女の世紀を旅する
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2002年06月29日(土) 韓国と北朝鮮の銃撃戦の背景: 韓国側死者4人.負傷者18人

                       2002.6.29

 韓国国防省によると、朝鮮民主主義人民共和国(北朝鮮)の漁船と軍警備艇が今日6月29日午前、黄海上の事実上の国境線である北方限界線(NLL)を越えて韓国との緩衝海域に進入、警戒していた韓国軍警備艇と銃撃戦となった。韓国の高速警備艇が沈没、韓国側に4人の死亡者と18人の負傷者が出た。北朝鮮の警備艇は炎上しつつ北方に去った。

 南北間の軍事衝突で死者が出たのは、1996年年9月に北朝鮮の潜水艇が韓国東部に上陸侵入し、銃撃戦で北朝鮮側24人、韓国側15人が死亡して以来である。韓国内では本格的な軍事衝突に発展するとの見方は少ないが、今回の事件が中断している南北間対話の再開に大きな影響を与えるのは必至だ。

 韓国政府は事態を重視、青瓦台(大統領官邸)で緊急国防会議を開いている。青瓦台スポークスマンによると、「30日に予定されている金大中大統領の訪日計画に今のこところ変更はない」という。

 韓国国防省が29日午後一時の緊急会見で明らかにしたところによると、午前9時54分に、黄海上の延坪島付近で北朝鮮の漁船と軍警備艇二隻がNLLを越境した。このため韓国軍の高速警備艇が警告、これを阻止しようとしたが、午前10時25分ころ北朝鮮の警備艇がいきなり射撃、韓国側がこれに応戦、散発的な銃撃戦となったという。

 その後10時50分ころに北朝鮮の警備艇がNLL北側に向かい、銃撃戦は約二十分で終わった。この銃撃戦で韓国軍の高速警備艇が沈没した。また北朝鮮の警備艇も炎上、大きな被害が出た模様だ。

 韓国の合同参謀本部作戦本部長は会見で「北側の行為は明白な停戦合意違反であり、すべての責任は北側にある」と述べた。

 黄海で本格的な南北艦艇の銃撃戦が起きたのは1999年6月以来である。 北朝鮮はかねて「北方限界線は認められない」と反発しており、今年に入って増加し,特にWカップサッカーが開催中,頻繁に韓国領海に侵入して挑発しており,領海での軍事衝突は時間の問題となっていた。

 この時期(今晩,韓国とトルコの3位決定戦がある)をねらって韓国領海に侵入し,銃撃戦を起こしていることには政治的意図がはたらいている。日本側は現在,東シナ海で撃沈した不審船の引き上げを進めており,そうなったら北朝鮮の工作船と判明することになるので,立つ瀬がない北朝鮮当局は何かしら軍事的パフォーマンスで強気の居直り行為に出よう。近いうち,北朝鮮の暴発が起こる可能性が高い。その一つの兆候といえよう。







2002年06月26日(水) 東証の暴落.円高120円台へ 【榊原英資の今後の為替相場予想 】


《日米の株式市場は運命共同体,今後のニューヨーク市場の下落に注目 》                    2002.6.26               



6月20日に予測した通り,ニューヨーク株式市場の下落につられて,東証も再度,大幅安となった.チャートを見ればわかるが,ニューヨーク市場は下落は今後,9000ドル割れから暴落に入りそうな気配である.底値は7500ドル台という説と6000ドル台もありえるという説が台頭しており,日本の投資家も暗澹たる気分にさせられている.くわえて,ドル安に歯止めがかからないから,一層,不安心理に拍車がかかっている.


●今日の市況 大幅安 東証10074円.10000円割れ寸前へ

平均株価は422円安、TOPIXは1000割れ――東京株式市場.
平均株価は徐々に下値を切り下げ、平均株価は422円安の1万74円、
TOPIXは984と1000を割り込んだ。円高が進む中、日銀による為替介入が入ったが効果は限定的だったことも株価一段安を誘った。市場では、「GLOBEXのナスダック100が、ナスダック総合指数に換算すると70ポイント安となり、きょうの米国ナスダック安を先取りして売られた。介入が入ったときに買った向きの投げが引け際の下げにつながった面もあるだろう」(東京三菱証券・師岡宏治課長)という。東証1部の騰落銘柄数が値上がり126、値下がり1307。出来高は6億7534万株。



●榊原英資の今後の為替予測 1ユーロは130円をめざすと

榊原英資前財務官は、為替相場の先行きについて「全体の大きな流れからすると、米国へのマネーの一極集中が終わり、ドル安局面に入った。

ドル円相場は当面は円高になるだろうが、日本経済がにっちもさっちも行かなくなり、再び円安になる可能性がある」との見方を示した。
榊原前財務官は「東アジア危機を契機としたドル資金への回帰、ユーロ発足に伴う悲観論と、欧州企業による米国企業の買収・合併、それに米国のITバブルなどにより、95年にはほとんどゼロだった米国への資本流入額は2001年に4550億ドルに達した。
しかし、そうした米国一極支配は終わりを告げ、いよいよユーロが第2の基軸通貨としての歩みを始めたという局面に入ってきている」と指摘する。
そのうえで「95年と比べると、ドルは貿易ウエート加重平均で50%も高くなったが、ここから20、30%下がっても不思議ではない。

ユーロは3カ月以内に1ユーロ=1ドルを超えて、1年くらいの間に同1.1ドルを目指す展開になるだろう」と予想する。

ユーロの対円相場についても、榊原前財務官は「足元では1ユーロ=117、118円近辺だが、いずれ同130円を目指すことは間違いない」とみる。
ただ、ドル円相場は非常に先行きが読みにくい、と語る。

「外国人投資家の間で、米国に対する熱狂が冷めてきている。
一方、日本は足元で何となく3月危機を乗り越え、循環的に上向きになっているが、恐らくもう一度下向きになるだろう。
再び落ちてくる日本経済と、熱狂が冷めた米国の綱引きになる」−−。
榊原前財務官はそのうえで「ドル円相場は当面、円高になるだろうが、近い将来、日本は経済的にも政治的にも、恐らくある種の混乱が起こるだろう。
そのプロセスは恐らく円安だ」と予想する。

当面の動きについては「1ドル=119〜124円とか、118〜123円といったレンジだろう。

今週、再び介入するかどうかが1つのポイントだ。
(政府・日銀は)これまで防衛的な介入しかしてこなかったが、こうした介入ではズルズルとトレンドの方向に動いて行く。
これまで通り防衛的な介入しかしなければ、再び同125円を超すことは当面ないだろう」とみる。

さらに「押し上げ介入をすれば、レンジは若干変わってくるだろうが、国際関係上、押し上げ介入ができるかどうか微妙である。米国、中国、韓国との関係から、できない可能性もかなりある」としている。





2002年06月24日(月) 韓国戦,審判に数々の疑惑が浮上

《韓国戦、審判に数々の疑惑浮上》
                 2002.6.24

 ※韓国チームの破竹の進撃に日本でも話題が沸騰しているが,マスメディ アでは,韓国戦の際の審判の数々のジャッジに疑惑が浮上していることを 伝えており,明日の韓国対ドイツの準決勝において審判に再びトラブルが 生じないことを切に願うかばかりだ。W杯大会でつくづく痛感したのは, 試合が愛国心と愛国心との衝突の場と化し,勝利が国威発揚の場となり, ロシアやアルゼンチンのように期待値が大きかった国では,敗北の腹いせ に暴動にまで発展するケースがあることだ。場合によっては国家と国家と の代理戦争の様相を呈する試合もあり,とても国際親善などという代物で ないことに思いが至った。以下,韓国戦での審判の疑惑を紹介しておく。



●韓国寄りジャッジに抗議の嵐(イタリア・スペイン)

 今大会で繰り返されている審判の誤審問題が、審判員選抜制度そのものを変える可能性が出てきた。イタリアに続き、スペインも、“疑惑の判定”で姿を消し、後味の悪さが残ったW杯準々決勝。韓国の勝利に水をささないためにも、FIFAのブラッター会長が、早急になんらかのアクションを起こすことが求められている。

6月22日、幻のゴールで韓国にPK負けしたスペインの各紙は、「アトラコ(強盗)」(マルカ紙)、「腐ったW杯」(アス紙)と激しい調子で、
FIFAとエジプト人主審含む、3人の審判員を痛烈に批判した。

 また、決勝トーナメント1回戦で韓国に負けたイタリア代表は、いまだに、「審判が韓国よりだった」と主張し続け,スペイン戦で同じトラブルが繰り返されたのを見るや、「またもや、コリアスキャンダル」(コリエレデラセラ紙)、「疑惑のコリア戦」(ダタスポーツ)といった激しい批判を再開している。

 イタリア国内では、極右政党が、韓国戦の主審をつとめたエクアドル人のモレノ主審を検察庁に告発した。



●疑惑が取り沙汰されている財閥出身の鄭夢準氏

 スペインのマルカ紙によると、告発書を提出したマウリシオ=ジョルジェッティ氏は、「韓国サッカー協会会長で、FIFA副会長もつとめる鄭夢準氏が、主審にイタリアが不利になるよう圧力をかけた」と主張し,抗議の声は日増しに過激さを増している。

 スペイン対韓国のテレビのリプレー画像では、延長前半2分のモリエンテスのゴールにつながったホアキンのクロスは確かにインラインだった。また、後半5分のファウルとられたバラハのゴールも微妙である。

 しかし、たとえミスジャッジであっても,ピッチの中での審判の判断は絶対であり,いくら抗議しようが、スペインもイタリアも今後、負けが覆ることはありえない。ただ、このすさまじい抗議を放置すれば、韓国の勝利はもとより、将来的に大会への評価と信頼までにも、悪影響を及ぼすことは必至な情勢である。


●ブラッター会長も誤審があったことを示唆

 FIFAのブラッター会長も、「残念だが、今大会の審判の判断に問題があるのは事実だ」と事実上、誤審があったことを認めたともとれるコメントを発表しており,問題は尾をひきそうだ。

 そしてエクアドル人、エジプト人が主審をつとめた試合で問題が起こったことから、「ピッチの中で言葉が通じないからいけない。国籍を問わず、いい審判員を選ぶことが必要だ」と話し現在、各大陸からバランスをとって選んでいる審判員を、実力重視にもっていきたいという。つまり、レベルが高いといわれるUEFA(欧州サッカー連盟)出身の審判が増えてもやむをえない、との見解を示した。

 そうなると、アジアやアフリカや南米諸国は救われず、根本的な解決策にはならないのは明白である。

 6月28日に横浜でFIFAの実行委員会が行われるが、ブラッダー会長はこの問題はとりあげず、「今後の重要な検討課題」とし、次回ドイツ大会への宿題としたいという。

 この大会もいよいよ残り4試合。明日,韓国とドイツの準決勝。同じような審判のトラブルが起きないことを祈るばかりだ。





2002年06月19日(水) 不気味な東証の暴落 10400円台へ

不気味な東証の暴落,10400円台へ,赤信号点滅
                 
                     2002.6.20





●チャートテクニカルの面で下げ相場に転換 10000円割れは目前

先週,サッカーで日本中の熱気が高揚している間に,東証の株価がスルスルと下げ続け,日本がトルコとの試合で敗退した翌日の今日,奇しくも10400円台まで急落してしまった。11000円割れから下げ足を強めており,これで下降転換がハッキリしてしまった。短期は下げ過ぎのため戻り反発もあるが,10000円割れは必至の情勢であり,ニューヨーク市場の株安に引きずられれば,8000円台まで急落しそうなチャートである。そうなれば,2〜3月の金融危機の悪夢がよみがえって,市場は騒然となるので,今後の株式の動向から目が離せない。恐怖の相場になりつつある。

昨年9月の9300円台で底入れしてから、今年3月に上昇転換したが、
日経平均は3月、5月の12000円前後を上抜けずについに反落してきた。個別株は連動せずに、循環的に買われたので、下値からの上昇幅が平均で50%弱までに達していて、ここから買い上げる水準の株は減って、利食い売りの水準まで値上がりした株が増えてきたので、外資と機関投資家が先週から売りを急増させ,あっというまに1600円近くも下落してしまい,上昇トレンドが一瞬にして下降トレンドに変わってしまった。

政府の景気底打ち宣言からさらに上昇期待もありましたが、今週に入って下値支持線の75日移動平均線を下回ってきた株が増加し、指数の日経平均は下降転換に向かうこととなった。政治の不祥事や経済の増税路線を続ける小泉政権へレッドカードを市場がつきつけている感を呈している.


株価の動きは、目先は10000円割れが起こりそうな気配が市場に漂っており,いよいよ日本の資本主義市場は最大の危機をむかえそうである。銀行や商社の下げもきつく,まもなく赤信号がともる危険性が発生するので,市場の動向に注目していきたい。戻り相場の場合は、11500円前後までが戻りの目途で,11700円を上回ってくると、また上昇の可能性も出てくるが、現在の状態からは戻り売りが強く,とても上昇トレンドへの復帰は無理のようだ。株価がこのまま下がれば,日本のデフレ不景気は深刻さを増すだろう。かといって,政府のデフレ対策は毎度,インパクトの弱いものなので,もはや今回の売りトレンドを変えることは出来ないだろう。



●9400円割れれば,8000円台へ下落する危険性高い

上昇相場から下降転換に向かうと、個別株は好業績株、材料株などの、個別株物色にかわって、森から木を見る相場に変わりることになる。
まだ10000円割れを述べるのは早すぎるが、今後、再上昇に向かわずに下降転換した場合、まずは10000円割れの相場展開から、2月の安値9400円前後を意識する動きにかわる。ニューヨークの株式市場も下降トレンドが確定しているから,その影響は計り知れないほど怖い。

恐怖のシナリオとして,今後,7月にかけての3週間前後、多少戻しつつも下降を深めていくと予測される。

著名なアナリストによると,この相場状況では、短期で戻した場合は、戻り売りから手持ち株を処分して現金化しておく事がよいとのこと。こうした相場では安値惚れで買ってはならない。



●ドイツ証券の大量売りが今回の上昇トレンドを崩した

6/10〜6/14プログラム売買 

裁定 売り 497249 買い 622089
裁定外 売り 856500 買い 449734

6/3〜6/7 上位会社 

売り ドイツ 257848 MS37648 UBS26218 ソシエテ21524 野村17200 極東13650  GS22315 メリル20196

買い UBS225785 ドイツ180231 ソシエテ63108 極東17430 MS13657 GSメリル0

先週から山ほど売られていることがわかる。ドイツ証券の先々週の売りは凄まじいものがある、今でも続いているのなら、何ゆえに親の仇のように先物から売りまくるのか,その仕掛けの背景と狙いが不気味である。






2002年06月15日(土) WCサッカー,日本が決勝Tへ.これがトルコ撃破のシナリオだ


《日本,決勝Tへ.これがトルコ撃破のシナリオだ》


★日本中沸く、世界16強 決勝Tに韓国も名乗り  2002.6.15



★昨日チュニジア破りH組1位)
(ベルギー戦 2対2 ロシア戦 1対0 チュニジア戦 2対0)

★6月18日 日本,トルコ戦 (決勝T初回) 韓国,イタリア戦




●日本,歴史的快挙,ついに決勝トーナメントに進出!

14日,チュニジア戦.後半3分、投入されたばかりの森島寛晃が右足でシュートを決めて、日本が先制。ついで中田英寿もヘディングでダメ押し=大阪・長居陸上競技場
 サッカー・ワールドカップ(W杯)日韓大会は15日目の6月14日、共同開催国の日本と韓国がそろって決勝トーナメントに進出し、海峡をはさんだ二つの国民の間に歓喜の輪が広がった。両国とも、1954年に初めてW杯に挑戦(韓国は本大会出場、日本は地区予選敗退)して以来、48年目で歴史的な日を迎えた。開催国の決勝トーナメント進出は第一回大会以来途切れて無い。
 H組の日本はチュニジアを、D組の韓国は強豪ポルトガルをそれぞれ破り、ともに二勝一分け、各組一位で勝ち上がった。H組はほかに、ベルギーがロシアを破って一勝二分けの二位。D組は米国がポーランドに敗れたものの、韓国がポルトガルを負かしたため、勝ち点で上回り二位で予選リーグを突破した。



●トルシエ監督の采配がズバリ的中

 日本はトルコ、韓国はイタリアと、6月18日にベスト8進出をかけて対戦する。 試合終了と同時にスタッフや控え選手と抱き合ったフィリップ=トルシエ監督(47歳)だが、選手の輪に飛び込むような派手な行為は、出なかった。この4年、喜怒哀楽の激しさで物議を醸してきた指揮官も、ほっとした気持ちの方が勝った。

 韓国と共同開催のW杯に向け「最低で予選リーグ突破」(日本サッカー協会の岡野俊一郎会長)との目標の請負人として代表監督に就任したのが1998年9月。「4年の過程があって今がある。やり続けたサッカーの集大成」と位置付けた大一番。「ゲームを楽しむ状態ではなかった」というのは本音だろう。しかし、試合の流れは冷静に読んでいた。

 前半のボール支配率は64%だったが、パスをつないでいるだけで、ゴールのチャンスが生まれない。「ボール回しばかりでは、(敵に奪われ、速攻を受ける可能性があり)危険だと思った」

 流れを変えるために打った手は、持ち前のスタミナでかけ回る森島寛晃(C大阪)と右サイドで攻撃力のある市川大祐(清水)の投入。これが見事に当たった。 赤鬼と呼ばれ鉄拳指導も辞さない一方で、「W杯は社会にも大きな影響を及ぼす」と少々理屈っぽい発言も繰り返し、サッカー先進国フランスの出身者という、少々鼻に付く香りも漂ったが,日本チームをここまで引き上げてくれた彼の尽力を,日本国民は深く感謝しなくてはなるまい。

 トルシエは決勝トーナメント進出を喜んだ後、チュニジアのスワイヤ監督に握手を求め、敗れた選手の肩を抱いて慰めた。「戦争」と形容されるW杯で同じ仲間,戦友であることを身をもって示した(チュニジアは古代ローマ時代にカルタゴが栄えた地。7世紀にアラブ人が侵入し,イスラム圏へ.1574年にオスマン帝国領へ。1881年にフランスが植民地化.長い独立闘争をへて1956年に独立。それゆえフランスとのつながりが濃い。スワイヤ監督もフランス人.住民の98%はアラブ人.他にベルベル人など)。

 決勝トーナメント1回戦の相手は強豪トルコだが、「強いのは分かっている。向こうは喜んでいるだろう。しかし目標を突破し、もう失うものはなにもない。自信をつけ、勢いもある」とトルシエは胸を張る。

 「サッカーは何が起こるか分からない」といわれる。この不思議なフランス人監督からは、何かを起こしてくれそうな気配が、ここにきて、強く漂ってきている。トルコ戦も期待してよさそうだ。



●日本代表、これがトルコ撃破のシナリオだ!

 ニッポン強し。日本が悲願の決勝トーナメント進出を決めたチュニジア戦の快勝から一夜明けた15日、日本サッカーの快進撃は地球を一回りし、世界を驚かせている。開催国の『義務』を軽々とクリア。次なる目標は、アジア勢としては66年イングランド大会の北朝鮮以来36年ぶりとなる『ベスト8進出』だ。18日の決勝T初戦(宮城)で立ちはだかるのは、ヨーロッパで近年急激に力をつけてきているトルコ。横浜FCゼネラルマネジャーの奥寺康彦、元日本代表MFの山口素弘選手(名古屋)が、日本代表の“勝利への道”をスカウティングした。

 「すごいね。決勝トーナメント進出なんて、ボクの現役時代には考えられなかったこと。とてつもない快挙だよ。しかも安定した危なげない戦いぶり。世界が日本サッカーを見直すはずだ」 辛口で定評がある奥寺氏があらんかぎりの賛辞を並べ、日本の堂々とした1次リーグ突破を称賛する。

 日本イレブンの実力の高さは言うに及ばないが、チュニジア戦の後半開始から森島寛晃(G大阪)と市川大祐(清水)を投入し、ズバリ的中させたトルシエ采配は、まさに見事というほかない。

 前回フランス大会に出場した山口選手も、「自分の経験から言って、ここまで監督采配がズバリ当たると、控え選手も一緒に戦っている気分になる。投入間もない森島の先制ゴールもそんな最高の雰囲気の中で生まれたのだろう」と、うらやましそうに推測した。

 ホームの利を生かした数千万人のサポーターからの声援、ブラジルとの対戦を避けるHグループ1位での1次リーグ突破などとも合わせ、勢いに乗ったトルシエジャパンは、これ以上は望めない史上最高のコンディションで決勝T初戦に挑む。



●トルコは手ごわい相手.ハサン=サスとバストゥルクに注目!

 トルコは王国ブラジルから先制点を奪ったことでも分かるように、攻撃力が看板のチーム。セリエA・パルマで中田英寿と同僚のFWハカンシュキュル、スキンヘッドのFWハサン=サスの強力2トップに加え、、ドイツのレバークーゼンで活躍するMFバストゥルクが、多彩な攻撃を演出する。バストゥルクは168センチの身長もさることながら、顔の方も森島とそっくりで、なんとなく親しみのわく選手だが、日本にとっては要注意人物だ。

 奥寺氏は、「トルコは海外で経験を積んだ選手が多く、国内リーグのレベルアップも著しい気鋭のチームだ。あえて1次リーグで戦った相手の中から挙げるなら、チュニジアを強くした印象。サイドを駆け上がってくるモヒカン刈りのMFユミト=ダバラ(ACミラン)にも気をつけなければいけない」。

 山口選手も、「間違いなく、これまでで一番強い相手。決勝Tに引き分けはないので、90分ではなく、延長の前後半30分を含めた120分(延長サドンデス方式のゴールデンゴール)で勝つ戦術が必要だろう」と、苦戦を予測する。と同時に、今大会での日本の進化を確信する両氏は、サポーターに心強い分析も披露する。

 「3戦を通じて失点2と日本のDFラインが安定感を増しているのは、実はもう『フラット3』を捨てているから。3人のうち必ず1人が余って、ウラに抜けてくる攻撃を見ている。98年に僕たちがとった戦術と同じ。W杯のようなレベルの高い大会では、固く守り抜くことができるこの方がいい」(山口選手)

 「中田英寿が、チュニジア戦でゴールを決めたのは日本にとって大きい。あのシュートも本来なら余裕を持って決められるボールだが、GKの股間を運良く抜けた。今大会は相当力んで、堅くなっていたことがわかる。1点取ったことで、パスやFKなどでも本来の輝きを放ち始めるだろう。こういう短期決戦では日本のようにリズムに乗ったチーム内に『好調』が伝染する相乗効果が期待できる」(奥寺氏)

 また、トルコには熱血のあまりすぐにキレて、ファウルを連発する悪癖があり、日本との対戦では、DFエムレ・アシクとMFエムレ・ベロゾールが累積警告で出場できないなど、日本に有利なデータもある。トルコのギュネス監督は選手起用に苦しみ、選手たちも『イエローカード恐怖症』気味という。



●トルコを撃破するための戦略は?

 「スタメンをいじる必要はない。がっちりと守って先制点を与えないこと。勝利を焦らないで120分フルに使う気持ちで臨み、相手の焦りを誘えばいい」(山口選手)

 「DFは高さを要求されるだろうから、万全なら森岡を使ってくるかもしれない。トルコも守ってくるだろう。リスクはおかさず、相手DFのウラをつく日本得意の攻撃で、自信を持って戦えばいい」(奥寺氏)

 この先、トルシェ・ジャパンの前に広がるのは、日本サッカーの新しい歴史だ。18日のトルコとの決勝T初戦に勝って、アジアの歴史も塗り替え、もう一度世界を驚かせてもらいたい。







2002年06月04日(火) アメリカ合衆国の北朝鮮外交のジレンマ



《アメリカの北朝鮮外交のジレンマ(軍部と資本家の対立)》

                      2002.6.4




●ブッシュ・ジュニアとブッシュ・シニアの北朝鮮外交の違い


 アメリカのブッシュ大統領(ブッシュ・ジュニア)は、政権中枢のメンバーの多くが、父親の元大統領(ブッシュ・シニア)の政権と重なっている。副大統領のチェイニー(父親時代の国防長官)、国務長官のパウエル(父親時代の統合参謀本部議長)などがそうである。


【※父親のブッシュ元大統領(任1989〜92)→共和党政権.レーガン路線を継承する一方で,1989年のマルタ会談でソ連のゴルバチョフ書記長と冷戦終結で合意した.91年,イラクのフセイン大統領のクウェート占領に対抗して湾岸戦争を遂行した.外交では国民の支持をえたが,内政では経済の低迷を批判され,再選に失敗した.】




 もっとも、実際の外交政策では、息子は父親とはかなり違う道を歩んでいる。特に大きく違っているのが、中国や北朝鮮など東アジアに対する政策だ。ブッシュ・シニアは中国に対して友好的で、1989年の天安門事件の後も、引き続き中国政府を支持する姿勢をとろうとした。事件後、アメリカは中国に対する経済制裁を発動したが、これは人権問題を重視する民主党などから強く攻撃され、やむなく転換したものだ。しかし,ブッシュ・ジュニアの対中・対北朝鮮政策は、もっと露骨で敵対的である。一戦を交えることも辞さないほどに好戦的である.


 父子の間で、政策のあり方についてどんな話し合いをしているのか、ほとんど明らかになっていないが、これまでに一度だけ、そのことについて報じられたことがある。2001年3月、父親が息子に、北朝鮮に対してもっと柔軟な政策をとるように呼びかけたメモを送ったもので、「国防総省のいうことばかり聞いていたら、良い外交はできないぞ」という父親からの忠告だった。


 メモの内容は、父親の政権で韓国大使をつとめたドナルド=グレッグという人が書いた。グレッグはCIA出身で、金大中大統領が野党人士だった時代の1973年にKCIA(韓国中央情報部)によって東京から拉致された事件のときにCIAソウル支局長をしていた。グレッグは金大中を殺さぬよう韓国政府に警告を発し、金大中を救ったことで知られている。


 北朝鮮に対するアメリカの外交政策は、2001年1月にクリントン政権が終わるまでは、北朝鮮の軍事的な脅威を取り除くために北の金正日政権と交渉し、必要ならば譲歩もするという宥和策だったが、その後政権に就いたブッシュ・ジュニアは2001年3月に「北朝鮮は信用できない」と発表し、この発言を受けて北朝鮮側はアメリカとの交渉を打ち切った。父から息子に送りつけられたメモは、北朝鮮に対する強硬策を止めるよう求めたものだった。


 北朝鮮をめぐる緊張が高まると、すぐ南の韓国の安全保障が懸念される事態になり、韓国経済に悪影響を及ぼすの明らかだ。また、連動して中国とアメリカとの関係も悪化する危険性が大きい。ブッシュ・シニアは、中国や韓国に投資しているアメリカの資本家や、韓国の財界と親密な関係にあり、彼らに依頼されて、息子が国防総省の将官たちにそそのかされて北朝鮮に対して強硬姿勢をとることを止めさせようとしたのではないか、と考えられる。




●あと一歩だったクリントン

 クリントン政権は、1993年に北朝鮮が小型原子炉を使って核兵器を開発しているという疑惑が持ち上がったときは、北朝鮮政府に対して「核兵器を作れないタイプの原子炉(軽水炉)を作ってやるから、既存の小型原子炉を閉鎖せよ。軽水炉が完成するまでの代わりのエネルギー源として石油を無償供与してやるから」と持ちかけて「米朝枠組み合意」を締結した。


 1998年に「テポドン」試射などによって北朝鮮がミサイル技術を持っていることが分かると、クリントン政権は北朝鮮政府に対し、ミサイルの開発と輸出を止める代わりにアメリカや韓国が北朝鮮を経済支援するという「ミサイル協議」も始まった。2000年6月には、北朝鮮に対する宥和策「太陽政策」を掲げる韓国の金大中大統領が平壌を訪問し、南北和解に向けて動きが進んだ。


 今年2月3日、ニューヨークで開かれた世界経済フォーラムで、アメリカのクリントン前大統領が演説した際、クリントンは「自分の政権の最後の数週間に、自ら北朝鮮を訪問し、北朝鮮がミサイル開発をやめる代わりにアメリカが北朝鮮に経済支援を行うという協定を、金正日総書記と取り交わすつもりだったが、パレスチナ問題の仲介に忙殺され、果たせなかった」と発言した。


 その上でクリントンは「北朝鮮問題で、私は最後の調印だけを残して政権を去ったので、次の政権は当然、北朝鮮との問題を解決したという外交得点をすぐにあげるものだと思っていた」と述べた。クリントンは、自分の次に大統領になったブッシュは、すぐに北朝鮮との間の問題を解決できたはずなのに、それをやらなかったといって、なぜか明言はしなかったものの、間接的にブッシュを批判した。


 クリントンの北朝鮮政策はブッシュ・ジュニアに引き継がれなかったものの、ブッシュ・シニアが息子に送ったメモで、クリントン時代の政策を踏襲せよと忠告した。このメモが送られた後、ブッシュ政権は、北朝鮮と交渉する姿勢をみせた。だが米政府は、交渉再開の条件として、北朝鮮が核兵器だけでなく通常兵器についても査察を受け入れることや、38度線の北側にある北朝鮮軍の軍備を削減することなど、北朝鮮が受け入れられない新条件を加えたため、北朝鮮側は交渉を拒否した。


 その後、アメリカでは2001年9月に911事件が起きた。この事件によって、アメリカの敵は「国際テロ組織」に集約され、いったんは北朝鮮に対するアメリカの敵視政策が緩み、北朝鮮政府はこの変化に呼応し、事件後すぐに「あらゆるテロに反対する」というメッセージを発し、3月のブッシュの敵対政策発表以来止まっていた南北間の交渉も9月16日に開かれた。





●矛盾しつつも効果があった「悪の枢軸」戦略


 だが、その後再びアメリカの北朝鮮に対する政策は敵対的になり、今年1月末にはブッシュ大統領が北朝鮮を「悪の枢軸」と呼び、「テロ支援国家」として敵視する政策を発表した。


 北朝鮮は、1987年に翌年にひかえたソウル五輪を阻止するため,ビルマ上空で大韓航空機を時限爆弾て爆破,乗員100余りを殺害した。この「大韓航空機爆破事件」では,北の工作員が偽造パスポートで日本人になりすましての犯行だったことで,日本にも大きな衝撃を与えた。北朝鮮はこうした韓国に対する国家テロ行為を繰り返し続けていたが、1990年代以降は米国務省の報告書では、テロ行為はやっていないことになっている。北朝鮮が「テロ」と今でもかかわっている部分は、1970年代から「よど号」の日本人ハイジャック犯たちを現在も国内に住まわせているという一件だけだ、と米国務省が認定している。ブッシュの「悪の枢軸」指定は、この国務省の認定と矛盾している。


 ところが現実的には、ブッシュの敵視政策は北朝鮮に対して効果があった。「悪の枢軸」に入れられた後、孤立感を深めた北朝鮮政府は言葉ではアメリカを非難しつつも、今年3月には、交渉を再開したいとアメリカや韓国に対して申し入れてきた。今年に入ってブッシュ政権は中国に対しても強硬姿勢を増し、台湾の国防大臣の渡米を受け入れるなどのやり方で中国を挑発しているが、中国もアメリカとの衝突を避けており、圧倒的な軍事力と諜報力を使ったブッシュの強硬政策は、北朝鮮だけでなく中国に対しても効果をあげている。ここでアメリカと衝突したら江沢民の経済の開放政策も挫折するからである。


 北朝鮮は海外からの食糧支援がないとやっていけない経済状態にあるが、
9・11事件以降、欧米などはアフガニスタンへの食糧支援を優先するようになり、北朝鮮に回す分がその分減ってしまった。そのため、北朝鮮は金正日に次ぐナンバー2の金永南が3月末に東南アジアとヨーロッパを訪問し、鉱物資源とのバーター取引でタイからコメを買う交渉や、西欧諸国に対して「アフガンよりうちに食糧支援してくれ」と言って回ったりした。


 同時に北朝鮮は、3月末に「経済改革を進める」と発表したり、金永南が訪問先のマレーシアの国産車「プロトン」工場で「北朝鮮でもプロトンを生産したい」と言うなど、アメリカの資本家が喜びそうな経済開放の姿勢を見せた。こうした変化を受け、3月から4月にかけて、韓国やアメリカから公式・非公式の代表団が相次いで平壌を訪問した。その中には、ブッシュ・シニアからジュニアへの北朝鮮政策についての忠告メモをまとめたドナルド=グレッグもいた。ブッシュの父親は寛容(懐柔)政策、息子は敵視政策という状態がまだ続いていることがうかがえる。


 とはいえ、北朝鮮はこれまでに何回も似たような経済開放の姿勢を見せながら、実際に遂行したことが一度もない。韓国などの企業が北朝鮮に進出しても、鳴り物入りなのは最初だけで、進出企業は1〜2年もすると大赤字で撤退を余儀なくされている。北朝鮮当局が経済開放を口にするのは大体、国内で食糧など基本物資が払底したときなので、欧米や日韓の関係者からは「食糧支援を増やすため、経済開放すると言っているだけだ」と疑われている。



●背景にアメリカの「軍部」と「資本家」の対立がある


 北朝鮮に対するアメリカの政策が敵対と宥和の間を行ったり来たりするのは、アメリカの支配層の中に、北朝鮮との敵対を望む国防総省や軍需産業など「産軍複合体」の勢力と、東アジアが安定して経済発展につながるので宥和策の方が良いと考えている資本家層という2つの勢力が存在し、ブッシュ政権の方向性をめぐって対立しているからだと言われている。


 こうしたアメリカの中枢における「軍部」と「資本家」の対立は、アメリカの対中国政策や中東政策をめぐっても起きている。中国に対しては、
9・11事件の直後に「資本家」の代表ともいえるロックフェラー財団の総帥デビッド=ロックフェラーが北京を訪問し、江沢民と懇談するなど、「中国はテロ戦争の敵ではない」というシグナルを発している。これに対して「軍部」は台湾の国防大臣を訪米させて対抗し,中国を挑発した。


 中東では、クリントンが推進した「オスロ合意」が「資本家」の政策である一方、「軍部」はオスロ合意を潰してイスラエルがパレスチナを再占領する戦争を引き起こしたタカ派のシャロン政権を支持している。

 ブッシュ政権の上層部では、チェイニー副大統領やラムズフェルド国防長官らが「軍部」の権益を代表する一方で、パウエル国務長官は「資本家」の利益を代弁しているように思われる。


 クリントンは政権そのものが「資本家」とのつながりが強く、クリントンはCIAという「軍部」の最も陰謀的な部分を自らに近づけさせないようにしていた。これに対してブッシュ・ジュニアは「軍部」との結びつきが強く、特に9・11事件後、アメリカは「軍部」によって乗っ取られた感が強い。


 このような「軍部」と「資本家」の対立が、アメリカの北朝鮮政策をも揺らしている、とみることができるが、その一方でCIAには、金大中を救ったり、北朝鮮との和解を模索し続けてきたドナルド=グレッグのような人物がいるという事実もある。「軍部」と「資本家」という二大勢力が対立しているとみるより、アメリカを動かしている人々は「軍部」と「資本家」という二つの異なる国益の間を揺れ動いているとみた方がいいのかもしれない。




カルメンチャキ |MAIL

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