見送るほうと見送られるほうのどちらがいい?と、学生時代の先輩が言った。 私が卒業、彼女も院を修了する学年での、他愛のない会話だったと思う。
たくさんの人を見送った彼女のなんとなく複雑な気持ちも考えずに、 私は見送られる立場のほうがいい、と即答してしまったが、 振り返ってみるに、見送る立場のほうが圧倒的に多かった。
社会人になり去る人を見送るだけの立場になってしまった。 ただ一度、転職をしたが、それも事業所の閉鎖だったので、 見送られるというより、みんなで散り散りになる感覚だった。 後に残るものがいない、託すものがない、それは少しさみしいことだと思った。
見送るほうには、見送った後の現実が突きつけられて、 辛いことも多い様に思う。ずっとその考えは変わらない。
黒い会社なので辞めていく人も多々おり、そのなかで去る人に対しては、 どうかつらい思い出を忘れてほしいと思うことが多いが、 去っていくほうは私たちをどう思い返すんだろうか。 思い返しもしないで忘れていてくれるのが一番幸せかもしれない。
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