今日の日経を題材に法律問題をコメント

2010年11月30日(火) 整理解雇について、判例は厳しいか

 日経(H22.11.30)29面「経済教室」で、整理解雇について論じていた。


 筆者(神林龍・一橋大学准教授)は、多くの人が、整理解雇が法的に非常に制限されているという認識を持っているが、統計上も国際的評価上も、事実は異なると論じていた。


 面白いのは、昨日の経済教室では、別の筆者(八代尚宏 国際基督教大学教授)が、判例による厳しい解雇規制は環境変化に対応できないと、まったく逆のことを言っていることである。


 いずれの筆者も、「整理解雇の論点」という題名ながら、普通解雇と整理解雇とをきちんと区別せずに論じているように思われ、論旨がよく分からないところがある。


 ただ、整理解雇に限定していえば、判例は、厳しい解雇の要件を定めているとは言えないという印象を持っている。その意味では、神林准教授の意見に同意する。


 それが厳しい規制にみえるのは、整理解雇の際の労働者の選定に恣意的なことがあること、あるいは恣意的ではないのだが、裁判所を説得できるだけの証拠を揃えていないことにあるのではないかと思う。


 もっとも、小さな企業では、労働者の評価の元となる証拠を普段からきちんと揃えておくということは難しいことかもしれないが・・。



2010年11月29日(月) 文書提出義務と取材の自由

 日経(H22.11.10)社会面で、田原総一朗氏のテレビ発言をめぐる損害賠償訴訟で神戸地裁が、同氏に取材テープの提出を命じたことに関しての記事が載っていた。


 この記事を読んで、ある程度裁判の状況が分かった。


 この事件は、田原氏がテレビで「外務省も(被害者の有本恵子さんらが)生きていないことはわかっている」と述べたことに対し、有本さんの両親が、外務省がそのように述べていないのに虚偽による発言で傷つき精神的損害を被ったとして、慰謝料請求の裁判を提起したものである。


 田原氏は「発言は外務省幹部らへの取材に基づく見解」と主張し、インタビュー録音の一部を文書に起こして証拠として提出した。


 これに対し、両親側は、文書に「死亡」と認識している発言がないとして、テープ内容全体の提出を申し立てたのである。
 

 民事訴訟法は、当事者が訴訟において引用した文書を自ら所持している場合には、文書提出義務があると定めている。


 この規定を根拠に、神戸地裁は、「田原氏がテープ内容を引用している」と判断してテープの証拠提出を命じたようである。


 この場合、法律解釈としては、一般文書について認めている提出除外事由が引用文書についても認められるか、及び、認められるとして、本件が除外事由に該当するかなどが問題になるだろう。


 ただ、かなり複雑なのでこの点は省略する。


 結論としては、情報源が明らかになることによって影響を受ける取材の自由と、文書提出義務とが比較考慮されることになるだろう。


 いずれにせよ、最高裁まで争われと思われるが、私の感覚では、文書提出命令は認められないのではないだろうか。



2010年11月26日(金) 日教組とプリンスホテルの訴訟

 日経(H22.11.26)社会面で、会場の使用契約を解除され、教育研究全国集会の全体集会を開けなかったとして、日教組らがプリンスホテルなどに賠償を求めた訴訟の控訴審判決の記事が載っていた。


 東京高裁は、約2億9300万円の請求全額を認めた一審・東京地裁判決を変更し、約1億2500万円の支払いを命じたそうである。


 減額分で大きいのは、一審では約1900人の組合員ら個人の慰謝料合計約1億円を認めたが、控訴審では、「各組合員が精神的苦痛を負ったとしても、日教組が受けた損害に含まれる」として、認めなかったためである。


 理論上は控訴審の方が妥当のように思う。


 ただ、一審が組合員個人の慰謝料請求まで認めたのは、裁判所が使用許可の仮処分を決定しているのに、それを無視したプリンスホテルの悪質性を実質的に考慮したからではないだろうか。


 プリンスホテル側は「周辺住民などに迷惑をかけたくないという当社の苦渋の決断が一定の理解を得た」とコメントしている。


 しかし、一審の判決が理論的にやや無理があっただけであり、「一定の理解を得た」わけではないだろう。



2010年11月25日(木) 偽証と、記憶違いの証言の区別

 日経(H22.11.25)夕刊で、詐欺罪などに問われたが一審で無罪となった羽賀研二被告の公判において、羽賀被告に有利なうその証言をしたとして偽証罪に問われた裁判で、大阪地裁は、芳賀被告の知人に対し、懲役1年6月、執行猶予3年の有罪判決を言い渡したという記事が載っていた。


 うその証言は偽証罪になるが、証言が記憶違いであった場合は偽証罪とはならない。


 理論上はそうであるが、実際上は、うそなのか、記憶違いのかの区別はかなり難しい。


 それゆえ、捜査機関はよく偽証の証拠を集めたなあと思う。



2010年11月24日(水) 痴漢事件 高裁で逆転有罪

 日経(H22.11.24)夕刊で、電車内での痴漢行為の裁判で、名古屋高裁は、一審の無罪判決を破棄して、被告人に罰金50万円を言い渡したと報じていた。


 被告人は、逮捕当初から一貫して無罪を主張しており、物証はなかったようである。


 そのため、公判では被害者女性などの証言の信用性が争われたが、名古屋高裁は、「被害者女性らの証言は具体的かつ詳細で十分に信用できる」と認定した。


 物証がないことから、結局、裁判官が「供述が信用できる」と思うかどうかになってしまう。


 そのようなことは痴漢の裁判に限らないが、とくに痴漢事件では、被害者の供述の信用性がほとんど唯一の証拠であることは少なくない。


 そのような場合、裁判所は、被害者の供述を信用する方向に傾きがちである。


 しかし、それは常に真実なのだろうか。



2010年11月22日(月) 法務大臣が辞表を提出

 日経(H22.11.22)夕刊で、柳田稔法務大臣が、国会答弁を軽視するような発言をした責任を取るとして辞表を提出し、受理されたと報じていた。


 現在、大阪地検の検察官の不祥事をきっかけに検察の組織改革が議論されている。


 ただ、法務省の中枢は検察官であるから、法務大臣が法務官僚をきちんと指示できないと、検察官の言いなりになって結局何も変わらなかったということになりかねない。


 それなのに、法務大臣が「国会答弁は『個別事案についてはお答えを差し控えます』『法と証拠に基づいて適切にやっている』の二つ覚えておけばいい。」と言っているようでは、さっさと辞めてもらった方がいいだろう。



2010年11月19日(金) 1年間だけ継続というのは分かりにくい

 日経(H22.11.19)2面で、民主、自民、公明3党が、司法修習生に国が給与を支払う「給費制」を1年間継続する議員立法を今国会で成立させる調整に入ったと報じていた。


 「貸与制」の実施を1年間先延ばしするということである。


 法曹関係者の多くの意見は、「司法修習生のために給費制を存続させてやりたいが、世論が納得しないだろうなあ」というものだと思う。


 それゆえ、給費制が存続するというのであれば、「よかったなあ」と思う。


 それが、なぜ1年間だけ給費制を存続させるのか。分かりにくい結論である。



2010年11月18日(木) 次から次へと起こされる定数不均衡の訴訟

 日経(H22.11.19)1面で、東京高裁は、今年7月の参議院選挙において、1票の格差が5倍となっていたことは違憲であるとの判断を示したと報じていた。


 7月の参院選を巡っては同種訴訟が全国の14高裁・高裁支部で起こされているそうである。


 このまま定数不均衡が是正されないと、今後も次から次へと定数不均衡の訴訟が提起されるだろう。


 裁判所も「(国会に対し)いい加減にしてくれ」という気持ちかもしれない。


 ただ、それでも国会に定数不均衡を是正しなければならないという危機感がないのは、裁判所の判断が、国会の裁量を尊重するものになっているからであろう。


 裁判所は、もう少し踏み込んだ判断をすべきではないかと思う。



2010年11月17日(水) 裁判長が控訴を勧める

 日経(H22.11.17)社会面で、横浜地裁で裁判員裁判では初の死刑判決を出したが、その際、裁判長が被告に対し「裁判所としては控訴を勧めたい」と異例の説諭をしたことが波紋を投げかけているという記事が載っていた。


 そのような説諭した理由について、「裁判員らの中に死刑の結論に異論があったことに配慮した可能性がある」との見方があるようだ。


 そうであれば、それは極めて問題である。


 なぜ、被告人に説諭する場面で、裁判員に配慮する必要があるのだろうか。説諭する場面で配慮すべきは被告人に対してであろう。

 
 裁判官から控訴を勧められた場合、被告人としては、「この裁判は正しかったのか」という疑念が残るだけではないだろうか。


 裁判員裁判において、裁判官は、裁判員に手厚い配慮をしている。


 それ自体は間違いではないにせよ、反面、被告人がないがしろにされているのではないかと懸念する。



2010年11月16日(火) 略式起訴(罰金刑)も起訴猶予もできないのではないか

 日経(H22.11.16)1面で、尖閣諸島での衝突ビデオが流出した事件で、流出させた保安官の逮捕を見送るという記事が載っていた。


 逮捕を見送る理由は、証拠隠滅の恐れがないことと、被告人流出ビデオが「秘密」にいえるかに問題があるからとのことである。


 しかし、私は、「秘密」性の問題よりも(「秘密」の要件は、流出させた時点では管理が厳格化しており、私は満たすと思う)、「職務上知ることのできた」といえるかどうかが最大のネックになるのではないか。


 報道によれば、別の職員がたまたま海上保安大学校のパソコンに保存されているビデオ映像を見つけ、それを共用パソコンに保存していたものを、無断でUSBにコピーしたとのことである。


 そうすると、「職務上知ることができた」とは言えないのではないか。


 検察庁は、任意捜査のまま、略式起訴(罰金刑)や起訴猶予処分を検討しているとのことである。


 しかし、略式起訴は、犯罪事実が認められなければならない。起訴猶予についても、犯罪事実が明白な場合であることが前提となる処分である。


 このままでは、略式起訴も起訴猶予もできないのではないだろうか。(その場合には、犯罪の嫌疑不十分として不起訴処分となる)



2010年11月15日(月) 真相究明を声高に叫んでいたのはマスコミではなかったか

 今日は新聞休刊日のため、昨日の日経(H22.11.14)になるが、10面で、「輝き失う検察の金看板 『適正手続き』に書き換えの時」という見出しで、真相解明よりも、適正手続きを優先すべきときであるという論評を書いていた。


 真実の発見真相の解明をあくまでも優先させると、手続きの適正はないがしろにされがちである。


 それゆえ、真実発見と適正手続きの保障とはせめぎ合う場面がしばしば生じる。


 ただ、上記の論評で、「輝き失う検察の金看板」(真実発見のこと)の例として挙げているのは、大阪地検特捜部の証拠改ざん事件である。


 しかし、この検事は、真実発見の強い要請からおもわず証拠を改ざんしたわけではなく、検察の描いた絵に無理やり証拠を合わそうとしたものである。


 すなわち、この事件は、真実の解明と、適正手続きの保障がせめぎあった場面ではなく、例としてまったく不適切である。


 もちろん、真実発見よりも適正手続きの保障を優先させるべきという見解は尊重されるべきである。


 ただ、マスコミは、これまでそのような姿勢だったのか、真相究明を声高に叫んでいたのはマスコミでなかったのか。


 その反省こそが先であろうと思う。



2010年11月12日(金) 任意聴取とはいえ

 日経(H22.11.12)1面で、尖閣諸島沖の中国漁船衝突をビデオ映像が流出した事件で、警視庁は、前日に続き海上保安官から任意聴取したと報じていた。

 
 この海上保安官には、家族が心配して、弁護士に面会に行ってもらっているぐらいだから、庁舎から出ていないと思われる。


 庁舎から出ないことについては、海上保安官も同意しているのだろうから、一応「任意聴取」といえる。。


 しかし、実質的には拘束されていて逮捕と同じであるという見方もできるのであり、このような中途半端な取り調べは望ましいとはいえない。



2010年11月11日(木) 「職務上知りえた」「秘密」

 日経(H22.11.11)1面で、尖閣諸島沖の中国漁船衝突の撮影ビデオが流出した事件で、海上保安庁の海上保安官が、衝突ビデオを流出させたことを認めたと報じていた。


 ただ、逮捕までには至らなかったようである。


 国家公務員法は、「職員は、職務上知ることのできた秘密を漏らしてはならない。」としている。


 ところが、この海上保安官が入手ルートを明言しなかったため、「職務上知りえた」かどうかが判明せず、そのため、逮捕までに至らなかったのであろう。


  この問題では、衝突ビデオが『秘密』にあたるかも議論されており、知る権利を重視して、『秘密』にあたらないという意見を述べている学者や弁護士もいる。


 知る権利に基づき、政府にビデオの公開を求めることは正当であろう。


 しかし、知る権利があるからといって、公開されていないビデオを職員が勝手に流出してもいいということにはならない。


 衝突ビデオは、政府が公開しないと決めた時点で管理が厳格になっており、少なくともそれ以降は『秘密』としての実質をもっていたと思う。



2010年11月10日(水) 日本航空が整理解雇を実施する方向

 日経(H22.11.10)11面で、日本航空が、整理解雇を実施する方向で最終調整に入ったと報じていた。


 希望退職の最終募集を締め切ったが、削減目標に100人以上が不足しているとのことである。


 整理解雇するためには、人員削減の必要性の存在、解雇回避努力の有無、解雇対象者の選定の合理性、解雇手続きの妥当性という4つの要件を総合的に判断する必要があるとされている。


 ところが、日本航空は4〜6月期は黒字であったという報道もされているので、もはや人員削減の必要性はないのではないかという意見もあるようである。


 この点は、黒字になった原因を精査する必要がある。


 ただ、一般的に言って、日本航空は一度は倒産した会社(更生会社)なのであるから、経費を削減しないと更生できないことは明らかである。


 それゆえ、経営状況の悪化を完全に脱したのであればともかく、一時的な黒字程度では人員削減の必要性は認められると思われる。


 そうすると、手続きを丁寧に踏んでいけば、整理解雇は認められる可能性は高いのではないか。



2010年11月09日(火) 刑事訴訟法に基づく調査照会と報告義務

 日経(H22.11.9)1面で、尖閣諸島沖の中国漁船衝突のビデオ映像が流出した事件で、検察庁は、「ユーチューブ」を運営する米グーグル側が持つ通信記録の差し押さえ令状を近く裁判所に請求する方針と報じていた。


 検察庁は、グーグル側に投稿者に関する資料の提出を求めていたが、同社側は任意での提出に応じないため、裁判所の令状に基づく強制手続きが必要になったとのことである。


 刑事訴訟法197条2項は、捜査機関は、国、地方自治体、会社などに対し、必要な事項の報告を求めることができると規定している。


 検察庁は、この規定に基づき、グーグルに対し通信記録の照会をしたのであろう。


 報告を求められた場合は、原則として報告すべき義務があり、また、法的義務に基づくものであるので、報告しても守秘義務に違反しないと解されている。


 そのため協力することが多いのではないだろうか。


 私も企業から、「警察からこんな照会が来たのだが、どうすればいいですか」と相談を受けることがあるが、調査に手間がかからないのであれば報告することを勧めている。


 しかし、報告に応じなくても罰則はない。


 それゆえ、最近では報告を拒否する企業も増えているようである。


 グーグルの場合も報告を拒否したため、令状に基づく通信記録の差押えになった。


 グーグルとしては、安易に報告するよりも、強制的に差し押さえてくれた方が責任がないことがはっきりしてよいと考えたのだろう。



2010年11月08日(月) 衝突ビデオのテレビ放映は著作権法違反となるか

 日経(H22.11.8)1面で、尖閣諸島沖での中国漁船衝突事件のビデオ映像がインターネットに流出した問題で、検察当局は、刑事事件として捜査に乗り出す方針と報じていた。


 インターネットに流出させた者は、国家公務員法違反などに問われることになるだろう。


 ところで、このビデオ映像はテレビのニュース番組でも何度も放映されている。


 しかし、ビデオ映像の著作権は国にあり、国はその使用を許諾したわけではないから、放送局がビデオ映像を放映することは著作権侵害にあたらないのだろうか。(流出させた者が著作権侵害にあたることは間違いない。)


 この点、著作権法は、著作権者の同意がなくても、一定の要件の下で報道のために著作物を利用することを認めているので、その要件を満たすかが問題になる。


 かつて、山口組の組長承継式のビデオを、ニュース番組で無断で放送したことが著作権侵害にあたるかが争われたことがある。


 そのケースでは、組長承継式のビデオを4分以上放映したのであるが、裁判所は、報道のための利用を認め、著作権侵害に当たらないと判断している。


 今回の衝突ビデオについても、それをテレビで放映することは、報道のための利用として認められる可能性は高いと思われる。


 しかし、報道のための利用といっても、著作者人格権を侵害してはならない。


 著作者人格権の一つとして公表する権利があるので、未だ公表されていない著作物を公表すると、たとえ報道のための利用であっても著作者人格権を侵害することになる。


 今回流出したビデオ映像は国会議員にも公表されていない部分のようであるから、衝突ビデオ映像をテレビで放映することは、ビデオの著作者の有する著作者人格権(公表権)を侵害している可能性があるのではないだろうか。


 もっとも、国が「公表権を侵害している」と言って報道機関に文句をつけられる立場ではないだろうから、実際には問題にならないのだろうが。



2010年11月05日(金) 弁護士が自宅で殺害される

 日経(H22.11.5)社会面で、弁護士が自宅で殺害されたと報じていた。


 被疑者は「妻と離婚した際に調停にかかわった津谷弁護士を恨んでいた」と供述しているようである。


 しかし、離婚調停は、6年前の2004年に成立している。


 そんな以前の事件をいつまでも恨まれたら堪らないことである。



2010年11月04日(木) 「似てるけれど著作権侵害にならない」というのは難しい

 日経(H22.11.4)社会面で、サンリオのウサギのキャラクター「キャシー」が「ミッフィー」を模倣しているとして、オランダの裁判所が著作権侵害と認定したことを受け、サンリオは「権利を侵害していない。今後も裁判を通じて主張していく」とコメントしたと報じていた。


 オランダの裁判所のことではあるが、「キャシー」のキャラクターをみると「ミッフィー」に似てるなあという印象は受ける。


 もっとはっきりと似てないようにすればいいと思うが、なかなかそうはいかないようである。


 サンリオではないが、私も「このデザインは、著作権侵害になりますか」と問い合わせを受けることがある。


 担当者が心配になって弁護士に問い合わせるくらいだから、実際似ている。


 私が「はっきり違いが分かるようにしたら」と言うと、それには抵抗する。


 似ているから意味があるからである。似てるけれど、著作権侵害にはならないというのが担当者の狙う線なのである。


 しかし、「似てるけれど、著作権侵害にはならない」というのはとても難しく、弁護士にそれを求めるのは無理であろうと思う。



2010年11月02日(火) 裁判員裁判で死刑を回避

 日経(H22.11.2)1面で、耳かきサービス店員の女性と祖母を刺殺したとして、殺人などの罪に問われた事件の裁判員裁判で、東京地裁は、無期懲役の判決を言い渡したと報じていた。


 2人が殺されており、被害者に何の落ち度もなかったことを考慮すると、死刑でもおかしくなかった事案であるが、おそらく、今後も死刑を回避する傾向になると思われる。


 これが「市民感覚」ということなのだろう。



2010年11月01日(月) 「もも肉」を「ロース」と表示するのは「違法」か

 日経(H22.11.1)社会面で、消費者庁が、焼き肉店で「もも肉」を「ロース」と表示するのは違法と判断したことの続報が載っていた。


 店側には戸惑いが広がっているが、消費者庁は改善されなければ法的措置も辞さない構えで、「JAS法がダメなら景品表示法で対処する」とのことである。


 農水省は「外食における原産地表示に関するガイドライン」定めているものの、JAS法によって外食産業における表示を直接の規制する規程はない。


 そのため、消費者庁は「景品表示法で対処する」と言ったのであろう。


 確かに、景品表示法によれば「著しく優良と誤認させる表示」は許されないとされている。


 しかし、消費者庁がその例として挙げているのは、羽毛布団で「グースダウン使用」と謳いながら、実際はほとんどがダックダウンであったというような事例である。


 それに比べて、焼き肉の「もも肉」を「ロース」と表示することが「著しく優良と誤認させる表示」といえるのだろうか。


 適正な表示は望ましいが、果たして「違法」とまで言えるのか。議論の分かれるところだろうと思うが。


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