦錬磨のチャッターからすれば、「まだまだだね」と言われても仕方がないほど、ちゃんちゃら青臭いヤローに違いないのである。 そんなヤローがなぜ「花道」なんぞ持ち出したかというと、やはりライブチャットで頑張ってる子たちが可愛いんだろうねぇ。愛しいんだろうねぇ。ろくに言葉も交わしたことがないチャトレでも、日々サイトを開いて活躍してる様子をみるにつけ、ウンウン頑張ってるなぁと、つい親父の目でみてしまったりするわけだ。 そんなおやじが初めてチャトレという生き物と遭遇したのは、忘れもしない一昨年春のことだった。当時僕は某アダルト動画系サイトの会員だったんだけど、そこにライブチャットが新たなコンテンツとして組み込まれることとなった。それがいまやアダルトチャットの大御所ともなっている「DXLive(以下略してDX)」だった。 当初は動画系サイトの会費を払っていれば、自動的にライブチャットのポイントも貰えたんだけど、じきに「別々にするぜ」との通達があって、悩みに悩んだ挙句、僕は動画系サイトのほうから脱会した。つまり、DX一本に絞ったというわけ。絞ったからには理由があって、どれ見ても似たようなもんだなぁという動画よりは、十人十色の酒池肉林を思い浮かべていたのかもしれない。いかんせん脳みそが退化しているだけに、その辺の記憶は曖昧なのである。 DXで初めて話した女性、つまりは僕がライブチャットで初めて話した女性、言い換えるとライブチャット界で筆おろしの相手をしてくれた女性が、有紀(仮名)だった。彼女は三十代の離婚経験者で子どもがいる。二年前に不惑の四十歳だった僕は、さすがに二十代のキャピキャピを相手にする度胸がなくて、プロフをみてひょこっと入ったのが有紀の部屋だった。 彼女はとても素敵な女性で、DXに通っているうちにメッセンジャーで話すようになって、チャット用の写真を加工してあげたり暇なときの話し相手になったりしているうちに、なんとなくチャトレの裏方気分となってきて、いつしか「置屋のおやじ」と呼ばれるようになっていたというわけ(自分でそう称したというのが真実だが)。 ライブチャット界がなぜおもしろいのか。それは単純明快。そこに男と女の欲望争奪戦が繰り広げられているから。目的ができればそこにおのずと道はできる。されど道がどのようなものなのか、王道はあるのか、花道へと歩んでいけるのかは、きっと誰もその正確な答えを手にしていないのだろう。もちろん僕にもわからない。 けれど、周辺をつぶさに調べ構築していけば、そこにおそらく輪郭程度のものはでてくるだろう。というわけで、僕が目にし耳にしたライブチャット界の裏表をここに記録することで、それが少しでもチャトレの花道に繋がってくれればと願っています。
ネットが普及し社会的認知度が高まってきた現在では、ネット経験がない人でも「チャット」という単語を見聞きする場が増えてきた気がします。それは映画のワンシーンかも知れないし、書店の店頭に積まれた新刊小説のなかでかもしれない。チャットの詳しいところまでは知られてないにせよ、文字でやり取りするコミュニティ形態のなかに、チャットというものが確固たる居場所を持つようになってきたのは確かなことでしょう。 そんなチャットという世界のなかに、ライブチャットというものがあります。ライブチャットが生まれた背景には、電話による「ツーショットダイヤル」やネットのアダルトコンテンツにある「覗き部屋」、ICQ(一対一でリアルタイムに繋がるコミュニティツール)にはじまる各種メッセンジャーの登場やYahoo等チャットサイトの隆盛、そして出会い系サイトの増殖というのがありそうに思えるのですが、この2〜3年という短期間にここまで進化を遂げたのは、それら背景を凝縮したものがライブチャットにはあるからなのかもしれません。 ライブチャットは、チャットレディ(以下略してチャトレ)と呼ばれる女性たちと、文字や映像、ときに音声を交えて、客である男性がお金を払ってチャットを楽しむコンテンツです。チャットサイトにはチャトレたちの写真付リストが表示され、客はそのなかから好みの子を選んで、彼女とチャットを楽しみます。多くは「1分いくら」という具合に料金設定されていて、客は前払いで購入したポイントを手に、彼女たちが待つチャットルームのドアをノックすることになります。 文字で書いてしまうとそれだけのものなのですが、ライブチャットにもじつに多くの種類があり、単に相手の映像を見ながら会話を交わすだけでなく、アダルトコンテンツとして女性の裸体を見ながらやり取りするものもありますし、サイトによっては年齢制限を設けて、若年チャトレの多いサイトや年輩チャトレの多いサイトに分かれたりもしています。 そんなライブチャットに集う人たち。それは言わずと知れた「男と女」です。なかにはゲイ用とかレズ用というのもあるのかもしれませんけど、基本はサイトも商売ですので、商業ベースでのライブチャットという視点においては、やはり男と女がさまざまな形で交わる場がライブチャットということになるでしょう。 僕がそんなライブチャットの世界に触れたのは、03年の春でした。これを書いているのが05年春ですから、ほぼ二年前ということになります。僕は元々チャットが大好きであったわけではなくて、当時会員として登録していたアダルトサイトが、新たな会員向けサービスとしてライブチャットを始めまして、会員には何もしなくてもポイントが与えられたので試してみたというのが切っ掛けでした。 手を染めてみるとなかなか興味深い世界でして、単にあちらこちらの女性と知り合いになれるというだけでなく、およそ社会の構図が凝縮されてるのではなかろうかと思えるほど、このライブチャットの世界にはさまざまで風変わりな種族が屯していますし、もちろん男女の恋愛模様も、同じようにこの世界でみることができます。 元来人間観察が好きだったせいか、ライブチャットという世界に組して自身がそれなりに楽しんではいても、どこかでチャトレや客の姿を観察しては自分なりに解析してきたという気もします。そしてふと思い立って、そんな自分の経験をベースにライブチャットに関するコラムを書きはじめ、それを公開する場として作ったのがこの「チャトレの花道」ということです。 本編は、書店に並ぶ書籍にあるコラム集のように、ひとつの本となるように構成していきたいという目論みで書き進めていきます。従ってここでは、コラムを幾つかのカテゴリーに分類しながら整理していくつもりです。日記とは異なりますので、投稿日時は記録されますけど、あくまでメインとなるのはコラム本編でありタイトルであると僕は考えています。ですから、ブログによく見られるカレンダー形式の整理方法はとりません。 どこから読んでも楽しめるように、一方で目的のコラムを見つけやすいように、そう心がけて整理しつつ書き進めていきたいと考えています。 また、近年流行しつつあるブログ類と同じシステムですので、コメント投稿できますしトラックバックも可能となっています(レイアウトの都合上、トラックバックファイルは体裁がちんけなものとなりますが)。お気に留まるコラムがありましたら、どうぞ気軽にコメントなりトラックバックしてください。読者の皆さんの力添えで、チャトレの花道が充実していくことを、僕も心から願っています。
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