こんなこと・あんなこと

2003年07月18日(金) 新聞に載ったよ(3)

 本来、何らかの格差や障害を軽減するために使われるのがパソコンだと思うが、現実はそうではない。キーボードだけでももう少し親切な仕様なら、楽に操作できる人が増えるだろうに。例えば、メールで使われるのは小文字なのに、キーボードには大文字しか書いていない。
 しかし、慣れないマウス、キーボード、さらに横文字と格闘しつつも、講習会に参加する皆さんは一様に熱心だ。時間は多少かかろうとも、できなかったことができるようになる喜びは、幾つになっても感じたいもの。パソコンを使いこなせば確かに仕事が楽になり、世界も広がるが、パソコンを学ぶこと自体が生きがいになっている人もたくさんいる。
 講習会に来る人たちの多くは「パソコンは自分には無理かもしれないけれど…」と不安を抱えながら始める。それでも、ついには「孫とメールでやりとりできるようになった」と喜び、「次はデジカメも」と意欲的な人も多い。そういう高齢者の皆さんに接していると、講師の一人として喜ばしい限りである。



2003年07月17日(木) 新聞に載ったよ(2)

 この春、私が担当した講習会に参加した百二十三人に協力してもらい、文字入力に関してアンケート調査をしたところ、「アルファベットの小文字の読み書きに自信がない」と答えた人は全体の8%。六十五歳以上に限れば、この率は22%になる。
 これは単に高齢だからではなく、第二次世界大戦前後、敵国語として英語の教育を全く受けていないことが大きな要因と思われる。特に十勝町村部で講習会を行うと、受講生には「中学校も満足に通えなかった」という人も少なくない。中には「樺太から引き揚げてきて、向こうではロシア語を少し習ったけれど、英語は全然」という人も。
 パソコン講習会は、帯広以外では受講者数の関係もあって民間が開くことは営業的に難しく、町村などの主催に頼らざるを得ないという事情もある。



2003年07月16日(水) 新聞に載ったよ(1)

7月16日付北海道新聞夕刊(十勝版)「十勝野」に私の原稿が掲載されました。
以下、掲載文です。

高齢者に根強いパソコン学習熱−不安、苦労 乗り越え喜び

 デジタルデバイドという言葉がある。パソコンやインターネットなどの情報技術(IT)を使う人と使わない人との間に生じる社会的・経済的な格差のことをいう。
 その対策の一環として一昨年、国を挙げての無料のIT講習会が各地で開かれた。これを受けて帯広市が主催して、とかちプラザなどで開いた講習会の受講者数は、一昨年が三千九百三十八名、昨年は二千百二十一名という人気ぶりだった。
 十勝管内では本年度、市町村による講習会の開催は減ったが、初心者のパソコン講座に対する要望は根強く、そうした講座に参加される人の平均年齢は、数年前に比べると確実に高くなっている。全国的な統計でも、インターネットの利用率は六十代でがくんと落ち、この年代向けの講座の充実が望まれるが、最近では高齢者の団体独自の講習会も各種開かれるようになった。
 高齢者がパソコンを学ぼうというとき、よく口にするのがパソコン用語を覚える困難さだ。カタカナならまだしも、キーボードは英語のオンパレードなので「バックスペース」と「スペース」で悩んだり、「デリート」が探せなかったり、これだけでもかなりのストレスだろう。
 インターネットの実習でホームページや電子メールのアドレスを入力する際も一苦労。「アットマーク(@)ってどこ?」「ドット(.)は?」とあちこちから聞こえてくる。アルファベットの小文字で悩む人も多い。


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Hiroko Watanabe [MAIL] [HOMEPAGE]

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