Deckard's Movie Diary
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2007年10月30日(火)  タロットカード殺人事件 ブレイブワン 自虐の詩

往年のハリウッド映画を彷彿とさせてくれる小粋な佳作。ウッディ・アレンの手腕は間違いなく名人芸の域に達しています。アレンのセリフ回しが鼻につく印象はありますが、それでも名人芸であるのは変わりません!新しいモノは何もありませんが、安心して観てられるのもいいもんです。それにしても、アレンの映画に出る役者ってのは、皆アレン風味になっちゃうんですよ・・・それって凄いですよ!スカーレット・ヨハンセンは何をやらせても卒なくこなして、いつもと変わりなく魅力的です。観て損は無い一品!



『ブレイブ ワン』これはダメだなぁ・・・このまとめ方はダメでしょ!今時、こんな結末でいいんですか?マジな話し、ジョディももう少し脚本を選んだ方がいいと思いますよ。っつーか、銃社会に批判的だったジョディはこんな内容の映画に出演していいんですか?予告編からある程度の予想は出来ましたが、その予想を覆す結末が用意されているのかと思いましたが・・・これだったら、その描き方が一方的だとしても『キングダム/見えざる敵』の方がいいでしょ!脚本を読む力が無いとは思えないので“銃社会歓迎!”に心変わりでもしたんでしょうかねぇ・・・解せないなぁ。だいたい、ニール・ジョーダンもどうなのよ?何で、こんなの作ってるんかなぁ・・・こんな脚本をOK!しているハリウッドも酷いですけどね。最初に思い浮かぶのはチャールズ・ブロンソン主演の『狼よさらば』なんでしょうけど、似ているのはサリー・フィールド主演の『レイジング・ブレット』の方でしょうね。もちろん、軍配はサリーに上がりますが・・・とにかく、ジョディの熱演が虚しい作品でした。ジョディ・・・大丈夫なんですかね?



『自虐の詩』・・・う〜ん、どうなんでしょうか?オイラは原作の良さが出てない!と思いました。っつーか、完全に別物ですね。原作は4コマ漫画ですが、けっこう深層心理を大事にしていると思うんですよ。だからこそ!の“自虐”なんですけど、それに比べてこの作品は原作の上辺だけを掠め取っている印象がしました。それが“映画化だ!”と言われれば、それは違うだろ!と声を大にして言いたいですね。特に原作に無いヨシエが事故った以降は、無理に泣かせようとしていて白けてしまいました。原作は自虐的なんですけど、何処かほのぼのしているんですよ。その辺りが人生いろいろだよなぁ・・・みたいなところもあって愛おしくなるんですけど、この映画にはそれが無いですね。つまんねぇ〜映画になっちゃったなぁ( ̄。 ̄ )ボソ…


2007年10月23日(火)  インベージョン グッド・シェパード

『インベージョン』は『es』『ヒトラー最後の12日間』のオリバー・ヒルシュビーゲル監督の新作です。SFホラーの名作『盗まれた街』は過去に4度映画化されているそうです。個人的に知っているのは2本で、初の映画化作品になるドン・シーゲルの傑作『ボディ・スナッチャー/恐怖の街』と、一番有名な2作目フィリップ・カウフマンの『SF/ボディ・スナッチャー』です。3作目は未見のアベル・フェラーラの『ボディ・スナッチャー』。で、本作が4度目の映画化でオリバー・ヒルシュビーゲル監督作品だったので少しは期待していたのですが・・・軽かったっすねぇ!悪くはないですが、想像していたより随分と軽かったっすねぇ!ちょっと拍子抜けでした。まぁ、今回が一番“辻褄”と言うか“てにおは”と言うか自然なんですけど、一番面白くないような気がします。侵略されていく前半はいいんですけど、後半はなんかねぇ・・・母と子とか、眠っちゃいけないとか、そっちにばかり気をとられて恐怖は全然感じられません。それってダメでしょ!っつーか、自分のイイ人だけ脚を撃って、他のどーでもイイ人は無差別に殺しちゃうってどーなの?大笑いですよ。オリバー・ヒルシュビーゲルという人は生真面目なんでしょうね。やっぱドイツ人なのかなぁ・・・・・( ̄。 ̄ )ボソ…もうちょっと遊びが欲しいですね。



『ブロンクス物語』以来のデ・ニーロ監督作。元々はスコセッシ監督で映画化が進んでいたそうですが、デ・ニーロにお鉢が回ってきたそうです。3時間近くもあり真摯な姿勢の力作ですが・・・個人的にはどうにも盛り上がりませんでした。地味で長い小説を読んでいる感じです。悪い映画だとは思いませんが、映画として完成度が高いとも思いません。やはり、経験のある監督に演出していただきたかったですねぇ。アンジェリーナ・ジョリーの役なんてメチャクチャ中途半端ですし、マット・デイモンの性格がいまいち分かりません。また、その息子の行動もなんだかなぁ・・・です。この映画は行間を読まないといけないんでしょうけど、ちょっとなぁ・・・。オイラはダメでした。全編に渡って一本調子で映画としての魅力に欠けるのが致命的でした。ただ、そんな感じの映画ですから、DVD鑑賞をするには相当辛い気もしますし、まぁ、観ておいて良かったかな(苦笑)。


2007年10月17日(水)  僕がいない場所 キングダム/見えざる敵

現代の『禁じられた遊び』という評価もありますが・・・確かにそう思わせる部分もありますが、やっぱりそれは褒めすぎです!そこまでの完成度はありません。が、決して悪い映画でもありません。ただ、地味過ぎるというか、もう少し演出に起伏があってもいいんじゃないでしょうか?もちろん、それでも生きる逞しさに溢れる主人公の“僕”クンデルに心打たれますし、儚い夢を見るいじらしさに切ない気持ちにもなります。どんな名前であろうと、子供は“子供”!“子供”という生き物は人類の希望です。どんなことがあろうと、こんな目に遭わせてはいけませんよ!




『キングダム/見えざる敵』さすがにマイケル・マンがプロデュースしているだけあって臨場感も緊張感も半端じゃないです。おそらく映画を観慣れていない人は相当疲れるのではないでしょうか?でも、これが映画なんですよぉ〜!TVドラマ紛いの最近の邦画とは根本的に違うんですよぉ〜!そんな、腹にもたれそうな勢いで寄り切ってくる本作ですが、好きですねぇ(笑)。なんてたって、この映画を観ている最中、この映画の世界にドップリと浸かってられたことですね。ぶっちゃけ!ありえないストーリーの連続ですが、そんなコトはどーでもいいです(いいのかよ!)

この映画で重要な扱いになっているセリフは、おそらくハムラビ法典(イスラム教とは関係ありませんが・・・)の「目には目を、歯には歯を」から来ていると思うのですが、感情に任せた復讐がいかに無意味であるかを描いています。自分が望んでいたことを果たした時、胸の内に渦巻くやりきれない思い・・・。それに気付くかどうか・・・どっちにしろ、ヤっちゃってから気付いても遅いんですけどね。ただ、オイラのように目の前を斜めに横切る人間に対して直ぐに「てめぇ!ふざけんなよ!ぶっ殺してやる!」と思ったり、なにかと考えなしで行動してから「(/・_・\)アチャ-・・、またやっちゃったよ!」と後悔している輩にとっては戒めとなる良い映画でした。

アレだけの事故を起こしていながら無傷とか、弾が一発も当たらないとかありますが、そういう状況の後に、並んでいるクルマの間から敵を狙い撃ちするシーンとか、仲間を捜し出すシーンとか緊迫感があったので全く問題ありませんでした。

“見えざる敵”とは人の心の中に住むバケモノのことなのは明らかです!


2007年10月13日(土)  パンズラビリンス 大統領暗殺 サウスバウンド

実はギレルモ・デル・トロって嫌いじゃないんですよ(笑)。『ミミック』はもちろん、『ブレイド2』は『1』より好きですし、『ヘル・ボーイ』の続編も楽しみにしているような輩です。彼の作品は日本やヨーロッパの監督のようにちょっとウェットなところがあり、自分の好みに合っているのでしょう。3年も待たされた『デビルズ・バックボーン』はイマイチでしたが、この作品には今回の作品に通じる流れがあったような気もします。で、デル・トロの名前がいきなりアカデミー賞にノミネートされて驚かされた新作の『パンズ・ラビリンス』を観てきました。いやぁ、凄いですよ!この作品は間違いなくデル・トロの最高傑作ですね。スペイン内乱を背景に少女オフェリアにふりかかる過酷な運命。少女は現実逃避をしていたのか?夢を見ていたのか?子供の目には美しいと感じたモノはより美しく、残酷に感じたモノはより残酷に映るモノです。魚眼レンズを超えているKIDS眼レンズを通して描かれた空間は、ある意味リアルなファンタジーとも言えます。それは一般的な“ダーク・ファンタジー”とは違い、作品そのものがラビリンスというか、パラレルワールドのような世界観で満たされていて、残酷な現実を目の当たりにした少女の危くあやふやな心が儚くも美しく描かれています。言い古された言葉ですが、こんなにも切ないラストも久しぶりでした。恐れ多いとは思いますが、多少なりとも少女の心に近づけた気もしました。

今の日本に内乱はありませんが、人々を取り巻く状況は決して楽観出来るようなモノではありません。そう考えると、オフェリアのような少女が居ても不思議ではないでしょうね。

例によってデル・トロの定番である虫や個性的なクリーチャー、リアルな残酷描写が満載ですので、その手が苦手な方は敬遠した方がいいと思います。がしかし!出来れば、全ての人に観て欲しい作品です!キッパリ!




その斬新な手法からかなり期待したのですが、ちょっと期待ハズレでしたね。例えば、このストーリーで普通に映画化したら相当平凡ですよ。そう考えてしまうと、だからこの手法なのか!と勘ぐりたくもなります。

『現職の大統領の暗殺を仮定して、徹底したリアリズムでシミュレーションするラジカルなテーマが世界各国で物議を醸した問題作。911同時多発テロを受けて始まった“対テロ戦争”の泥沼化が進む中、いつしかアメリカ国民からの支持も失ってしまったジョージ・W・ブッシュ大統領。本作は、そんな今や多くの人が世界を覆う混迷の元凶であるかのごとくみなすブッシュ大統領が暗殺されたとの架空の設定を基に、ブッシュ亡き後の世界がどのような方向へと進んでいくかを客観的に考察し、その想像の未来を徹底したドキュメンタリー・タッチで描き出していく野心的政治サスペンス・ドラマ。監督はイギリスの俊英ガブリエル・レンジ。(“オールシネマオンライン”から)』

面白いのはブッシュが撃たれるまでで、それ以降はちょっと眠たいです。インタビューで構成されているので仕方無いのですが、想像の範囲を越えないので、今までに何度も見たようなニュース映像の繰り返しのような錯覚に陥ります。でも、この辺りが限界なのかなぁ・・・この映画の手法に興味が湧いたのですが、自分で自分の首を絞める結果になったのかもしれません。ただ、この手法で描かれたことに寄って分かりやすく見せられた部分もあります。まぁ、分かったことは世界の警察・アメリカの大統領が暗殺されたところで何も変わらない!ってことですね。全てが滞りなく、まさに大統領も歯車なんです。それこそが世界の、政治の、スタンダードってコトなんでしょう!




とにかくテンポが悪いし、都会での子供達の演技はワザとらしいし、マジで森田って下手糞になったなぁ。前作の『間宮兄弟』も酷かったですが、どうしちゃったんでしょう。『39』は良かったんですが、それ以降の作品はあんまり誉められたモノではないでしょう。プログラム・ピクチャーをこなしているうちに、緊張感が無くなってしまったのかもしれません。この作品も設定(両親がバリバリの学生運動戦士)は面白いと思うのですが、単にハチャメチャなだけで説得力がありません。ハチャメチャならもっと突き抜けないとねぇ・・・中途半端なんですよ。ラストは嫌いじゃないので、何処かで既成概念と真剣に立ち向かう部分が欲しかったです。

ところで、長女役の洋子を演じているこの腫れぼったい女性は誰だ?と思っていたら北川景子でした。なかなかいいんじゃないですか?そう言えば『間宮兄弟』にも出ていましたから、森田のオキニなのかもしれませんね。


2007年10月06日(土)  『パーフェクト・ストレンジャー

ラスト7分11秒に大どんでん返しがあるらしい『パーフェクト・ストレンジャー』。まぁ、この手の宣伝コピーが付いている映画で面白かった映画はほとんどありませんので、最初から期待しないで観ました。で、ほとんど想像した通りの内容でしたね。別に犯人が分かったとかじゃなくて、ワザとらしいというか無理があり過ぎというか、要は演出とか脚本とかが稚拙なんですよ。映画そのものが、どんでん返しの為のストーリーになっちゃってるんですね。どんでん返しまでのお話が自然じゃないので飽きちゃいます。例えばシャマランの一連の作品(「どーなの?これ!」みたいな奴も多いですが(笑))とか、記憶に新しいところではトルナトーレの『題名のない子守唄』とか、ちょっと前なら『アイデンティティー』とか『フルイルティー』とか、それなりに良く出来ている作品はオチに行くまでに自然と謎が謎を膨らます感じになっているんですが、ダメな奴ってのは不自然さばかり目立ちますし、とってつけたようなシーンがいきなり入って来ます。この作品も、そういうダメ映画の典型的なパターンでした。ぶっちゃけ、ラスト10分だけ観れば十分な映画ですよ。ハル・ベリーもブルース・ウィルスも笑っちゃうくらい魅力も存在感もありません。っつーか、こんな映画に出るなよ(苦笑)


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