■映画の感想です。映画館で観たもの中心。普通にネタバレしてるのでお気をつけください。
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2012年02月27日(月) 「メランコリア」

※盛大にネタバレしてますよ!





さすが鬱映画を撮らせたら右に出る者はいないラース・フォン・トリアー(ほめてます)。監督自身の鬱病体験が投影されたという本作は、ひとまず「地球の滅亡を美しく描いた終末映画」という体裁になってるので、これまでの作品と比べると一見マイルドな口当たりではあるけども、やはり本質的には誰も救われない、とことん憂鬱な映画だと思いました。救われてるとしたらこの結末を「ある種のハッピーエンド」だと言ってのける監督くらいで、それはとても不健全なことだと思う。幻想的な映像とアート風の演出に騙されてはいけない、また惑星メランコリアとは何だったのかとか宇宙の意思とか滅びを前に人は何をすべきかなどと哲学めいた意味をくみ取ろうとしてはいけないのであって、なぜならこれは単純に「世界なんか終わればいい、地球滅亡しろ、一人残らず死んじまえ」っていう病的な破滅願望を正当化して実現させただけの映画なのだから。共感できるかどうかはともかく、その徹底ぶりには純粋に感服した。

第一部「ジャスティン」では、結婚披露宴当日における花嫁ジャスティン(キルスティン・ダンスト)の奇行が延々描かれます。富豪の姉夫婦が時間もお金もかけてセッティングしてくれた披露宴なのに彼女は何時間も遅れて到着し、その後も心ここにあらずな様子でパーティを抜け出したりケーキカットの時刻に客を待たせまくってお風呂に入ってたり、花婿の誘いを断って部屋を出たかと思うといきなり初対面の男の子を押し倒してセックスしたりする(それも野外で)。もうマリッジブルーとかのレベルではなく明らかに心を病んでいる。常識人の姉夫婦はやきもきしててジャスティン本人も周りに迷惑かけてる自覚はあるんだけど自分ではどうすることもできない、それが伝わってきてこっちもげんなりです。しかもジャスティンだけでなく電波な発言で場の空気を凍りつかせる母親(なんとシャーロット・ランプリング)、娘のことなんかどうでもいい父親(なんとジョン・ハート)、仕事のことしか考えてない上司(なんと「ドラゴン・タトゥーの女」のマルティン役の人だった!)等が続々登場し、とにかく見ていていたたまれないお寒い披露宴、それが第一部。
続く第二部の「クレア」は披露宴から数ヶ月後、さらに病状が悪化して身動きがとれなくなったジャスティンが姉クレア(シャルロット・ゲンズブール)の屋敷にやってくるところから始まる。一人では歩くこともできないくらい憔悴しきったジャスティンですが、惑星メランコリアがどんどん地球に近づいてクレアやその夫(キーファー・サザーランド)が不安になるにつれ、彼らと対照的に落ち着きを取り戻してゆきます。そして悟りきった顔で地球は邪悪、生命もみんな悪だから消滅しても嘆く必要などない、などと言う。それが「自分にはわかる」のだと。第一部での不安定ぶりが嘘のように冷静なジャスティンと恐怖で取り乱す常識人の姉夫婦、世界の滅亡を前に立場は完全に逆転し、果たしてジャスティンの言葉(あるいは予言、あるいは望み)通り、地球はメランコリアによって美しく砕け散るのです。
世界の終わりを描くのに惑星の衝突という方法を選んだのは、それがどうあがいても絶対に逃れられない事象だからだと思う。たとえば核戦争とか局地的な災害とかだと生命存続の可能性が出てきてしまうけど、地球自体がなくなってしまえば人類は(というか生命は)問答無用で全滅であり、誰一人例外なく絶対に生き残れない。それくらい徹底した破滅願望をジャスティンの言葉で強引に正当化したうえ極めて美的に実現させる。正しい、美しいものとして。こんなふうにしか救われないのはたいそう苦しいことだろう。

映像は全体通してアートな感じでとてもきれい。特にスローモーションで流れる冒頭数分間が白眉です。あれは一種のイメージ映像というか、ジャスティンの心象風景みたいなものじゃないかな。ウエディングドレスのまま川を流れたり足に何かが絡みついて(劇中でジャスティンは毛糸と言ってたけど)走れなかったり。繰り返しガンガン鳴り続けるワーグナーの「トリスタンとイゾルデ」がまた効いてる。後半メランコリアが近づいてきてからの、夜空の左端に月、右端にメランコリアが並んで浮かんでる光景なんかも実に幻想的でした。

それにしてもジャスティンを演じたキルスティン・ダンストちゃんがハマリ役だった。すごく良かった。もともとどこか諦めたような悟りきったような、温度のない目つきをしてるじゃないですか。諦観の眼差しというか。子役で「インタビュー・ウィズ・ヴァンパイア」に出てきたときからあの目だったので、幼女のままヴァンパイアにされて数十年生きてるという見た目は子ども中身は大人な役にもまったく違和感がなかったことを思い出します。今回はヌードも披露してくれて大サービス。確かカンヌで賞とったんですよね。おめでとう!
あと姉役のシャルロット・ゲンズブールも良かったし、キャストはかなり大物揃い。上司の人が「ドラゴン・タトゥーの女」のマルティンだったのはびっくりしたけど(笑)さらに新郎役の俳優さんはこの方の実の息子なんだそうです。親子で共演してたんだ。

初週に観たので映画館はそこそこの入りでしたが、上映が終わって明かりがついても「……」って感じで誰も喋らず、みんな沈黙のまま粛々と出口に向かうさまは(自分も含めて)さながらお葬式でありました。さすがだよトリアー!空気重いわ!!!でもまあ「ドッグヴィル」を観たときよりは疲れなかった気がするし映像結構好みだし何よりダンストちゃんが良かったし、私はそんなに嫌いじゃないですこの映画。決して万人におすすめはできませんが。



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メランコリア
【MELANCHOLIA】

2011年 デンマーク・スウェーデン・フランス・ドイツ / 日本公開 2012年
監督:ラース・フォン・トリアー
出演:キルスティン・ダンスト、シャルロット・ゲンズブール、キーファー・サザーランド、
アレキサンダー・スカルスガルド、シャーロット・ランプリング、ジョン・ハート
(劇場鑑賞)



2012年02月26日(日) 「ペントハウス」


舞台はNYマンハッタンの超高級マンション「ザ・タワー」。最上階に住む大富豪がある日証券詐欺事件で逮捕され、さらにこれまで彼に誠実に尽くしてきた従業員たちの財産や年金までも運用と称して着服していたことが発覚。あまりのショックに怒り心頭の従業員たちはコツコツ貯めた大事な財産を奪還すべく富豪の隠し金を盗み出す計画を立てる…というクライム・コメディ。

普通このテの犯罪ものって「オーシャンズ11」みたくそれぞれ特技を持ったプロが集結して華麗に計画を実行するものですが、この映画では集まったのが完全なド素人集団ってとこが面白い。最後の最後まで「大丈夫かこいつら…?」というハラハラ感が味わえます(笑)。あと設定に共感を覚えるというか、金持ちはどこまでいっても金持ちで庶民の端金など何とも思ってない、割を食うのはコツコツ真面目に働いている大多数の一般層。っていう世の中の不公平感がそのまま具現化されたストーリーなので、ラストがとても痛快です。隠し金を見つけられたことより富豪の悪事をしっかり暴いて罪を償わせたことにスッキリする。まさに“肉を切らせて骨を断つ”。最後まで金で買収しようする彼に向かって「残念ですが当館ではチップは禁じられておりますので」なんて、実に小気味良いじゃないですか!これぞ一般勤労者の矜持ですよ。
私はブレット・ラトナー監督の爽快感とスピード感がすごく好きなんですよね。そのぶん荒削りでご都合展開なところもあるんだけどとにかくダーッと話が進む、この勢いが好き。メイドが偶然錠屋の娘で金庫破りの技術を持ってたとかどう考えても都合良すぎなんですが(しかも最終的には金庫関係ないし!笑)、いいんです楽しいから!そういう細かい部分にいちいちツッコミ入れる気にならず、素直に映画を楽しませてくれるところがラトナー監督の魅力だと思う。

ド素人集団の話でしたがキャスティングは適材適所、個性あふれる面々が集まっててすごく良かったです。主演のベン・スティラーは今回生真面目な役柄だったけど、エディ・マーフィのあのマシンガントークと互角にやり合う車中のシーンはさすがだなと思った(笑)。ケイシー・アフレックの天然ぶりもナチュラルで面白いし、あと個人的にはマシュー・ブロデリックの落ちぶれ感というか(笑)情けない感じがめちゃくちゃツボでした。それと鼻持ちならない大富豪を演じたアラン・アルダの悪役っぷりも見事。捕まってもまるで反省してなくて従業員なんか完全に見下してて、もうほんっと憎たらしいの!(ほめてます)
ティア・レオーニが疲れたFBI(でも絶妙にキュート!)っていうのも珍しかったなー。ラトナー監督とティア・レオーニといえば「天使のくれた時間」を思い出します。っていうかラトナー監督を初めて知ったのがあの映画だった。今でも大好きな一本です。


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ペントハウス
【TOWER HEIST】

2011年 アメリカ / 日本公開 2012年
監督:ブレット・ラトナー
出演:ベン・スティラー、エディ・マーフィ、アラン・アルダ、
ケイシー・アフレック、マシュー・ブロデリック、ティア・レオーニ
(劇場鑑賞)



2012年02月16日(木) 「ドラゴン・タトゥーの女」


私は原作未読でオリジナルのスウェーデン版も観てませんが、面白かった!ていうかまずオープニングのスタイリッシュぶりにしびれたわー。なんなのあれ超かっこいいよ!むしろこの映画はオープニングこそがメインで残りの150分は単なるオマケなのではなかろうか。と、半ば本気で思ってしまうくらいのインパクト。いやでも本編の方も面白かったです。予備知識ゼロでもちゃんと理解できる作りになってたし緊張感が絶妙に続くので二時間半があっという間。雪混じりの寒々しい映像もいかにもフィンチャーって感じだし、これリメイクに当たって舞台をアメリカに移したりしなくて正解だったと思う。

窮地に陥ったジャーナリストのミカエルが奇抜で孤独な天才ハッカー・リスベットと組んで40年前の未解決少女失踪事件を調査する…というのが大筋のストーリー。フィンチャーで猟奇殺人の話と聞いていたのでもっとサイコで難解でグログロしいものをイメージしてたんですが(一体フィンチャーを何だと思っているのだ)、予想してたよりずっととっつきやすい映画だったなあというのが率直な感想です(※目を背けたくなるようなシーンはいくつかあります要注意)。特にメインの40年前の事件というのがまた、閉ざされた孤島、クセのある富豪一族、少女が残した不可解なメモ、旧約聖書との関わり…等々、日本だったら横溝正史ですか?って感じの古典的要素満載で個人的に大変ツボでした。それに加えてミカエルの事情やリスベットの生活、そして二人が一緒に調査をすることになるまでの過程がテンポよく描かれるので、ほんと目を離す暇がない。多層的に面白いっていうか。
リスベットというキャラクターは評判通りかなり奇抜で、ヒロインとしては珍しいタイプだった。ピアスだらけの顔にガリガリの身体、ほとんど喋らず常に周囲に敵意むき出し。成人しても後見人がついているような生い立ちだが天才的なハッカーで情報収集能力や記憶力はずば抜けている、という。今回リスベットの過去についてはあまり明らかにされなかったけど、とりあえず人間不信でとことん孤独なんだってことは伝わってきた。ミカエルと初めて体の関係を持つシーンがあまりに唐突でスクリーンの中のミカエルと一緒に私も当惑したんですが、後から思うにリスベット的には狙われて怪我をして動揺しているミカエルを慰める&落ち着かせる&いたわるのにああいう方法しかわからなかったんだろうなあ。それくらいの孤独。つか全然関係ないけどモザイクかかったベッドシーンて久々に見た気が…(笑)
だからこそラストはとても切ないです。ミカエルに対するリスベットの想いって恋愛感情とも微妙に違うし父親像を重ねてるわけでもないし、なんていうか「信頼できる存在」みたいなものだと思う。それでも事件が終わってしまえば接点はなく、彼には帰る場所があるけど自分は一人。改めて己の孤独を思い知って一直線に走り去るリスベットが痛々しい。バイクの音まで痛々しい。

主演のダニエル・クレイグも普通に良かったけどリスベットを体当たりで熱演した(役柄的にはクールな演技ですが)ルーニ・マーラがやっぱり印象深いです。あと先日「人生はビギナーズ」で見たばかりのクリストファー・プラマーがこっちにも出てました。
それからジュリアン・サンズがちょい役すぎて泣いた(T-T)。スクリーンで見るの久々なのに…!予告にも出てたくらいだからもう少し出番があると思ってたよ!(笑) せめて一言でも声が聞きたかった…(ああいう役だから仕方がないけどね!)



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ドラゴン・タトゥーの女
【THE GIRL WITH THE DRAGON TATTOO】

2011年 アメリカ / 日本公開 2012年
監督:デヴィッド・フィンチャー
出演:ダニエル・クレイグ、ルーニー・マーラ、
クリストファー・プラマー、ロビン・ライト
(劇場鑑賞)


2012年02月12日(日) 「人生はビギナーズ」


立て続けにユアンですよ。ちょっとしたユアン祭りですよ。「パーフェクト・センス」ではどちらかというと快活なモテ系キャラでしたが今回のユアンは内向的というか消極的というか、とてもナイーブな青年役。いや38歳はもう青年とは言わないかもしれないけど、こういうユアンもいいな、と思いました。人との関わりや愛に臆病なユアン演ずるオリヴァーが父親の死後アナというフランス人女優と出会って愛し合い、新たな一歩を踏み出す…みたいな感じのヒューマンドラマです。監督・脚本はマイク・ミルズ。監督自身の個人的な体験がもとになっているとのこと。

父親をガンで失って数ヶ月、喪失感と看病疲れでさらにふさぎ込んでいたオリヴァーが友人に連れ出されたパーティでアンと出会う現在の話と、ガンを宣告された75歳の父が突然自分はゲイだとカミングアウトしてから亡くなるまでの数年間の回想、そしてオリヴァー自身が子どもの頃の母親の記憶、映画の中ではこれら3つが時系列を無視してまぜこぜに出てくるので最初は少々混乱するんだけど、見終わってみるとこれがオリヴァーという人物を理解するのに効果的な手法なのだとわかる。特に父親の回想部分は印象深いです。オリヴァーの父親は75歳にして初めてゲイであることをカミングアウトして、そこから突然人生を謳歌し始める。若い恋人を作り、ゲイ友達と集まって楽しく交流を深め、病気が進行しても取り乱すことなくできる限り普段通りの生活を続けていく。オリヴァーは父の病気とカミングアウトにダブルで当惑しながらも、自分を偽ることをやめて生き生きと余生を過ごす父の姿に羨望めいた眼差しを送るのです。
オリヴァー自身は自分の殻に閉じこもるタイプで人との関わりに踏み込めない。アンと出会って恋人同士っぽくなり一緒に住むところまで来ても心のどこかで「上手くいくはずがない」と恐れていて、結局自分からダメにしてしまったり。アンの方もまた違った意味で他人と深く関わることを避けてきた複雑な内面の持ち主で、このあたりの二人の不器用さは私もオリヴァーと同世代なので実感としてわかる気がしました。オリヴァーの父親が若かった頃はおそらく社会が今より保守的で抑圧されていて、その頃に比べたら今はいろんなことがオープンになったけど、だからといって生きるのがラクかというとそういうわけでもないと思う。他人と上手く向き合えない、自分をさらけ出すのが怖い傷つくのが怖い、という感覚は現代の方が馴染み深いのではないか。親世代の人たちは(精神的に)強いなあと思うことが私自身間々あるので、オリヴァーが父に向けた羨望の眼差しはすごく共感できるものでした。
だからこそ臆病なオリヴァーが自ら行動を起こすラストはとても愛しい。生前の父の姿を何度も回想し反芻し、そこから確実に何かを学んでいます。38歳でようやく一歩を踏み出しても75歳でゲイだとカミングアウトしてもいい、人生みんなビギナーなんだという監督の想いが伝わるやさしい映画でした。

…で、そんなオリヴァーを傍らでずっと見守っている犬のアーサーがもう最高の存在感!もとは父親の犬だったのを死後にオリヴァーが引き取るんだけど、本当に父の気持ちを引き継いでオリヴァーを見守っているように見えました。どこにでもついて回るし、こう、じっと目を見て話を聞くんです。どうしてあんな演技ができるんだ…!人の言葉を理解してるとしか思えない…!あああ可愛いよう…!!!ほんととてつもなく可愛くて超絶お利口なのでアーサーの可愛さを堪能するためだけにでも観に行く価値のある映画だと思います(真顔)。エンドロールでちゃんと名前がクレジットされてたけど(笑)コスモくんっていうんだね!公式サイト見てみたら今回が映画出演3作目のベテランだそうで、2002年生まれってことはもう10歳?10歳であの機敏な動きは立派!(って撮影当時はもっと若かったか)
それからアナを演じたメラニー・ロランがすっごく魅力的でした。でもこの人どこかで見たことあるような…と思って調べてみるとタランティーノの「イングロリアス・バスターズ」!ああ言われてみれば確かにそうだー! あと父親役のクリストファー・プラマーは、本作でアカデミー賞ノミネートされてるんですね(助演男優賞)。納得の名演でした!



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人生はビギナーズ
【BEGINNERS】

2010年 アメリカ / 日本公開 2012年
監督:マイク・ミルズ
出演:ユアン・マクレガー、クリストファー・プラマー、メラニー・ロラン
(劇場鑑賞)


2012年02月06日(月) 「きみはペット」

グンちゃんほんとに美男(イケメン)ですね!しかしグンちゃんのみならず主演のキム・ハヌルちゃんがまたスタイル抜群ですんごいキレイだったー。細っ!脚長っ!顔ちっちゃ!って感じで思わず見とれてしまいます。あと先輩役の俳優さんもえらいかっこよくてなんかもうひたすら眼福な映画でした。
全体的にテンポもよかったし、コミカルな雰囲気も絶妙だったと思います。ただこの話自体があまり映画向けではないような気がする。主人公が憧れの先輩よりも素直な自分でいられるモモがいいってことにゆっくり時間をかけて気づいてゆく、その過程に味があるので、映画だと(時間の制約上)若干急ぎ足の展開に感じられました。いやそれでも全然楽しかったですが。むしろよくまとめてくれたと思います。

あとこれは完全に個人的好みの問題ですが、モモ役はグンちゃんだとちょっとガタイがよすぎというか顔は優しげだけどわりと肉食系のフェロモンを感じたので(笑)、私は昔ドラマでやってた松潤版のモモが好きかな〜あのときの松潤はまじで可愛かった!でもグンちゃんにはグンちゃんの良さがあるんだけど!(どっちだよ) とにかくキュートで可愛くて何も考えず安心して見られるいい映画でした!楽しかった!


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きみはペット
【You're My Pet】

2011年 韓国 / 日本公開 2012年
監督:キム・ビョンゴン
出演:キム・ハヌル、チャン・グンソク、リュ・テジュン
(劇場鑑賞)


2012年02月05日(日) 「パーフェクト・センス」


これは不思議な映画だった。五感(嗅覚、味覚、聴覚、視覚)が一つずつ失われてゆくという原因不明の奇病が世界に蔓延する話なんだけど、人類が未知の病原菌と戦う感動作でもないし、病気によって混乱した世界を描く恐怖のパニック映画でもない。病に冒された一組のカップルを淡々と追う静かな作品です。
見終えて振り返ってみれば、そもそもこれが病気なのか何なのかもはっきりしない。主人公のスーザンは感染症の研究者という設定だけど最後まで何もわからず為す術もなく、結局自分も恋人のマイケルも発症してしまいます。この病気はまず強烈な悲しみに襲われた後嗅覚が失われ、しばらくすると今度は強烈な飢餓感に襲われた後に味覚を失い、さらに期間をおいて抑えがたい怒りに襲われた後聴覚を失う、そして最後に絶大な幸福感に包まれたまま視覚を失う(映画はここで終わる)……と、前触れとして感情が五感と結びついている点が特徴。あくまで感覚が失われるだけで生命の危険はなく、またこれら全てがいっぺんに発症するわけでもありません。一つ一つの感覚を失う間にはある程度の期間がある。この期間に人々がパニック→立ち直りを繰り返すところが印象的で、それがこの映画の本質でもあるのかなと思いました。たとえばマイケルはレストランのシェフなんだけど、彼の店では人々の嗅覚が失われた後匂いが感じられなくても大丈夫なよう味付けを濃いめにする。さらに味覚も失われた後は、見た目や音や食感で料理を楽しめるように工夫をする。味覚がなければレストランなど存在の意味がないかと思いきや実際は社交の場として客足が途絶えることはなく、人々は感覚を失った状態でそれなりに適応して生きていくのです。「それでも人生は続いてゆく」。
しかし聴覚まで失われる段階になるとさすがに世界は混乱する。映画もここからしばらく無音になり見ている我々も擬似的に聴覚を失うのですが、他人がこちらに向かって何か喋ってる様子なのに聞こえない、雑音すら聞こえてこないっていうのはものすごく怖いです。スクリーンの中では混乱に乗じて暴挙に走る人もいるし、冷静に理性的に行動する人もいる。どちらか一方に偏らず淡々と街の様子を映し出していたのが本当に印象的。
ラストで人々はついに視覚を奪われるのですが、この上ない幸福感に包まれ愛する人と手を取り合いながら何も見えなくなるというのは実に甘美な絶望だと思いました。いや絶望なのか希望があるのかわからない。何度か出てくる「それでも人生は続いてゆく」というフレーズが最後に再び繰り返されて、映画は静かに幕を閉じます。

感染症学者のスーザンを演じるのはダニエル・クレイグ最初の007でボンドガールを務めたエヴァ・グリーン、そして恋人のマイケル役はユアン・マクレガーです。ユアンはちょっと前に観た「ゴーストライター」も良かったしその前に観た「フィリップ、きみを愛してる!」もすんごい良かったし、私の中で最近また株が上がってる(笑)。昨日から始まった「人生はビギナーズ」も観に行く予定です!



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パーフェクト・センス
【PERFECT SENSE】

2011年 イギリス / 日本公開 2012年
監督:デヴィッド・マッケンジー
出演:ユアン・マクレガー、エヴァ・グリーン
(劇場鑑賞)


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