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2003年06月17日(火) 腎機能障害における利尿剤の位置づけ

腎障害の進行を抑えるための、重要項目の一つに降圧というのがあるのはみなさんご存じのことと思う。
具体的には、135/85mmHg未満を降圧目標とし、尿タンパク1g/day以上では125/75mmHg未満を目標とする。
血圧というのは高い人ほど自覚症状がないので、いくら患者さんに言って聞かせても、
「わしゃ何ともない」、といわれてしまい、
「そりゃ何とかなったときにはもう手遅れなんやからがんばろうね」
とか、だましだまし、薬を飲んでいただくのである。

そこで、降圧剤の選択枝である。
レニンアンギオテンシン系阻害剤が、最近では第1選択薬(ACE阻害剤・ARB単独または両者の併用)になっている。
それで降圧が不十分な場合の第2選択は利尿剤。
第3選択はCa拮抗薬とのことである。

なるほど、という話だが、
ここで利尿剤の使い方についてのコメントが自分の勉強になったので紹介する。

体液貯留がある場合の利尿剤の使い方だが、
降圧作用がもっとも強いのはサイアザイド系(フルイトラン)だが、Cr2.0以上では優位の利尿が得られず、その場合は降圧効果は弱いものの、ループ系利尿剤(ラシックス・ダイアート)が有用とのこと。
K保持性利尿薬は高K血症の可能性があり、腎症患者には用いないとのことであった。

()内の利尿剤は当院での採用品目であるのだが、こういった使い方をするのだな、と、改めて認識し直した。
きっと専門の先生には当たり前のことなんだろうけど。

ちなみに、自分の患者さんのことになるのだが、腎保護作用とか、蛋白尿減少の意味で、ARB(ニューロタン)とか使っている人が数名いるのだが、なかなかいい感じである。
確かに蛋白尿は減少しているのである。

でも、当院では腎臓に関しては自分が診ており、
血圧は他院の内科とかで投薬を受けてる人とかが一番やりにくいのも事実である。
こうこういう理由でうちに一任して欲しいんですとか、なかなか言いにくいもんね。
難しいものである。

2003/06/17

(参考文献;CURRENT THERAPY 2001 Vol.19 No.10 p63-67 腎機能障害例,宇佐美武・木村玄次郎)


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