まろやかな日々
DiaryINDEXwill


1993年07月31日(土) 宝箱・愛してる

初めて、私に「愛してる」と言ってくれた人がいた。

その人は、2人で出かけた最初の日にそう、言ったのだった。
初めて聞いたその言葉に、私はひどく動揺し、混乱した。
その言葉を素直に受け入れることを躊躇した。
だって私にとってその言葉は、とっておきの、最高の言葉だったから。
だから簡単に使うことなんてできないし、気持ちが溢れ出た時に
こぼれ落ちるように発せられるものなのだと思っていた。
その人のことは大好きだったけれど、
そんなに簡単に言ってしまうその人の気持ちが理解できず
「アイシテル」という言葉さえも、軽々しく聞こえてしまいそうだった。
私は言った。
「そんなに簡単に言う言葉じゃないよ」
その人は言った。微笑みながら。
「簡単なんかじゃないよ。それが今の気持ちだから」
・・・返す言葉を失ってしまった私は、「ありがとう」と言うしかなかった。
消え入りそうな程の、小さな声で。

私は、その人の気持ちに応えたかった。
言葉なんて、口ではいくらでも言える。
本当に大好きだし、ずっと一緒にいたかった。
でも、実際に言葉にしようとすると躊躇われた。
今の私には言ってはいけないような気がするのだった。なぜだか。

それから、どれくらいの時間が経ったのだろう。
遂にその言葉が、私の口からこぼれ落ちた。
何度も言おうとしたけれど、何かが足りないような気がしてずっと躊躇ってしまっていた言葉を。
「愛してる・・・」
言葉にした途端、私は幸せで満たされた。
そして、その人への気持ちが溢れていった。
今までよりもずっと。
その言葉は相手を幸せにするだけではなく、自らをも満たす言葉だったのだ。

その人は、私に愛する気持ちを教えてくれた。




あの頃私は。。。

華泉 |MAIL
まろの気まぐれ日記
まろ様へ
+++
---
___

My追加