ガトーショコラは苦いくらいが丁度いい?
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2007年02月27日(火) calling me
部屋に入ったときは月明かりで照らされていたベッドサイド。
今は朝日が2人を照らしていた。
横にいる男の胸に顔をうずめようとして寝返りを打ったその時。
男は落ちていたシャツを羽織って冷蔵庫に向かって歩いた。
あたしは少しだけ不機嫌になる。
昨晩から流しっぱなしの「満ち潮のロマンス」。
曲に合わせて男は動いた。
「かつて…」の時は愛おしく。
「サイコアナルシス」では激しく。
部屋を占拠しているピアノの上に水の入ったグラスを置いて。
calling meに合わせてご機嫌にピアノを弾きながら歌っていた。
ベッドサイドには男と、あたしより少し年上の女性の写真。
2人とも寄り添って、笑っている。
友達同士ではない、あきらかな親密感。
「『思い出が美しいのは過去だから』」
「え?何?」
「『思い出が美しいのは過去だから どうぞよろしくお願いします』」
「何、それ?」
「加藤千恵」
「『ロッテリアのトイレでキスをするなんて たぶん絶対最初で最後』だっけ?」
「…そう。よくご存知で」
そして再びご機嫌でピアノに戻る。
写真立てを、ベッドサイドに伏せて置く。
気持ち良さそうにコールマイネームとか歌うから。
なんだか腹が立ってきた。
「ねぇ。あたしの名前、知ってる?」
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幸せが逃げてもいいから、大きく溜め息をついた。
ピアノ線の音が、心地よくあたしをイライラさせていた。
2007年02月24日(土) ザ・リアリティ
本当は抱きしめて欲しかった。
本当はキスしたかった。
本当は帰りたくなかった。
本当はもっとずっと一緒に居たかった。
零れてしまうと思ってた。
泣き出してしまうと思ってた。
謝ろうと思ってた。
何もできなかった。
ただ笑うだけだった。
聞かないフリをした。
何も知らないフリをした。
歩き出そうと思った。
振り返ってた。
走り出せばよかった。
視線を泳がせた。
分からなかった。
分からなくてよかった。
あたしは大人になってるはずだ。
抱きしめればよかった。
キスすればよかった。
ちゃんと言えばよかった。
手をつないで歩いた。
繋がった気がした。
勘違いかもしれなかった。
それでもよかった。
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2007年02月07日(水) とげが刺さったような。
ビールジョッキとロックグラスで乾杯をするのはいつものこと。
繰り返す変わらない日々に溜め息が出そうになるのをこらえた。
箸で料理を掴んで口に入れる。
噛み砕く噛み砕く噛み砕く。
その一連の行為を見るのが好きだ。
いつも不思議そうな顔をしてあたしを見るから。
なんでもないよという顔をして笑う。
動く唇にキスをしたくなるけどその衝動を必死に抑える。
だってあたしは子供じゃないからね。
一緒にご飯を食べても手をつないでもキスをしてもセックスをしても。
心も体も満たされてないのだろうか?
何かが足りないのとアルコールの回った頭を必死に動かす。
喉がひりひりする。
タバコを吸いすぎたのか。胃液のせいか。
原因なんて分からなくていいし知らなくていい。
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