妄想日記 

2003年08月27日(水) 『企み?罰?』(舞台中ヨコヒナ・錦戸視点)

なんだかんだと舞台もいい感じに進んでいる。
これといって大きい怪我をした人もいなければ、病気になった人もなく。
セリフ噛んだとか小さなことはあったけれど大きい失敗もなく、順調に、とんとん拍子に進んでいた。
残り半分まできたわーなんて安堵のため息をもらす村上。けれど納得いかないかのように見つめる視線に、錦戸は気付いていた。


舞台の中心になり、最年長組だからだろう、空き時間などはスタッフとの打ち合わせや丸山や安田からの相談やらで忙しない村上を、横山は険しい表情で見つめていた。
何かを訴えるような、そんな表情で。錦戸は最初はあまりにも忙しく大変そうにしてる村上を気遣っているから、だと思っていた。
しかし、回を追うごとに横山の視線が変化して。何かを訴えかける表情が段々と弱弱しいものになっていったのを見て。変な違和感を感じた。
自分の知ってる横山といえば、態度とは裏腹に繊細だったり意外と傷つきやすいとこがあったりするけどそれをあまり表に出さない人と印象があった。出さないようにしてるんだけど長く一緒にいるやつならばわかる、そんな程度しか態度に示さない人だと思っていた。
特に村上に関しては、振り回されてるのとか気にしてるのとかを絶対に表に出さないようにしてる感じだった。いつでも強気でいたいと。優位にいるのは自分なんだと言い聞かせるかのように。強気の態度を示してきた。



けれど、その態度が。視線がここ最近おかしくなっていた。



MCで無理に話しをするのとか、他のメンバーが話しをする
を遮ったり。
あげくのはてには「俺ってつまんない?」と舞台MCで村上に訴えたり。舞台中でアドリブのような、けれど長年感じていたでろう本音を言ってしまったリ。
今までの横山には考えられないような行動の数々。


(この人、どっかおかしくなったんか?)


横山の態度が変わったと。おかしくなったと錦戸は思っていた。




あげくの果てに。




「ヒナちゃん」




舞台中、ずっと連呼される呼び名。
村上のあだ名なのだが、そう呼ぶのはJrの中では数えるほどしかいないくらいになった「ヒナ」という呼び名。
ここ最近では渋谷と生田くらいしか使っていなかった。横山は逆に「ええ加減ヒナなんて呼び方どうなん?」と昔から呼び名を嫌っていたふしさえあった。
それはいろんな思惑があったからかもしれないが、横山は以前からずっと、ヒナと呼ぶのは極力使っていなかったはずだ。
「村上」と、ここずっと呼んでいた。時折無意識に「ヒナ」と呼ぶことはあったけれど、大抵は名字で呼んでいた。
なので、錦戸と渋谷以外のメンバーは横山の「ヒナ」呼びになれていなかった。
それどころか、大倉あたりは横山がそう呼んでいたなどは知らないかもしれない。
それが突然「ヒナ」と。しかもちゃん付けで呼んでいたら、他のメンバーが驚くのも無理ないだろう。

(かなり、やばいんちゃう?)


「亮が他の人のことそないに気にするん、珍しいなぁ」
多分気付いてるだろうけど。横山のことを一応進言すると、感心したような表情浮かべられた。
別に、いつも無関心ってわけじゃない。ただそれを考えたり自分の考えを伝えたりするのが面倒だって思っていただけだ。自分に関係ないことなら、わざわざ波風立たせなくてもいいだろうと、そう思っていた。
けれど、今回のことは自分にも深く関わる問題だから。舞台で中心になって引っ張って行く存在である二人がこの調子では、いつか問題が生じる。同じグループで今共に舞台に出ている自分にも確実に振りかかる問題だと感じたから。今回ばかりは動かざるを得ないと思ったのだった。
『二人の態度がおかしい』なんて言えるのは、自分か渋谷しか居ない。そして渋谷は村上にべったりくっついていられるから、問題だと思うどころかむしろ好都合と思っているふしがあった。

「で、どうなんですか?」

うまいことごまかそうとしていたであろう村上に、真顔でつめよると。

「なんも。どうもしてへんよ」

そんなわけがないだろうと聞き返そうとして…・止めた。
村上の表情が、笑顔だったから。いつもの人当たりのいい笑顔ではなく、ごく一部にしか見せない、作り物のようなキレイな笑顔だったから。笑顔というよりは、いつも笑顔の村上にしてみれば、それは無表情のようなものに近いかもしれない。

(こうなったら、あかん)
長年の付き合いからか、村上の笑顔の裏が大体は読み取れるようになった錦戸は、これ以上は無理だと察した。
これ以上聞いても、同じ反応をするだけで進展しないだろう。それに、こういう顔するってことは、村上も横山の態度がおかしいと気付いてて、それでもあえて無視してるということだろうから。何か考えがあってのことだろうから、自分に出来ることは何もない。

「どーでもいいですけど。舞台に支障きたすようなことはしないでくださいよ」
「…・わかってるよ」

ニコっと笑う村上は、さっきの貼りついたような笑顔とはまた変わって…感情が入ったけれどむしろ。

「村上くん」
「ん?」
「今、めっちゃ悪い顔になってますよ」

錦戸の言葉に「うそぉ?」と自分の顔を手で押さえて気にするフリをする村上。それすら嘘くさくて。錦戸は深いためいきをつく。

結局、なんの解決にもならなかったけれど。たった一つ言えるのは。
何をしたのかわからないけれど、村上の態度からまだこの状態が続くのだろうということだけはわかった。怒っているのか何か企んでいるのかは知らないけれど。きっと、横山にとってはどちらでも不幸には変わりないだろう。


(横山くん、ご愁傷様)

今もきっとじっと見てるであろう横山に、視線は合わせないようにしながら(色々面倒だから)錦戸は同情を含んだ視線を送った。












☆横山への村上の態度があまりにも・・・だったので、ちょっと考えてみたらどんどん横山がかわいそうなことになってしまった・・・本当に、舞台前半は横山さんの必死さがかわいそうで、でもかわいくて思えてしまったりもしたんですが(爆)つうか、情けない横山しかかけない気がします・・・本人が悪いんだ!と無理やり責任転嫁。一番悪いのは村上という説もあり(ごモルモット!)(古!)



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