晴れも褻も
〜ハレもケも、と読みます。私らしいかなと。
- 2009年07月27日(月) マーラーと次の話
舞台、向正面に「MAHLER」の文字。
コンセルトヘボウでの演奏会は、完全にマーラーの掌の上だった。
リハーサルは感動的だった。
あぁ、巨人は復活したんだなと思って、
私は少し泣きそうになった。
後で聞いたら他のメンバーもそう感じたらしい。
本番は違った。
私たちのオーケストラで復活を演じるのは3回目というのに、
そこここにマーラーが仕掛けた落とし穴にことごとくはまった。
ハープが一瞬落ちたのは仕方なかったとしても、
5楽章の冒頭で大太鼓が崩れ、
鉄板と思っていた1st Vnが前後でずれ、
(2ndの2プルト目にいた私は前後で違う音が聞こえたので混乱した)
細かいところでトラブルは把握しきれないほどに起こった。
私たちは完全にマーラーに、会場に、飲まれていた。
けれど、
復活は感動的な曲だ。
葬送行進曲から始まり、途中に宗教的な皮肉を挟みながらも
扉は開かれ、神が姿を顕すさまは素晴らしい。
若干強引とはいえ、復活が壮大に終わると、
オランダの人たちは全員総立ちのスタンディングオベーションをくれた。
それも、マーラーの力、曲の力のように感じた。
まだまだ、なんだなぁ、と少しほろ苦い気持ちで帰って、
コールニドライ、モーツァルト、ベルリオーズを聞くと、
いつのまにか気持ちは完全に次に向かっていた。
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