Deckard's Movie Diary index|past|will
「お前、作ってるやろ!」というセリフは、バラエティ番組等でタレントが実体験を披露した時に、その話があまりにワザとらしい面白さに満ちていると、司会者が突っ込む言葉ですが、この映画は、そんな印象を残す作品です。もちろん、映画ですから全編が創作です。でも、そのストーリーの中に誰もが自然と納得出来るエピソードが含まれていると、その他のウソ臭く思えるエピソードも真実味を持ってくるワケです。監督の源孝志は、きっと真面目な人なんでしょう。とにかく、遊びがありません!主要登場人物12人が交差しながら、いくつかのストーリーが描かれるのですが、その全てが“濃い”というか、重いんです。だから、ついつい「お前、作ってるやろ!」という突っ込みを入れたくなります。もっと普通の人々、な〜んも劇的なコトが無い人達も描いた方が映画としての厚みが出たんじゃないでしょうか?例えば、回転寿司屋のシーンなどは幾らでも面白くなったような気がします。個人的にはモデルと少年、やくざと主婦のカップルの話など全くピンと来ません。それでも、この映画は好きです。何故なら、誠実だからです。何処までも、誠実に人間の素敵な部分を描こうとしているからです。そんな誠実な人間像を演じる宇津井健、淡島千景、豊川悦司、田口トモロヲ、原田知世、田畑智子、井川遥等は、とても魅力的でした。
簡単に言ってしまえば・・・それなりに美味しい料理を食べている隣で、「美味しい?美味しいでしょ!ね、美味しいでしょ!」と何度も聞かれているような映画です。そんな状況だったら、味も落ちるってモンでしょ(笑)。冒頭から流れてくる音楽を始めとして、前面に「さぁ、皆さん!ノスタルジーにド〜ンと浸ってくださ〜い!」と、臆面も無く誘ってきます(笑)。舞台は東京タワーが出来た昭和33年の東京。今から47年前の東京が見事に再現されています。「あ、見たことあるそ・・・ああ、上野駅か!なるほどねぇ!」みたいな映像が溢れ出てきます。良くぞ再現した!と、間違いなく褒めたくなる出来です(オイラって何様(苦笑))。西岸良平の原作自体がベタですから、映画も当然の如くベタな展開で進みます。個人的にはノスタルジックな味付けが濃すぎてゲップが出なくも無いですが、それでも、子供時分に被っている時代ですから、懐かしい気分に浸れますし、決して悪い嫌いな作品ではないです。
ラ・マンチャで夢破れたテリー・ギリアムはこんな映画を撮ってたんですねぇ・・・『ブラザーズ・グリム』。もちろん!童話で有名なグリム兄弟が主人公のファンタジー!なんだかギリアム節が炸裂しそうじゃないですか(笑)。ストーリーはグリム童話で有名な様々なエピソードを散りばめながら、進んで行くのですが・・・まぁ、ストレートな話ですわ!捻りも無ければ毒も無い!当然『未来世紀ブラジル』や『バロン』『12モンキーズ』で見せた圧倒的な世界感もありません。あくまでも小品、サクサクっと作った印象です。それでもテリー・ギリアム好きには、それなりに楽しめます。主演のマット・デイモンですが、整形したのかなぁ(笑)それくらい、いつもの顔と違って見えました(笑)。観終わった後の印象は・・・ティム・バートンの今年の2作品に近いかも・・・(苦笑)。おそらく、グリム童話に深い造詣がある方にはもっと楽しめるんでしょう(だからぁ?)。
デッカード
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