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2005年06月08日(水) さようなら、ミス・ヘレン・ハンフ

女優アン・バンクロフトが、2005年6月6日、
子宮ガンのため亡くなったそうです(享年73)。

『卒業』(どこがいいのかわからん)のミセス・ロビンソン、
『奇跡の人』(アカデミー賞獲ったけど…)のサリバン女史、
大体ニュース記事はこの2派に分かれて報じられており、
ついでになぜか、
『エレファント・マン』『アサシン』など出演作多数、
てな調子になっていて、
「往年の女優」「盛りを過ぎたら二流作のわき役ばかり」
という印象を与えかねない紹介なので、
ひどくつまんない、よくいる演技派女優が亡くなって、
ああ、あの人かと思い出させるのがようやくです。

私にとっての彼女は、
『チャーリング・クロス街84番地』で演じた
実在の作家ヘレン・ハンフ(1916−97)がベストです。
それ以前にも、彼女の出演作を何本か見たことはあったし、
演技力のある人、
顔だちはきれいだけれど、いわゆる美人女優とは違う人、
そんな印象を持ってはいました。
が、『チャーリング…』での彼女は、
洒落っ気もなく、煙草にジンに分厚い古書、
悪態をつきながらタイプライターを打つという役柄だったのに、
「もお、この人についていきますぅ」
という気にさせられました。
製作にも当たった夫君メル・ブルックスが、
結婚21年目を記念して
この原作(書簡集)の映画化権を獲ったという話も、
憧れ以外の何ものでもありません。

若い頃より晩年の方がむしろ艶っぽい感じで、
出演作がどれも不出来なのはともかくとして、
姥桜というのは、こういう人をいうんだろうなあと
うっとりと見とれたことすらあります。
まだまだ映画にたくさん出てほしかったのに…
とにかく、御冥福をお祈りするばかりです。

それにしても、1984年の出演作『ガルボトーク』は、
いつになったらソフト化してくれるんだろう。


ユリノキマリ |MAILHomePage