映画「ダーウィンの悪夢」 - 2007年01月27日(土) ■映画「ダーウィンの悪夢」 年度: 2004 国: フランス=オーストリア=ベルギー 公開日: 2006年12月23日 一匹の魚から連鎖的に起きた環境の変化。グローバリゼーションは何を生んだか?南北問題を問う硬派のドキュメンタリー ■レビュー あなたは、ナイルパーチという魚をご存知だろうか?白スズキと呼ばれていたこともある。 そう、あなたがお弁当を買ったり冷凍食品のフライを買ったりした時、あるいは機内食で魚を選んだ時、白身の魚が入っていることがあるだろう。それが、ナイルパーチと言う魚らしい。 かつてダーウィンの進化論の宝庫と言われたタンザニア・ヴィクトリア湖。それが、195、60年代にナイルパーチという肉食の魚が放流されたことによって、他の魚は絶滅してしまう。 しかし、このナイルパーチ、大型で多くの身が取れる。 そして、魚は輸出用に捕獲されるようになり、1999年からはEUに輸出される。EUは工場のために投資もした。毎日、飛行機がナイルパーチを空輸する。時には、ヨーロッパからの往路に武器を積んで。。 地元の人たちは工場で働くだけで、白身を口にすることはできない。高すぎるのである。地元の人たちの口に入るのは、白身を外した後の残骸が、トラックで運ばれ、地面にぶちまけられ、蛆が集って(たかって)いるものを干してからあげてからである。 ちなみに、毎日200万人のヨーロッパ人が、ナイルパーチを食べている。 そして、魚を取る漁師たちも貧困に喘いでいる。病気になったら当然終わりだし、HIVも蔓延している。貧困ゆえに売春も多い。ある村では、人口が350人なのに、毎月10〜15人主にエイズで死んで行くという。 それでも、村のカトリックの牧師は、コンドーム自体が罪、ましてや婚外交渉や同性愛はキリスト教では罪なので、性交渉による予防のためにコンドームを勧めたりはしない。 さらに、地元タンザニアの大統領にとっては、ナイルパーチは大きな外貨獲得のもとであるから、地元住民と共存可能な漁業形態を、ということなど、余り考えたくないのである。 運ぶのに雇われているロシア人たちも、往路に運んでいるのは武器のこともある、と薄々知っているが、雇われの身、恐ろしいことに、この輸出用の空港は、武器の出入りに対して甘いだけではなく、無線設備がなく、飛行機の事故も物凄く多いのだ(EUも投資するなら空港も整備すべきではないだろうか)。 貧困ゆえに、食糧も足りず、それでもナイルパーチは先進国の食卓へと空をとんでいく。。 さて、我々はどうしたらいいのだろう、色々考えさせられるドキュメンタリー映画。 - 納豆/大阪コレクションズ「夢の美術館」「佐伯祐三とパリの夢」/リール近代美術観展 - 2007年01月21日(日) 一時的なブームを引き起こしたTV番組「あるある大辞典」での、納豆で痩せる報道が捏造であったことが明らかになった今日、今日こそ納豆が買える!と思ったのだが、 6時台にスーパーに行くとすでに棚が空になっていた(><) そもそも普段の食事+納豆で、2週間で3キロもやせるなんて訳がない(常識的に考えて、ダイエットはそもそも1ヶ月で2、3キロ落とすのが健康的には関の山ではないでしょうか。。)ので、 騙されたと怒っている人、そしてそれを若干擁護するかのように報道するメディアに、呆れている。もっと批判的に物事を捉えらよ!と。。 ▼買い物客「番組通り食べたのに」 納豆ダイエット http://www.asahi.com/life/update/0120/016.html つくづく、踊らされた方にも呆れますねえ。。食事も運動も普段通りで、そんな簡単に体重は落ちませんよ。。 ++ さて、批判的に物事を見る訓練の第一歩が、自分の目で良く物事を観察することだと思う。ものをよく観賞することの一つに、美術作品鑑賞が挙げげられよう。今日は、カツーンと物事の見方を試してくるような作品たちに出会えた。 ■国立国際美術館で開催中の展覧会 「夢の美術館 大阪コレクションズ」でのことである。 いやあ、濃い。一つ一つの作品がしっかりしている。入り口近くのモディリアーニの「髪をほどいた横たわる裸婦」は、つやつやとした質感と、しっかりとこちらを見据えるモデルの女性の目がいい。さらに、ルネ・マグリットの「レディメイドの花束」(ボティチェリの女性を引用しているからレディ・メイド=既製品)、ジョセフ・コーネルのミクスト・メディアの作品「北ホテル」もいい。20世紀の欧米の現代美術の流れを概観しようという、意欲的な取り組みだ。舐めるように拝見した。 同時開催中の「ピカソの版画と陶芸」も見る(全てピカソの了解のもとにオリジナルから複製されたエディション作品とのこと)。 次に、 ■大阪市立近代美術館(仮称)心斎橋展示室での 「佐伯祐三とパリの夢 大阪コレクションズ」 こちら、佐伯祐三を始め、パスキンなど、良い作品を揃えているのだが、どうも館内が暗めで、国立国際美術館のように個々の作品の輝きがちょっとくすんでいるような印象を受けた。 また、佐伯祐三に対して、今までパリのエスプリ、エコール・ド・パリの画家、という目でばかり見ていたが、画面を色で構成するところに、セザンヌの影響を感じ、またがらんとしたカフェを描くところに彼の孤独を見た。それでも、病をおして彼は二度渡仏し、そしてまさに命を削って描き続け、30歳で客死したのだ。 ちなみに、この心斎橋展示室というのは、旧出光美術館(大阪)である。フロアが狭く、とてもではないけれど未だ準備中の大阪市立近代美術館の所蔵作品3000点を十分に展示するスペースとはいい難い。 国立国際美術館に隣接して大阪市立近代美術館を作る予定のようであるが、財政的に厳しいのであれば、例えば、京都まんが博物館のように、文化的価値があるが取り壊されそうになっているビルや学校などを活用して、できるだけ低コストかつ物を再利用する方向でなんとかならないだろうか。美術作品も泣いている。 さらにその後、 ■大丸ミュージアム・梅田(大丸梅田15階)で 「ピカソとモディリアーニの時代展」(リール近代美術館所蔵)へ。 ブラックやピカソ、フェルナン・レジェらのキュビズムの作品が充実している。また、コレクターと仲が良かったのか、ロシアの亡命貴族であるアンドレ・ランスコワの作品が沢山あった。彼のことは初めて知ったが、興味深く見た。 と、頭がぼ〜〜っとするくらい、ガシガシ美術館を回った一日である。 -
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