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2005年11月29日(火)


■水と電気とかみさま
朝、バスから見える小学校の廊下に、「ことり」と「ゆう気」という書き初めが並んで貼ってあるので、わたしは毎日それを見るのが楽しみでした。なんだか帰ってきても、あと一ヶ月ぐらいまだ練習してこれから本番、という感じが抜けなかったのですけど、今日になってようやく終わったんだなという感じがしてきました。(というより会社の机の上が、サイン待ちの書類を積まれたどこかの王様のようになっていたせいかも)

田辺弓さんは、わたしがネットをはじめたときからずっと知っていて、ぺんてか経由だったのですけど、こうやって弓さんにも樋口さんにもお会いしてイベントに関わったりするなどとは当時はつゆほども思わなかったので、本当に不思議です。河井さんにしても昔のハンドルネームの頃は頭のよさそうな年上のひとというイメージで、そのころは近寄りがたかったのですけど、こうやって一緒に何かをしたりするのは縁なのかなあと思います。コトバコに来てもらわなかったら、カルマで犬の詩の朗読を聴いていなかったら、等等、なんかずっと忘れていたことをちょっとずつ思い出してきました。いやしかし、当時の自分の詩だけは思い出したくないかもー。

イベントは、自分は緊張しすぎて、朗読がどうだったのかよくわからないんですけど、会場の演出と終了後のご飯のおもてなしが本当に素晴らしくて、お客様も和やかで、その場にいられたことが本当に誇らしく嬉しかったです。いろいろな方々が手間をかけて尽くしてくれたこと、そういう気持ちの温かさが身にしみました。



静岡入りしてすぐに弓さんのお宅におじゃましました。ご飯をいただいて、家に飾ってあるものをいろいろ見せてもらいました。星の王子様の陶器のお人形に大興奮! 象をこなす、あの話がいちばん好きな場面で、まさにあの場面のお人形だったんですねー。茶色い塊を取るとなかから象が! きゃー!

それからギャラリー入りして、リハーサル。ギャラリー自体はロフト構造でシンプルなつくり。白い壁が綺麗でした。反響がよくて、声を出すのがとても気持ちよかったです。おやつにいただいたゆずもちと抹茶、おいしかった。本番前に樹齢800年という楠をみんなで観に行きました。幹のくぼみにすっぽり身体がはまる箇所があってしばらくはまっていました。ゆきむしが飛んでいて、弓さんの指にとまっていました。

ハプニングとしては、腕の付け根をひねりました。本番中にお腹鳴りました! それから猫に噛まれました。わたしの立ち位置は階段だったので、落ちたりしなくてよかったです。

今まででたぶん一番いい朗読ができたとは思うのですが、どんなに練習しても何度本番を重ねても、たぶん完璧だと思えることはないんだろうなと思いました。その果てのなさがおぼろげに見えたのが、自分と詩の関係についての一番の収穫でした。あとわたし自身がずっと気にしていたことが、樋口さんにそれは大事なことだと言われたのが嬉しかったです。

それから、ワニラと読んだのも面白かったです。ワニラが三人で読むと別の人格がもうひとり現れるのだそうです(笑)。練習ではわたしはその別人格との戦い、みたいなことになってました(笑)

心残りはむつの半身。。翌日のせっかくのお寿司が最後まで食べれなかったのは残念でした。あとひと口だったのに。。でもお腹も壊さず元気に帰ってこれてよかったです。イベントも、ともだちと旅行みたいに新幹線に乗って美味しいものを食べたことも、楽しい思い出になりました。今年は京都にも行ったし、お腹いっぱいです。わたしも写真を撮ってきたのですけど、ドラマチックにピンぼけしていて載せられません。。



イベントに関わってくださったすべての方に感謝しています。
ありがとうございました。


2005年11月25日(金) きみはコトリ


■ひゃー
いよいよ明日です。嘘みたい。よく思うことなんだけど、たとえば受験の前とかぜんぜん勉強していなくても受験日が来てしまうのが現実味がなくてとても不思議でした。なんで勉強しなかったんだろうってまた阿呆のように思ってました。(※きみはコトリはちゃんと練習してまする)。で、コトバコのときも思ったのだけど、当日よりも準備までをきちんとこなすっていうのがとても大事だと最近は感じています。舞台に立つということはそれだけで得がたい大きなものなんですけど、心の底でずっと持続していく静かで強い歓びというのは少し影になったところにあるような気がしています。

■ねむい。
ところで今日はどういうわけかものすごく朝から眠くて、もうどうしようもなくて、午前中からドリンク剤を飲んだりしていたのですけど、それでもどうしようもなくて、諦めて居眠りしました。。疲れることなんてしてないのに、なんだったんだろう。。今日ははやく寝ます。にゃ。


2005年11月23日(水)


■どうして許してしまうの。
…という「イン・ハー・シューズ」を観てきました。これは姉のトニ・コレットのセリフ。姉ならばぜったい1度は呟いたことがあるはず! 初めの方で、妹が姉のクローゼットから服やら靴やら失敬していくのだけど(これもありがちよね、、)靴が壁面にずらりと並んでいるのは圧巻でびっくりした。このおねえさんは地味な感じの人で、ファッションに興味なさそうな感じなのですね。でもちゃんと理由が(ちょっと笑ってしまった)。

このバカで本当にダメな妹に振り回されてキーッとなっている姉にひたすら同情しました。(うちの妹は賢くてかわいくてちゃんとしてるけど)基本的に振り回されるタイプなので、なんだかわかりすぎる。。でも核心をついているのは、やっぱり許してしまうってことなんだと思う。もう理由なんてなくて、そういうものだというしかないのだけど、何をされても許してしまうんだな、これが。

妹役はキャメロン・ディアス。バカっぷりは筋金入りって感じですごかったです。シャーリー・マクレーンとの絡みではどきどきしてしまいました。このマクレーンのエラという祖母の役が人間的に素晴らしくて、この忍耐!ああ見習いたい(笑)。この妹にはわたしは同情はしないんだけど、でもこの映画みたいに誰かのために努力するっていうことを覚えて、がんばれたのは素直に嬉しかった。もう姉の気分です。さみしいとか自分はダメだからとか、そういうものを持ち出せば他人から確かに一瞬は手をさしのべてもらえるのだけど、本当の幸福がそういうところにはないことを、朗読を褒められたディアスの満面の笑みが証明しているようで清々しかったです。

姉の方も男を見る目がなかったり、自分に自信がなかったり、けっこうダメなのかもしれないけど、このくらいは許してもらいたいなー。はは。振り回され体質のひとにはオススメの映画です。
http://www.foxjapan.com/movies/inhershoes/


2005年11月20日(日)


■『泣かない女はいない』長嶋有
主人公の睦美という人は、わたしによく似ている。ぼーっとしているようなんだけど、そこにはしごがあればうむ、昇るタイプ。でもたぶん、こういうひとは本当はたくさんいるんではないかなと思いました。見えづらくてもたぶんたくさんいて、でも目立たないからちょっとだけ珍しがられたりすることがあったり。とかいって、いないよ!とか言われたらやだな。。

シャトルって…と、またなんかツボな地域で、高校見学で大宮からシャトルに乗って揺られたときのことを思い出しました。(電車の中で友達と、ものすごく一生懸命コアラのマーチの眉毛を探した記憶がある)すごく寒い日だったので、寒くてさみしい空気感が作品と重なって、面白い心持ちで読みました。フォークリフトとかある場所にいたこともあったし。うん、男のヒトってフォークリフトに乗った途端生き生きとするよな、と思いました(笑)

作品としてはとても丁寧に書いているのだけど、ちょっと桶川さんの出会い方とか、ラストのところとかあからさまな!と思うところも多々あり、タイトルが強いので、当然ラストは一歩引いてあるんだけど、さらにあともう一歩引いたところで終わってたらよかったなあと思いました。

それにしても、彼氏が時計を買ったといって振り返って笑ったあとの5行、頭に血が昇りました。眩しすぎたのかな、でもわたしもたぶんそうする、と思う絶妙なタイミングで、たぶん他人から見たらしょうもないんだけど、綺麗でいいシーンだなと思いました。


2005年11月14日(月)


■「じゃあ、われわれは、もうだめだな!」
ところで唐突に海底二万里を読み始めたのですが、面白いです。冒険のスタートが日本からだとは知りませんでした。それにネモ船長は寡黙なひとだと思っていたのですが、かなりアツイ! わたしは主人公の弟子(?)のコンセイユ君と銛打ち名人のネッド・ランド親方の会話が非常にツボで、ときどきうっとなりながら読んでいます。あと最初の方でおぼれている博士とコンセイユ君に心をわしづかみにされました(笑)。泰然自若とでもいうのかしらん。海に投げ出されて死にかけていてもなんだか楽しそう。や、わたしもこんなふうに生きていけたらいいなあ。ロマンだロマンだー。なぜか最近のわたしのなかのキーワードはロマンなんですね。これは何がきっかけなのか思い出せないんですけど、とにかくいろんなものにロマンを感じている今日この頃…。ちょっと前まではゴーストだったんですけどねえ(笑)。


2005年11月13日(日)


■『レオナルド・ダ・ヴィンチ展』 直筆ノート「レスター手稿」
行って来ました。六本木ヒルズ。この会場、森アーツセンターギャラリーというところはたいへん狭いですね。狭い上にひとが溜まりやすい構成になっていて微妙でした。なんかもう見るどころではなかったです。今回はレスター手稿(水の流れなどについての研究がまとめられているみたいです)に書かれていることを再現して実際にいじったりして楽しめる、という趣向だったのですけど、こういうのはもっと広い場所でやらないと。。ダ・ヴィンチの直筆…もっと堪能したかったんですけど、保護のため暗くてあまり見えなかったし、むー。でもコピーの方には鏡が置いてあって、文字が読めたのはよかった。

■杉本博司「時間の終わり」
写真なんてぜったいわからないし…とか思ってたのですけど、これはかなり面白かったです。会社帰りにでもまた行こうかな。このひとはフォトグラファーではなくてアーティストなんですね、たぶん。無理に分ける必要もないかもしれませんが。。このひとの考える時間という概念が非常にわかりやすく写真に顕されていて、同じ日本人だからかしらん、とも思いつつ、彼が日本人であることを非常に意識しているのがまたよかったと思います。

海の風景はこれはもうロマン!としかいいようがない。能舞台を作って、能をやって(萬斎さんが出てた)、これはうまくいえないくせに視覚で見ると非常にわかりやすいのです。あと、どこかの神社のデザインもよかった。地面に地下空洞を作って、光の階段で繋ぐ、それから地下空洞からは海が見えるのですね。こういうのってああいかにも、って思うんだけど、でも京都に京都駅みたいな建物を立てるのじゃなくって、こういうことをやらなきゃだめなんだと思いました。

六本木ヒルズに関して言えば、わたしは嫌な感じは受けないんだけど、ただやたら行き止まりが多かったり、変なでっぱりがたくさんあったり、ハリポタの寮みたいだなと思いました。ある意味都市伝説となり得る建物ですよねー。興味深いです。でも今回はちゃんと帰れた(笑)

■髪を切った!
シルブプレ美容室に行って来ました。今回の担当者は男のひとで一瞬やだなーと思ったんですけど、歌人の鈴木有機さんを黒く(…髪をね)したようなひとでちょっとくつろいでしまいました(笑)。眉間に皺寄せて、一心不乱に切ってました。で「(わたしの髪が)多くて、夢中になってしまいました!」といってた。ありがとう(涙)


2005年11月11日(金)


■ぎゃふん。
SDカードを買ってきたので、意気揚揚とさあ音楽ダウンロード!と思ったらこれが入らないんだなー。miniって。。

■ベトナム近代絵画展 (東京ステーションギャラリー)
見てきました。ここで前に見たモンゴル近代絵画展がとてもよかったので密かに楽しみにしてました。んーでもちょっと小ぶりな印象。とにかく画家ごとの個性の違いがわかりづらい。この国はひどい戦争をしたから、文化もだめになったのかもしれない。

特徴としては、工芸品的な板に漆で描かれたものが半分近くあって、これはとてもすてき。アジアの文化は省略の線がほんとうに綺麗に合いますね。で、アートというよりはやっぱり家にふつうになじむような工芸品といった感じでした。あとは西の絵画などに影響を受けたものなども幾つかあったけれど、これはまだまだと思いました。それから無視できないのが、戦争を題材にとった絵がかなりの数ありました。ふつうのひとの傍らにライフルがある、というような不思議な距離感で。

ちょこちょこ象の置物が置いてあるのがかわいかったです。
ベトナムとモンゴルはいつか行きたいなあ。





2005年11月06日(日)


■どーん!
て感じの仕事に入りました。頭がぐるぐるしてしまってたいへんです。この混乱に乗じて詩をひとつ書きました(笑)。同じ理系でも動物研究とかの仕事だったらもっと楽しいのになあ。昨日はブックオフでアッテンボロー先生の「鳥たちの私生活」という本を買ってきました。アッテンボロー先生というのは、BBCかなんかで鳥のシリーズの番組を作っていたひとで、その番組を観ていたのでついつい購入。うちに帰って、表紙をていねいにふいたら綺麗になったのでよかったよかった。しかし何よりアッテンボローという名前が(以下略)。

■きみはコトリ
DMが欲しい方は差し上げますのでゆってくださいませー。来られなくても構いません。HPと同じ柄で、すごく綺麗なハガキです。先週はまた練習をしてきました。風邪をひいて鼻声でひどい声だったんですけど、それでも初回よりよくなったと自分でも思って、それは詩のイメージがだんだん身体に染み込んできたからだんだと思うんですが、この感覚はとても不思議です。自分の詩だとこうはいかないし。。声がちゃんと治ったらもっと練習しまする。しあわせー。

■コープスブライド
なんと。ヴァネッサVSエイリアンが思ったより早く終了していて観そこなってしまいました。がーん。くやしいのでコープスブライドを観ました。が!が!(シゲカネさんの真似だ)ミュージカルだし薬を飲んでいたせいでばかみたいに気持ちよくなってしまって眠ってしまいました。わたしはたぶんがんばればがんばるほど空回りするタイプかもー。そのあとみんなで美味しいご飯をたべて気持ちよくなっていたんですけど、帰りに切符なくしたりしました。駅員さんの好意でお金はちょっとおまけしてもらえたけど、精神的ダメージ、プライスレス!(て、これがいいたかっただけ)

  


2005年11月01日(火)


■こどもの城
のとなりにある国連大学に行ってきました。入り口の回転ドアがありえないくらいにびゅんびゅん回っているので、すごく怖い。中は欧米の大学っぽい感じでした。明るいのですね。そして外国人がいっぱいいる。おつかいだったんだけど、シンポジウムの会場に入って同時通訳のヘッドホンでふんふんと聞いてみたり。日本語で聞いても何をいっているのかぜんぜんわからなくて、居眠りしてしまいました。世の中にはいろんな分野のお仕事とか研究があるんだなあと思って、自分とまったく関係ないようでいて、本当はちょっとずつ関係しあっているのが不思議です。

せっかく青山まで行くのだからと、昨日一生懸命カフェを調べたんですが、朝いちのおつかいだったので、どこも開いていないのでした。なんかこんなんばっかりだなあ。

■『世にも美しい数学入門』小川洋子・藤原正彦
わたしはもう分数の計算もあやしいんですけど、「博士の愛した数式」が面白かったので、こちらも読んでみました。対談形式で読みやすい本です。読みやすいけど、最後の方の証明はちょっと飛ばしてしまいました(苦笑)。

表題どおり、「美しい」という言葉が千回は出てくるんじゃないかというぐらい、小川さんと藤原さんが詩を暗誦するようにうっとりと話をされていて、こちらも一緒にうっとりとなりました。世の中には美しい数式/醜い数式があるそうで、話を聞いていると確かにそんな気がしてくるのでした。基本的には、哲学のように、学問としての数学とは何か、そんな話なので難しくはありません。価値のある数式というのは役に立たなくて、かつ美しいものなんだそうです。数式だけがあるとき発見され、証明は後世のひとが何百年もかけてやったりもするし、あるときふと物理学の方に役に立ったりとか、そんな不思議な学問らしいです。とにかく数式が出されるときというのは、証明ができたときではないんですね。「(証明はまだだけど)こんなに美しい数式が間違いのはずがない」とか言う数学者もいるそうです。

あと、数学者たちのエピソードも面白かったです。インドのラマヌジャンというひとは、そういえば「グッド・ウィル・ハンティング」の主人公のモデルだったなあと思い出しました。でも藤原先生の言う数学の生まれる条件なるものが正しければ、アメリカのスラムからは生まれそうにないな…と(笑)。

ちなみに、0を発見したのはインド人というのは有名ですが、マイナスを発見したのは中国人だそうです。日本人もとても得意な分野で、ノーベル賞があれば20は獲ってると言ってました。そうなんだ。。なぜわたしは。。

※「博士の愛した数式」は今月末に文庫本がでまする。興味ある方はぜひぜひ。わたしは三角数に感激しました。