2003年11月29日(土) |
恋刃〜Lancet 〜(8)/五條瑛 |
革命シリーズの第4弾。 雑誌「小説推理」の連載8回目。 今回はサ様もリョウちゃんも出てきません。がっくり。 予定では、あと4回で連載終了ですけど、まったく終わりそうな気配がないです。展開もよめないし。 やきもきしてます。 えと、今回びっくりしたこと。すみれちゃん、小学校に行ってるみたいですが、いじめられたら4倍返しだそうです。意外とバイオレンスですね。 自分がいじめられたら4倍返しですけど、いじめられている子を助けたり、庇ったりっていうのはしなそう。自分で闘う力を持たない人間は、きっとすみれちゃんは嫌いだろうから。
「うん。学校って、けっこう面白いよ。動物園みたいだよね。いろいろな子や先生がいるけど、誰も自分のこと以外はまったく分かってないの。そのくせ、みんなまとめて一つの檻の中にいるんだから(小説推理1月号p.318)
2003年11月28日(金) |
スカート/榎本ナリコ |
++ 女であることを不自由に思う葉子、男であることを不自由に思う花(花田♂)、自分のセクシュアリティに疑問を持たない幹。3人の関係は、それぞれが「好き」と口にしたときから崩れ始める。 ++ タイトル買いをしてしまったのですが、予想以上に深くて重くて、感じるものの多い作品でした。 セクシュアリティの問題はとても難しいです。でも、それぞれが自分のセクシュアリティを持ち、他者のセクシュアリティを受け入れることのできるような社会になればいいのにな、と思います。 この話の中で、幹がスカートをはいて街中を走ります。それが、とっても自由で束縛のない姿に見えて、スカートをはくまでに、彼が葉子と花のそばで何を思ってきたのかとか、ふたりへの想いの葛藤を考えると泣きそうになりました。 榎本さんの他作品も読もうかと思います。
「フシギだな。キスって。 ヘンだよな。口と口、くっつけるなんてさ。 何にもなりゃしないのに……… なのに、心にいちばん近いとこ、くっつけた気がするよ……」
榎本ナリコ:スカート,p.97,小学館.
2003年11月20日(木) |
きみとぼくの壊れた世界/西尾維新 |
++ 禁じられた一線を現在進行中で踏み越えつつある兄妹、櫃内様刻と櫃内夜月。その友人、迎槻箱彦と琴原りりす。彼らの世界は学園内で起こった密室殺人事件によって決定的にひびわれていく……。 様刻は保健室のひきこもり、病院坂黒猫とともに事件の解決に乗り出すが――?(裏表紙より抜粋) ++ 戯言シリーズの西尾氏の新シリーズ。イラストがかわいいです。 主要キャラが高校生なせいなのか、戯言シリーズよりもややテンション高め。キャラの壊れ方も激しいし。 でも、黒猫ちゃんは壊れっぷりも見事なステキキャラ。 それに比べて櫃内様刻…、あのラストはどうなの?結局夜月ともりりすともしてしまっていて、でも本当に好きなのは黒猫さんってこと?節操なしですね。 事件が起こるまでは読み易かったんですが、その後徐々に読み難くなっていくように感じたのは何故?特に事件を推理する場面の読み難さといったら…。 キャラ的にも話的にも、戯言の方が好み。
「僕だけは何があっても騙されない。きみがたとえ世界中の全員を騙しても、世界そのものを騙しても……僕だけは、きみの嘘を見抜いてあげる。どんなことよりも優先して、きみの欺瞞を立証してあげる。だから、きみは大丈夫なんだよ。きみの世界は、まだまだ、全然大丈夫なんだよ。きみの世界は、壊れていない」
西尾維新:きみとぼくの壊れた世界,p.282,講談社.
2003年11月14日(金) |
危険なジョージ/ユール |
++ それほど成績が優秀なわけでもなく、遅刻常習犯のくせに教師ウケの良い生徒・穣二は、担任の宋と特に親しい。その様子は、男子校ならではのあやしい関係を疑われそうなほどである。そんなことを気にしない穣二の靴箱に、ある日手紙が入っていた。差出人は宋。何も考えずに行った穣二が見たのは、宋と男子生徒の熱愛現場!「頼むから、誰にも言わんといてくれ」と宋に懇願された穣二は……? ++ ユールさんの小説3冊目です。 今回も、イラストがあの方!美麗です。 ストーリィよりもまず、舞台が関西(おそらく大阪府)なので、そのテンポのよい会話とボケ&ツッコミにやられました。 読み始めてから読み終わってしばらくするまで、なぜか私までなんちゃって関西弁が出てしまってました。おそるべき関西弁の感染力…。 ストーリィはばかっぷるに振り回されるジョージのちょっと謎を含んだコメディってかんじ。 脇キャラもおもしろいし、これ、シリーズにならないかなと思ってます。
「なあってゆーか、別に、仮に俺の顔がいいとしても、それはうちの親父とおかんが名クリエイターやっただけやし、っちゅーことはオレの努力の賜物ちゃうし」
ユール:危険なジョージ,p.193,集英社.
++ 中国の後漢末、群雄割拠の時代にきら星のごとく現れた眉目秀麗な呉の武将孫策。彼に幼少から従い、補佐した周瑜。宿敵曹操の大群に立ち向かう少数精鋭の呉軍。中原の覇をかけ、赤壁の戦いの火ぶたが切って落とされようとしていた。(裏表紙より抜粋) ++ ずっと読んでみたかった藤版三国志の1作目。 この話の孫策と周瑜のようなプラトニックな友情&主従関係に弱いです、私。こういうのって女性同士にはないように思えるので(単に私のそばに転がってないだけかもしれませんが)。 作品の中で、何回か周瑜が「女のように抱かれていれば、この気持ちは変わっていたかもしれない」というようなことを思うのですが、プラトニックだったからこそ、死の間際まで孫策を想うことができたのではないかな、と。 孫策は周瑜の気持ちに気づいていたかどうか、ってとこがポイントですが、おそらく気づいて気づかないふりをしていた、さらに、自分が周瑜に親友以上の想いがあることを仄めかせていた、という設定(私の中では)。じゃなきゃ、あんなに苛めたり、煽ったりしないでしょ。 名作でした。
「だが、お前は、決して俺の意のままにはならぬ。(略)どんなに信頼しているように見えても、本心だけは絶対に見せぬ。……これから先も、多分一生」 「なにを仰せられます。この身は既に、毛筋一本から爪の先まで、貴方様の意のままになっております。いままでもそうだったように、この先もずっと、貴方様の御意のままに」
藤水名子:赤壁の宴,p.116,講談社.
2003年11月02日(日) |
ダヤンとジタン わちふぃーるど物語2/池田あきこ |
++ 不思議の国「わちふぃーるど」に住むダヤンに、地球時代の飼い主から手紙が。文字の読めないダヤンは、ジタンに読んでもらおうと、北へ向かった彼を追って旅に出た。ところが、魔王が治める死の森に迷い込んでしまい―――(裏表紙より抜粋) ++ キャラクタとしてはすきなダヤン。初めて本を購入しました。 ああ…、なんというかダヤンよりもジタンの方が、ミステリアスでかっこよいです。 このシリーズ集めるかも知れません。
「ダヤン……僕はね。まだ死ねないんだ……まだというよりずっとかもしれないけど」 ダヤンは、ジタンをしっかりと抱きました。 「きみが生きていて、どんなにうれしいか」 ダヤンは言い、生まれて初めてジタンは泣きました。
池田あきこ:ダヤンとジタン わちふぃーるど物語2,p.197-198,中央公論新社.
|