カズは指輪を残して帰っていった。
まだ、指輪はぶかぶかのままだ。

母親は指輪を見せたら泣いていた。
これでよかったのかな。

友達には驚かれた後に「おめでとう？でいいのかな」と言われる(笑）
知る人ぞ知る、『Top of 人でなし』だからねー

実際アタシだって手放しでは喜べない。
だって理由はいっぱいある(笑）

この先もカズは何をしでかすのか、
アタシの落ちた気持ちの回復力は、
そして彼の事は。

彼から連絡が来て外で逢うことになった。
事の顛末と指輪を見せる。

よかったね。だって。

そうだよ、彼氏あってのアタシ。
奥さんあっての彼だから。

それでも、送ってくれて家の近くで車を停めて話してたら

良かったなって思ってる。
でも寂しいよ。
俺にはそんな権利はないのにな。

ようやく本音？みたいのを口にした。
切なかったけど何も言わなかった。

権利なんて必要？
きっと言った者勝ちじゃないの？(笑）
権利なんて平等だったためしがないよ、アタシ(苦笑）
しょっぱなから幸せの権利なんてないじゃん、あたし達。
だって割込みだもん！(笑）
しかも怒られんのヤだから「割り込んでません！」って素振りで
横に並んでる性質の悪いやつ(笑）


でもアタシは今、この人が好きなんだろうな。
ホントは指輪も見せたくなかった。
良かったねなんて言われたくなかった。

手を繋ぐと指輪が触れる。


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笑った。
子供みたい。
同時に胸がギュッとなる。

俺も贈りたいけどお小遣い制だからなぁ(笑）
あはは、いらないよ。
ヤダ、買いたいー！

嫁が号泣するよ？

そうだな…。　もれなく号泣だな…。
(高いものを買おうとすると店先でも号泣）

そうやって彼はさらりと気持ちをアタシにくれる。
言葉が温かいんだなと思う。
なんて結婚感のない男(笑）


一緒にいる時は着けないから。そういうと
うん。と言った。

ひどいな、アタシもたいがい。
人でなしって感染性あんのかな？　(遠い目)

それでも、指輪の効果もあるのか、カズに思ったことを言えた事が大きいのか、
彼に対する気持ちが少し前とは違う気がした。
すごく好きだけど、どこかにあきらめが入った感じ。
んー、なんて言えばいいんだろう。

晴れ渡った、空の高い日にすごい上を飛んでる鳥を見ている感じ。

いいなー、届かねぇ…。

そんな感じ。


見てる時は傍にとまっていても
きっと私の知らない所ではそんなに高く飛べるんだね。
　…飛ばなきゃいいのに(笑）

彼がそんな感じなら
カズは

ものすごい速度で走ってくるダチョウだ。
攻撃！目があったから！攻撃！みたいな。（ゲッソリ）

高く飛ぶ鳥は捕まえられないけど…


猛突進してくる飛べない鳥なら

血だらけで仕留めてやる！



ハンターおちょこ。



危機回避能力、ゼロ。





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結局その日は一緒にいた。
アタシは幸せなのかな。
そんな事を考えてた。
すれ違った気持ちを戻す事。

それは結婚を持ち出されても簡単には元通りにはならない。

不器用なカズの愛し方。
不器用なアタシの愛し方。

タイミングを逃してしまっているから、
もう、そんなに結婚したいって思ってるわけじゃなかった。
嬉しさはあったけど、複雑な感じで。

なんて思ってるうちに泣いたのと気疲れとで爆睡(笑）

起きたらガチャピン顔だった。うわー、ぶっさいく…。

とりあえず化粧してみる。
ガチャピンに化粧。
いくらガチャピンがオールマイティでも無理なことはあるよね(笑）


おし、行くか。

向かった先はデパート（？）


指輪買って貰う。

ダイアモンドの輝き(笑）
キラキラだねー


店員が、ご婚約ですか？の問いに

いいえ。　←聞き逃さなかった(笑）

往生際の悪い奴。

じゃあ、誕生日ですか？

いいえ。

プレゼントでですか？いいですねー！
優しい彼氏さんですね!


じゃあ、試しますか？ （心の声）


そうですね☆優しいです♪
あはは
あはははは。

私の指にはカズから貰った指輪がある。
ダイヤモンドは永遠の輝きだっけ？

嬉しかったよ。
でも、安くても良かった。
気持ちが欲しかっただけだもの。

遠距離だと知るや否や店員の計らいで、
一緒にいるときは着けてて下さいね☆って事で
サイズがなかったけど後であわせることにして
とりあえず大きいままの指輪をつけてくことになった。

落としはしないけどぶかぶかな指輪が今のあたし達のようだった。
いつもどこかに隙間がある。
いつも握り締めていないと落ちてしまうように。

この指輪を証しにするの？
これで幸せを繋ぎとめることができるの？
わからないけど、
精一杯の気持ちでアタシ達は今いるのね。
頑張ろう、頑張ろう。
どっちもがきっと思ってる。

愛情を形のあるものにして
失くしかけた気持ちを取り戻すことを願うんだね？

言い方は悪いけど、物に頼るほどのピンチ。
不器用な二人の形。

もう一度創っていこうか。
そう思った。







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カズが迎えに来た。
胸がチクリとした。

いつもと同じ気持ちで逢えない。
それでも逢えたらやっぱりこの人はアタシの大切な人。

何する？どこかいくの？

きょうはお前のやりたいことをする。
いつもと違う言葉。
優しさが痛かった。

一緒にいれるだけでいいよ。って言った。
笑うその顔を見てたら泣きたくなる。
ごめん、裏切って。
ごめんね。
でも、寂しかったんだよ。アタシ。

結局、ドライブをすることになった。
楽しかった。
優しいカズ。
どうして？って聞いたら、
お前、やっつけられてるし、やっぱり痩せたし。大変そうだ。
それだけ？
帰ってこないとダメになるって言ってたじゃない？
うん。
だから、帰ってきたよ。
そっか。

楽しもう。今日は。そう思った。
それからは楽しかった。
足湯に入ったり、思いつきで野外焼肉してみたり(笑）

沢山の家族連れが楽しそうで、夢のようだなと思った。
こうやってアタシはカズと居たかった。
こんな風になりたい。それを願ってた。
幸せな休日。仲のいい恋人。そう見えただろう。
アタシはカズと手を繋げなかった。

ちょっと遠くまで行ったのと、疲れたので帰り道車で寝てしまった。

気がつくと家のほうに向かってた。
まだ、１９時だった。
ごめん、寝ちゃった。
疲れたんだな。
大丈夫だよ。
送るよ。

家の裏手の公園に着く。

街の明かりがキラキラしてる。
苦しい。

アタシは言った。
楽しかったね、今日。
うん。
楽しかったよね、今日。
気付いたら泣いてた。

顔は外を向いたままで泣いた。
カズがアタシの名前を呼んだ。

アタシ、この人が好きなのに何でだろう。もう我慢できない。
今まで出来ていたことが出来ない。

もう、待てない。そう言った。

アタシの口から次々とこぼれる言葉。

一緒に暮らそうといって断られたこと、
それを母親が聞いて号泣したこと。
結婚自体を考えてないと言われたこと。
一人で暮らすための家を二人で探した不自然さ。



何よりも、襲われた時に結局はアタシは一人だったということ。
必要な時に救われたかもしれない言葉を言ってもらえなかったこと。
いつの間にか鈍くなってしまったアタシの心の事。


アタシ、きっとカズと結婚したかったんだよ…。
アタシはもう31歳になる。
幸せにだってなりたいし、幸せにしたい。
結婚とかってお互いのタイミングなんだってわかってる。
でも、アタシと貴方のタイミングは合わないんだよ。
だったらこれ以上一緒にはいられない。

積み重なった想い、４年の重さ。

気付いてたはず、でもそれに触れなかったでしょう？
それが、答えなんだよ。そう言った。

カズはアタシをなだめようとしたけどアタシはその手を振り払う。

一緒にいて３年だもんな。カズは言った。
気持ちは側にあるんだと思ってた。当たり前なんかじゃないのにな。
お前の気持ちを弱くしたのは俺なんだな。

ごめんね、どうして待っていられないんだろう。
何ヶ月か前まではすごく楽しかったのに。
ずっと一緒にいたいと願ったのに。

家近いから場所変えるか。
そう言ってカズは車を動かした。

もう外は暗い。

アタシもカズも港が好きだ。
何度も来た港が見える公園に着いた。

光。

カズはアタシの光だった。
どんなときも光ってた。
つらくてもその光がアタシにはずっと見えてた。
たまに消されたりしてもアタシはその光を探して
思い出して、また見つけて。
迷わなかった。
でも、もう消えてしまう。思い出せなくなる。
そんな遠くまで来てしまったよ。
なんでだろう。

そう言った。

ここまではっきりと言ったのは初めてだった。

不意打ちで抱きしめられた。
拒む隙もなかった。
だから、しがみついて泣いた。
声を出して泣いた。
カズも泣いてた。
泣かないでー　って言ったら少し笑われた。

離れてボーっとした頭で二人で海を見る。
カズがポツリと話し出した。

俺は仲間で会った時は腹を割って話すんだ。
彼女の話とか、仕事とか。
お前のことも話した。
おもしろい子だって。　←どういうことよ

俺の性格はみんな知ってるからさ、
音信不通になった時も、酷い事したなってときも
それでもめげずに笑うんだ。すごいんだって。

転勤になってそのうちのひとりと飲みに行って、
どうなんですか？って聞かれた時に
仕事終わったらこっち来るって言ってる、じゃあやっぱり一緒に住むしかないかなとか思ってるって言った。
じゃあもう結婚しちゃえばいいじゃないですかって言われてさ。
その時、

そうだな、結婚するなら今の彼女とするって言ったんだ。

驚いてたよ（笑）言ったくせにな。
後にも先にもお前みたいのはいないってわかってるんだ。
今更だけどそんな事も考えてたんだよ。

何てタイミングなの…。
この人って。

別れ話の後にされるプロポーズ。

なんなの？これ。
別れムード1000％だったのに。
軽く眩暈。

待ってたらいい事あるの？
そうだな。

どっちよ！

あります！

おちょこ半強制的に結婚決まる…。
もはや、軽く脅した感もある感じで。

一瞬、うわ、あるのかよ！（驚）と思っちゃった。

嬉しさも半減するょ…。
だって別れ話の後でしょ？
言わせたうえに腹くくられたみたいな(泣）

どうしてこうなのか。アタシ達って。


続く





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眠るまでは切なかったのに
ぐっすり寝てしまったおちょこです(笑）

起きて横を見ると目が合う。
「あ、いた」
って(笑）

可愛い…（泣）

ゴロゴロギューギューしながら
布団っていいね？幸せだよね？温かいね？って

お前ら子供か！(笑）

寝転がっていると天窓から空が見える。
今日、天気いいのかな？曇ってるかな、少し。
今日は何処に行こうか？
何処にしようか？なんて。

とりあえず布団から出ろ！

のそのそと起きる。
が、１０分後何故かまた布団にいる二人(笑）

繰り返す「布団っていいね☆」(笑）

９時前に目覚めたのに10時半近くになって行動開始。
ダメ人間じゃん。

ドライブだな。
じゃあ、何処にする？

決められない…。

コンビニ行こうか？いいねー。
コンビニでドライブ特集見るもどれも遠い。
桜だって咲いちゃいないのさ、まだ。

とりあえず、走ってみる。
思いつきで暖かい方面に向かってみる。


長距離ドライブ。しかも手を繋いで(笑）
そのうち手の皮剥けるんじゃない？って感じで。

天気が良かった。そして嬉しかった。
大きな木を見に行った。

葉っぱ無いと貧相だね…。
割れ目はなんでも湿ってるんだな（ニヤリ）

このエロオヤジが！

青空の下で思いっきり不似合いなエロ話炸裂。
ホントこの人って…。
ま、いっか。

腹減ったな。
そうだね。
じゃ、名物の豚丼食うか！それをドライブの目的にしよう！

行き当たりばったりでグルメドライブに(笑）

老舗で話題のお店は長蛇の列。
私達はそこまでこだわりはないのよ。
なのでその裏手通りにあった豚丼ののぼりのあった店へ（笑）

豚丼に温泉卵が乗っている元祖「豚玉丼」を食す。　←ホントか？

美味い！　(笑）

大満足。あ、眠くなったね？目が半分しか開いてないよ？
目細い〜☆

眠いのね？
うん。
帰ろう？
うん。
帰って布団入ろう？　（ダメ生活）
うん♪

よっしゃ！帰るか！　←見開く目（キモっ！）

布団を目指して帰途に着くって（笑）
途中、ケーキ買って帰る。まだ食うか。
太るかな？　もう、太ってマス(増す）

家着。
布団！ふーとーん！　←　布団コール
服脱いで潜り込む。
キャー☆ウワー♪

あー、幸せー☆
んー、幸せー♪　←　ダメダメチーム３０

昨日そういえばＤＶＤ借りたのに観なかったね？
あ、観ようか。　ねー♪
ベッタリくっつかれて観る。
アタシの過去にはないこのくっつき様。

何このべた付き具合、10代？すげー！

こういうのやってみたかったんだということにも気付く（苦笑）
しかも嫌じゃないとこが痛い…。

デイジーを観た。韓流ブームという訳じゃないけど。
彼はデイジーに出てる女優さんが好き。
アタシも出てる俳優さんが好き。
合致。

でも、哀しい映画だった。
二人してしんみり。
ギュー。

今日も一緒にいようよ。　　と彼が言った。

明日仕事じゃん。
泊まっていきな。
連泊？
あ、彼氏と明日逢うからダメか。
アタシは少し笑って答えなかった。

一緒にいよう。　　　もう一度彼が言った。

アタシは彼の側にいたかった。

一緒に寝よう、朝起きたらまた隣にいてほしいよ。

その言葉にアタシは負けてしまう。

帰らないよ。

彼がニッコリした。苦しいほど抱きしめられた。
嬉しいんだね。
でも罪悪感があるのね？
きっとアタシとカズに。
うまくいって欲しいって言ってても、それでも割りきれないんでしょう？
そしてこんなに引き止めてしまって少し苦しいんでしょう？

明日になれば、この楽しかった一日が終わってしまうもの。
夢のあとさきだね。でも夢はいつか終わるんだよ




カズ、ごめんなさい。
同じこの街にいるのに、いつもそれだけで世界は変わったのに、
アタシはその色を変えてしまったよ。
好きなのに、本当に貴方が好きなのにどうしてかな。
明日逢ったら、また世界は変わるのかな。
今は、貴方を想えない。
想うと貴方の言葉を思い出して苦しいから。



愛されて眠る。
愛されたいと願ったカズじゃなく
愛してはいけないと思った彼と。


すぐに朝は来た。


彼は行きたくないと抱きついて言った。行っちゃうくせに。
どうせなら彼氏に逢うなっていえばいい。（逢うけれど）

私は静かに笑う。
ずっといてもいいよと冗談ぽく彼は言った。悪あがきだな(笑)
嫌なんだろうな。きっと。
好きなのかな、アタシが思っているより。
でも、無理だよ。アタシはカズに逢わなくちゃ。
いつもよりグズグズ用意してるのってずるいよ（笑）
最後まで帰ってくるまでいてもいいよって言ってた。
アタシは笑いながら言う。
今日は彼氏に逢うから。でも、メールしても大丈夫だよ。
彼は少しだけ笑って仕事に行った。
最後まで連れて仕事に行きたいって言ってた。（ヤバイだろう、それは）
きっと今日、飲みに行くんだろうなこの人、落ち着かなくて（笑）

外は晴れてる。
洗濯と掃除をして彼の家を出た。
彼の匂いがした。

勉強机の上には彼が可愛いと言ったヘアピンをこっそり残した。
貴方を選べないアタシの心の代わりに置いて行くよ。
こっちも悪あがきか（苦笑）


カズに電話した。９時。
１０時半に迎えに来る。
家について用意をする。


カズに逢う。
アタシはカズをまだ愛してるんだろうか。
答えはもうすぐわかる。

少し怖い。





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彼の温度が心地よかった。
やんわりとした居心地が。
何気ない一言が、
気がついたらアタシの頬にあたっている視線が。

時々抱きしめるその腕が愛しかった。

いつもより上機嫌。
すぐ眠くなるのに（笑）

どうしたの？今日は上機嫌だね？の問いかけに

やっぱり嬉しいんだろうな、彼氏じゃなく俺のところに来てくれたってのが。

細い目で笑う。
胸が苦しくなる。

アタシはカズじゃなく彼を選んだ。
今、一番一緒に居たいのは彼だった。
本当に逢いたかった。

手に入らないものはどうしても輝いて見えるものなんだろう。
これは錯覚なんだね、貴方は私のものじゃない。
でも、この一瞬が今私に必要なんだよ。

抱きつく力も強くなる。
彼の力も強くなる。
同じだったらいいのに。
この想いが同じく続いたらいいのに。

もつれるようにもどかしく重なる。
アナタノメニウツルアタシハドンナナンダロウ。
貴方が私の最後の恋人でありますようにと叶わないことを願う。

ずっと一緒にいられたらいいのにと言ったアタシの言葉を
聞き逃さずに「うん、一緒にいたいよ」と言った。

アタシはその言葉に救われて少しだけ傷つくんだ。

それはないことだと知っているから。

それから手を繋いで眠った。
痛いほどしっかりと握りしめられた手。
貴方のたてる寝息。

ねぇ、貴方をアタシは手放せるのかな？
貴方はその時、仕方ないと頷くのかな？

この手を、この全てを望んではいけない。
目を瞑ると涙がこぼれた。
これ以上好きになりたくない。

もう、これ以上。






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彼からのメールには
家にいるので連絡下さい
気分悪くしてた？もしそうだったらごめんね。

謝らなくていい。
その優しさはいらない。
だって、わかってる事だもの。

１５分後位に電話した。
帰ったの？
うん。
じゃあ用意するね。
もし、嫌だったら…。
何で？
いや、奥さん来るよのメールした後返事なかったから
もしかして気分悪くしたかなと思ってた。
約束してたから連絡しちゃったけど。
ううん。別に気にしてないよ。だって見たの夕方だったし、
奥さん来てたらメールまずいと思ってさ。
そうか。
お互い様だよ、アタシも今日、彼氏帰ってきたもの。
え、じゃあいいよ？彼氏と遊んで。
いや、さっき会ったよ。用事あるからって帰したけど。
悪いよ、約束とか気にしなくていいから。
いいの。今日は貴方と逢う日だったでしょ？逢いたいよ。
そうなの？
うん。でも用意するから待ってて。
じゃあ、用意できたら連絡下さい。

大体１時間後と言って電話を切った。
気にしてたのか、不倫は初めてじゃないって言ったのに。
若干違うのは、アタシが少し好きになりすぎている事位。
欲しいと思ったことくらい。←　ダメじゃん

用意が終わったのは１時間半後（笑）
母には彼氏が帰ってきた事にして出かけるからばっちりメイクと服で。
帰ってこない事はわかってるはず。

外は少し雨が降ってた。
小走りで家から少し離れたとこに止まっている彼の車へ。

罪悪感でもあるのかぎこちない挨拶を（笑）
こんばんは。
こんばんは。

時間かかってごめん。対彼氏用にしたから(笑）
うん。きれいだね。いいね。
そう？
家でいいの？どっか行きたい？
家でいいよ。コンビニで何か買っていこう。
そうだね、じゃ、行きますか。

気にしてないといいつつも、さっきまで奥さんがいただろう部屋に行く。
そう思って胸がチクリとした。
今日はその布団で寝るのかと思うとちょっと苦しかった。
逆（奥さん側）もまた同じか。つーかそっちのほうが嫌だろ（笑）

コンビ二の明るいところででアタシを見た彼は、
やっぱり違うんだね。と言った。
何？あ、格好とか？スッピンとかだったもんね（苦笑）
いや、それは気を許してる感じで嬉しいけどさ。
でも、対彼氏用って言ったって、貴方に会う為に化粧とかしたよ？
そうか。（嬉しそう）
梅酒を買い込む（笑）

家着。
奥さんがいた形跡は冷蔵庫の中身と、ハンガーにかかったバスタオル。
見なかったことにしよう。（プラス思考）

乾杯！

何だか久しぶりな感じだね。と言う。
そうだね、たった２日なのにね。
もしかして嫌かなって思ってた。
アタシは悪いなとか思ってやめようと思ってたらって考えた。
いや、悪いなって思うのはやっぱりあるよ、
やめようとかホントは思ったほうがいいのかもしれないけど…。
勝手な感じだけどおちょこが嫌ならしかたないけど、
俺からは言わないな、一緒にいたいよ、今日も逢いたかった。
そっか。
でも嫌だった？だまってたみたいな感じになって。
別にー、あ、でも良くしてもらってるのにごめんは余計だった。
え？
良くしてあげてる訳じゃない。したくてしたことだよ。
謝られたくなんてない。
そうか、ごめんね。傷つけちゃったね。
いいよ、逢えて嬉しい。
俺来てくれて嬉しい。電話来た時嬉しかった。勝手だね。
大丈夫だよ。

もっとずるくていいのに。
アタシが離れてられるほど適当だったらいいのに。そう思った。

それでもこんなやり取りが出来るということ。
全部じゃなくても話し合えるということ。
たとえその言葉が今だけだとしても仮に嘘だとしても
傷を癒すには充分な言葉。

言われたい言葉
言われなかった言葉
言える言葉
言わなきゃいけない言葉
その違い。

知らないうちに我慢していた事を嫌でも気付かせる。
どうして言えなかったんだろう。
カズもアタシも。

続く





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翌日、昼間にぼけっと煙草を吸いながら
今日は彼に会えるのかなと思ったりした。
霧雨が降ってる。
奥さん帰らないかも。とか。

カズに言われた言葉も忘れてしまいたかった。
楽しいなと思ってる時っていつもこう。

仕事は忙しかった。
メールも来てない。
あの奥さん来ますメールからアタシもしていない。

冴えない天気同様アタシも冴えねぇ…。

３０分くらい超勤してバスで帰った。

家について一息。
１９時頃に帰るって言ってたなぁなんて。
まだ１時間半あるけど用意はしないでおこう。
ダメだった時嫌だから。
なんて思ってたら電話。

カズ。

もしもし。
帰ってるの？
うん、もう仕事終わったの？


いや、待ち伏せ失敗した。


飛び出す心臓(笑）

帰ってきたの？
うん。　　←　ヤ・ベ・ッ！
今日用事あるんだろ？だから帰りを狙った。
あぁ、そういう人でした。そういえば。
でも失敗したなぁ、わかんなかったよ。
これからどうすんの？
実家に行くよ。
ちょっと寄ってけば？
母さんにあったらヤダからいいよ。
じゃあ、裏の公園の所で逢おうよ。
めんどくさいな。　←カチッ。
いいから来い！

５分後、カズに逢う。
何やってんだアタシ。

だめになるって言うから帰ってきてやったぞ。
そうかー（早すぎるよ…。）
帰ってくる日教えてくれたら用事つくんなかったのに（嘘）
いや、いいよ。
明日もちょっと忙しいから４日の日でいい？
わかったよ。
ごめんね？
別にいいよ。
ちょっと喋った後で車を降りた。
いつもくらいに嬉しいっていう気持ちはなかった。
でも、昨日刺さった言葉は深かったんだ。

どんよりしていたらいつの間にか時間が経ってた。
茜空が聞こえる。
彼からだ。

ぼんやり思う。
タイミング。
カズとアタシのタイミング。
彼とアタシのタイミング。


すれ違わせたものはなんだろう。








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アタシがずるいのは百も承知。
カズを裏切っている事実。消せない。
でも、罪悪感がないのは意味がある。


会社で襲われた事を話したときも
アタシの望んだ言葉をカズは言ってくれなかった。
ホントはとんできて欲しかった。

パニック状態なアタシに
犯罪だから訴えてやれとか、慰謝料取ればとか。
大丈夫か？怖かったなとかその一言だけで少しは救われたかもしれない。
普通は大丈夫かが先じゃないの？ってアタシが言った後で言われる大丈夫。


二人で暮らそうと言って断られたこと、
母はそれを聞いて号泣したけど、アタシは鈍くなっていた事。
この距離、望んだものが遠くなる言葉。

もう、何とも思わないから教えて。
結婚するとか考えたことある？

結婚自体を考えてないな。

そうだ、この人は期待を裏切らない。
アタシは何で４年も一緒にいるの？
もう少しで３１歳になるんだよ。
何を安心してるんだろう？何でそんなに余裕なの？
そう思ったら泣けてきた。

襲われたことの揺り返しで泣いているのかと勘違いした彼は
離れてるけど大丈夫だよって２回言った。
守ってもくれないその手は何の為にあるの？
大丈夫の意味は何処から来るの？

アタシは泣きながら振り絞るように言った。
泣きながら寂しかったんだって事に気がつく

何が大丈夫なの？その言葉は近くで言ってよ！


そしてカズはこう言う。




手がかかるね。




致命傷。もう泣きたくなんてない。


連休帰ってこなかったらダメになるよ。
逢えなかったらいなくなるよ。
とだけ言って電話を切った。

その時、別れようと思った。
好きな人がいるからとかじゃなく、




アタシのＳＯＳを軽くあしらった彼を憎んだから。







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ゴールデンウィークネタもあるのに未だ続くこのネタ…。
おちょこです。少し急げ！

続き↓

早く寝たら早く目覚めてしまう３０歳のアタシ（笑）
起き抜けに一服して、机の上の指輪をみて考える。


無理だろ。


そこまで優しく出来ない。
これ以上は。
男として好きじゃないのにこの指輪をつけられない。
決めた。
つけることは一生無い。

そして出勤。
明らかに私の手を気にする上司。
何もつけてないのを確認。
あからさまに落胆した感じがしたけれど、気にするもんか。

決裁を受けるため別部署へ行く道すがら彼を発見。
後ろにいるのに気付かない。
すれ違い際に「おはようございます」って言って通り過ぎた。

昼休みにメールが来てた。

『指輪してるのかな？』

返事。

『つけてこなかったよ。どう考えても無理だもの。』

返信。

『かっこいいよ！（泣）』

『ますます好きになりました(^0^）』

爆笑。

かっこいいって…。何でいつも言われるか、この言葉（笑）

またも帰り迎えに来る。
いつも2人でドキドキ。（小心）

株があがったよ、藤原紀香くらい。
は？
陣内と結婚するってなったとき俺の中でかなり株が上がったんだー
ん？
そのくらいかっこいい。いいよ。
微妙なたとえで株上げ成功に。

連休、どっか行こう。
遠出って言っても近場しかいけないけどさ。2日の日とか。
仕事あるから終わってからでいい？
うん。俺は1・2・3と休みだからいいよ。
楽しみだね。そうだね。
あ、帰んないの？家。
7からまた休みだからそのときに帰るよ。
そっか。
あ、彼氏来るんだったらいいよ。
いや、3とかじゃないかな来るの。
つーかまた教えてもらってないし…。

なんて。
うわー、嬉しい。

でもね、落とし穴。

１日にメール。

はっきり言ってなかったけど今日奥さんこっちに来ます。
明日の１９時頃までいます。
あんまり連絡できなくなるけど、ごめんね。
逢えるようになったら連絡します。
よくしてもらってるのに（掃除とか）ごめんね。


胸がチクリとした。
チクリの原因は奥さんが来るというより謝られたこと。
掃除とかは好きでしたこと、よくしてもらっては余計。

つまんない。
そのメールは仕事中に見たから返事はしなかった。
だって奥さんもうきてるかもしれないから。

用事あるって言ってたけど、来るって言えなかったんだなぁ。
前の日だって逢ってたのに、言う事は出来たのに。
アタシが哀しむとでも？嫌がるとでも？
そんなんだったら最初から手なんて出さないよ。←　出したのか？（笑）
そんな嫌な気持ちとか前面に出す女は覚悟が出来てないんだよ。
いや、別の覚悟を持ってる場合もあるけどな（笑）ばらしちゃえとか。
でも、アタシは知ってる。
欲は出るだろうけど、貴方が手には入らないって事知ってるよ。
不倫って辞書を引いたら　　人の道にそむくこと　って書いてある。
一途だろうがなんだろうが、お互いの相手に誠実じゃないさ。
だからなおさら、ずっと一緒にいたいなんて夢も見ていられる。
愛が根を張っても、その土台は逃避だ。


なもんで、おちょこ、仕事に集中（笑）
否が応でもクールダウン。
別に嫌いになったりしないけど。
つーか、妙に片付いた単身赴任の部屋って大丈夫か？
上手くやるんだろうケドさ。


夜、そんな感じで彼氏と電話するからひと悶着（笑）
この後に突入するゴールデンウィークは激動の展開。

乞うご期待！







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それから２日経った。
次の日に行ったら、していた指輪を上司に取られた。
人が通るところで手を出しっぱなしにされ、
耐えられず渡した。
後悔したけど、もうあの目は怖かった。

いらないと再三言った。
電話が来た時もいらないと言った。
譲らないように思えた。

次の日の電話は無視した。
夜に２回、その次の日の朝６時頃に１回。
追い詰められる。

会社に行きたくなくて吐く。
結局、３０分遅れで会社に行った。

会社に着いて、机の引き出しを開けたら手紙が入っていた。
泣きたくなった。吐き気もした。

昼休みに外に出て手紙を読んだ。
謝罪の手紙。
着信拒否してるのかな？的なことが書いてある。
そんな小さいことはしないさ。

夜、もういいから忘れてください。
指輪は貰ってもつけられない、
思い出すようなものは何もいらないと返事を書いた。

翌日は金曜日。
帰り際に渡して帰った。

月曜日、出勤して机の引き出しを開けると
小さな紙袋と手紙が入っていた。

血の気が引いた。
まともじゃない人にまともに対応したことが悔やまれた。
昼休みに外の公園の人気のないところで号泣。
手紙は２枚にわたって書いてあって、
『１日でいいからつけてくれ、似合うかどうか見たいから』
と書いてあった。
吐き気がした。

そんな日に限って残業。
迎えにくる人がいないなら送ると言われて嘘をついた。

その時メールが。
彼だった。
さっき、まだいたね。帰り送る？
送って！

送ってもらうことになる。
が、敷地内はまずいので少し移動。
ピックアップ。
二人してドキドキ（笑）

指輪、手紙のダブル攻撃。
そうきたか！

二人で指輪見てみる。
キラキラしてるねー
高そうだねー
きっとウキウキで買ったんだとおもうなー

怖ッ！

何でそういうこと言うかなぁ
だってそう思ったもん。

つけるの？
まさか。
きっとおちょこ優しいから期待してるよ？
ヤダな。
つけて欲しくないな（ポツリ）
うん。

でも、１回つけてあげたら気が済むのかもよ？

どっちの味方？なの！あんたは。

や、やだけど止まれば（攻撃が）いいなと思って。
あーそういうこともあるかもね。
明日、おちょこの手は逢っても見ないようにするよ。
（つけると思ってるんだ）
ちょっと考えてみるよ。
うん。

とは言いつつも、何度か指輪を隠そうとするあたり（笑）
子供だなと苦笑。

帰ってから、考えることなくアタシは寝てしまうんだけど。

つづく






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逢って車の中で話した。
ずっと手をつないでた。

その温かさに安心する。

上司に言われたように自分に隙があったのかもしれない。
それでも、そんなことをされて当然だとは思えない。
自分の気持ちだけで愛情を押し付けてきて、そして
アタシを責めるようなそんな言い訳をするのが許せなかった。

でも、哀しかった。
辛かった。そうしか出来なかった事とか、
その相手にアタシを選んだことが。

そんな事をポツリポツリと話していたら

それじゃ、貴女が可哀想だよ。
我慢しなくていいんだよ？優しくなくていいよ。
だってつらいんだから、怒っていいんだよ。

と彼が言った。


アタシはいつのまにか怒り方を忘れてしまった。
ひどいと思っても、哀しいなと思うことのほうが多い。
人に言われて、あぁ、やっぱりひどいことだったんだと思ったりする。
どれだけ鈍くなっていったんだろう。
一つ一つ基準を変えていって、慣れる事で守ったものは何だったんだろう。
積み上げた年月で創りあげた幸せは誇れるものなんだろうか。

一体、アタシの存在って何なの？

思わずこぼれた言葉。

泣けもしない、ただ痛い。ただ苦しい。
身体がこわばる。

握った手にぎゅっと力が入ったのと同時に抱き寄せられる。

『大丈夫だよ。いる意味は絶対にあるから。』

胸が詰まって息が出来なかった。
言葉が身体がアタシを全力で守ってくれる。

『大丈夫』は自分で言い聞かせなくてもいいんだ。
言ってくれる人がいる。
意味のある、心に届く『大丈夫』を。




恋をする。このひとに。





許されるはずがない。
だから、許されなくてもいい。

４年目にしてアタシはカズを本気で裏切る覚悟をした。







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