騒がしかった夜がまるで真夏の蜃気楼だったように思える静寂の夜が続いている。夏の夜に舞う炎の蛍、花火。それ以上に君たちの命の火は、儚い。 もうひとつの部屋の君は、とても無防備な姿を僕に見せてくれるね。その部屋にいる君が好きだよ。
未完成な心を知られたくないから、心を包み隠せる厚いよろいが出来るまで、もう少し僕はこの暗闇で息をひそめているよ。君の声の響くこの空間が今の僕にとっての唯一の安らぎだから・・・・
心の奥底までまで覗けるような透明な殻を捨てて大人になる意味は何?硬い甲羅で身を包み美しく変身した君の心をもう覗くことは出来ない。・・・
恵みの夕立が夏の日差しで乾いた幹を潤す。勢いよく吸い上げられた命の水が森の蜜となる。風の吹かぬ夜は、森中に樹液の香りが充満する。森の宴が始まる。短い夏の長い夜の出来事。 求めるものは救われる。強く求める森の主役はいつしかことを成就する。激しく追うものと逃げるものの動きがひとつになった時、森につかの間の静寂が訪れる。自然界の営み、至福の瞬間。 今夜もダンスを踊り宙を舞い恋の夜がふけてゆく。死のダンスは、新たな生命の始まり。白いダイヤが森の土の中に隠されたことをまだ誰も知らない。
強く刻まれた文字は魔法の消しゴムでも消す事が出来ない。砂時計の中に埋めて色あせていく事をただ待つだけ。風化した文字をいつか掘り起こす。眠りから覚めた文字はどんな輝きを僕たちに見せてくれるのだろう。・・・
|