今日の日経を題材に法律問題をコメント

2009年07月31日(金) オウム真理教の松本智津夫の担当弁護士に業務停止1か月の処分

 日経(H21.7.31)社会面で、オウム真理教の松本智津夫の控訴審を担当した弁護士に対し、第二東京弁護士会は、控訴趣意書を期限内に提出しなかったことは「弁護士としての品位を失う非行にあたる」として、業務停止1カ月の処分としたと報じていた。


 控訴趣意書の提出期限を守るという弁護士として最も基本的なことを怠り、しかもその結果、死刑を確定させるという重大な結果を招いたのだから、処分は当然であろう。


 一緒に担当した弁護士は、所属する仙台弁護士会から処分を受けたが、戒告で済んでいる。


 弁護士会によって判断が異なるのはやむを得ないが、戒告処分というのは少々軽いのではないか。


 ただ、業務停止1か月というのは、世間が考える以上に弁護士にとってはきつい。


 業務停止期間中は電話を取ることもできない。


 そうすると、弁護士は客商売なので、顧問企業は逃げていくかもしれないなど、後々まで経営に影響するからである。



2009年07月30日(木) 法制審議会が成人年齢は18歳が適当との報告

 日経(H21.7.30)1面で、法制審議会は、成人年齢を18歳とするのが適当との最終報告をまとめたと報じていた。


 私は、飲酒、たばこなどの一部例外を除き、18歳以上はすべて大人として扱うのが妥当であろうと思っている。


 しかし、世論の大多数は成人年齢の引き下げには反対のようだ。


 日本では20歳以上を成人とする文化習慣が根付いているからであろう。

 
 そのため、一挙に18歳以上と成人とするような改正は無理と思う。


 法制審議会は、選挙年齢を18歳にするのなら、民法の成人年齢も引き下げるのが適当とした。


 しかし、当面は選挙年齢だけを引き下げて、その様子を見てから検討するのが穏当な方法なのかもしれない。



2009年07月29日(水) 東京高裁が、配信記事について地方紙の責任を否定

 日経(H21.7.29)社会面で、共同通信の配信記事を載せて名誉棄損になった事件で、東京高裁は、一審の判断を覆し、地方紙の賠償責任を認めなかったと報じていた。


 一審では、共同通信社の名誉棄損は認めなかったが、配信を受けた地方紙の名誉棄損を肯定していた。

 
 共同通信も地方紙も独立した責任主体ゆえ、それぞれについて名誉棄損にならないように取材上の注意義務を果たしたかが問題にならざるを得ない。


 その結果、配信した共同通信は名誉棄損に問われないが、その記事を掲載した地方紙は名誉棄損に問われるという結論がある得ることになる。


 一審では地方紙側は、定評ある通信社の配信であれば掲載紙は責任を問われないという、アメリカの判例で定着している「配信サービスの抗弁」を主張したようであるが、それは受け入れられなかった。


 そこで、控訴審で地方紙側は、共同通信と掲載紙とは、取材上の注意義務の履行とそれを期待できる相互関係にあると主張したようである。


 その論理を高裁は受け入れて、地方紙は、配信記事を真実と信じる相当の理由があるので過失はないとして責任を否定したものである。


 一審で地方紙側が主張した「配信サービスの抗弁」というような新しい論理は、裁判所はなかなか受け入れない傾向がある。


 それよりも、控訴審での地方紙の代理人の主張のように、従来の判断基準である「配信記事を真実と信じる相当の理由があるかどうか」という事実認定の問題に持ち込んだ方が裁判所の理解は得やすい。



 お手柄なのは、控訴審での地方紙の代理人であろうと思う。(一審と控訴審の代理人は同じかも知れないが)



2009年07月28日(火) 『違法ではないけれど』アメリカでは販売を認めない?

 日経(H21.7.28)15面のコラム「一目均衡」で、三菱東京UFJ銀行が取り扱い始めた、三菱グループ株式投信について噛みついていた。


 利益相反が疑われる商品であり、メガバンクが取り扱うべきではないというのである。


 それはその通りかもしれない。


 ただ、その中で「この商品は違法ではないにせよ」とした上で、法律専門家の話を引用する形で「アメリカやイギリスならば販売が認められない」としていた。


 しかし、アメリカでは違法でないのに行政指導で販売を認めないということがあるのだろうか。


 何だかずいぶん日本的だなあと思った。


 この「法律専門家」に話を聞いてみたい気がする。



2009年07月27日(月) 一緒に水泳して「逮捕監禁」?

 日経(H21.7.27)社会面で、千葉で、女性殺害され次女が連れ去られた事件で、容疑者と連れ去られた次女が沖縄で2人で海水浴をしていたことが分かったと報じていた。


 容疑者は、殺人と逮捕監禁の容疑で逮捕されている。


 殺人は別にして、2人で一緒に水泳までして「逮捕監禁」といえるのだろうかと思うのが通常であろう。


 しかし、女性が「怖くて逃げることができなかった」と供述すれば、逮捕監禁罪が成立する可能性はある。


 しかも、取り調べる側は「怖くて逃げられなかったんだろう」と聞くだろうし、それに対して「はい」と答えると、供述調書では「私は怖くて逃げることができませんでした」と記載されてしまう。


 実際、自動車で東京から大阪まで行き、その間、サービスエリアで、女性はトイレに一人で行き、レストランでは一緒に食事をした事件で、弁護側は無罪を主張したが、裁判所は「怖くて逃げられなかった」という女性の供述を採用し、東京から大阪までの逮捕監禁を認めた判例がある。


 事案ごとに事情は異なるから一般論では言えないが、女性の供述次第では、この事件の容疑者が逮捕監禁罪で起訴される可能性はあると思う。



2009年07月24日(金) 更新料の支払い約束は無効

 日経(H21.7.24)社会面で、京都地裁は、賃貸住宅の「更新料」は消費者契約法に違反し無効と判断し、全額返還を命じたと報じていた。


 賃貸借契約では、賃貸人側に正当事由がない限り更新を拒むことができない。


 そして、このような法定更新の場合には、更新料を支払う義務はないとされている。


 そうであれば、合意による更新の場合にも、更新料の支払い義務もないように思われるし、そのような学説もあるにはある。


 しかし、多くの学説は、建物賃貸借の更新料は1、2か月分と比較的低額であり、円満に更新されるという心理的メリットを考慮すると、更新料の支払いには経済的合理性があるとして、その支払い約束を有効と考えていた。


 したがって、更新料の支払い約束を無効とする今回の判例は衝撃的である。


 実務に与える影響は大きいだろう。


 ただ、私が知る限りでは、大規模修繕の費用などを考えると、通常の家賃だけではアパート経営はなかなか難しいように思われる。


 裁判では、通常の家賃だけでは経営できないことをシュミレーションなどで立証したのであろうか。


 いずれにせよ控訴審の判断が待たれるところである。



2009年07月23日(木) 裁判官の夏休み

 日経(H21.7.23)社会面で、裁判員裁判は、裁判員の夏休みに配慮して、8月は2件にとどまったという記事が載っていた。


 しかし、8月の裁判が少ないのは、裁判員の夏休みに配慮したというよりも、裁判官の夏休みのためだろう。


 なにしろ、裁判官には20日間の夏休みがあり、その間は「夏季休廷期間」と称して裁判は開かれないのだから。



2009年07月21日(火) 解散権は内閣にあるのか、内閣総理大臣にあるのか

 日経(H21.7.21)夕刊トップは「衆議院解散、総選挙へ」であった。


 その解説で「衆議院の解散は天皇の国事行為の一つであり、内閣の助言と承認によってなされる」ため、「実質的な解散権は首相にあるとの解釈が通説になっている」としていた。


 しかし、解散は内閣の助言と承認によってなされるのだから、解散権は「内閣」にあるというべきであろう。


 憲法の基本書でも、解散権は「内閣」にあるとするのが一般である。

 
 もちろん、内閣総理大臣は、内閣を代表する強い地位と権能を有しているから、解散権が内閣にあるとするなら、事実上内閣総理大臣に帰属するといっても間違いではないかもしれない。


 ただ、学説上の「通説」とまではいえないのではないか。



2009年07月17日(金) 田中森一元特捜検事の裁判で、求刑懲役6年に対し、懲役3年の実刑判決

 日経(H21.7.17)社会面で、9000万円をだまし取ったとして詐欺罪に問われた田中森一元特捜検事に対し、大阪地裁は、懲役3年の実刑判決を言い渡したと報じていた。


 求刑が懲役6年であるから、判決はその5割であり、ずいぶん軽くなっている。


 裁判所が、求刑の6割以下にすることは珍しい。


 以前、検察官の求刑後に示談が成立したことがあったが、裁判所は、検察官に改めて示談成立を前提にした求刑をさせ(当然、求刑は軽くなっている)、その上で判決をしたことがある。


 最初の求刑からすれば5割以下の判決になるので、裁判所はそれを避けたのだと思う。


 田中被告の裁判では、裁判所は「目先の現金に目がくらみ、法無視の態度は著しい。弁護士に対する信頼を失失墜させかねない悪質な行為」と述べている。


 それだけ非難しながら、なぜ求刑の5割の懲役3年の判決にしたのか。記事を読む限りはよく分からない。



2009年07月16日(木) 緒方元公安調査庁長官に懲役2年10カ月執行猶予5年の有罪判決

 日経(H21.7.16)夕刊で、朝鮮総連中央本部が入る土地建物の売買をめぐる詐欺事件で、東京地裁は、総連側から約4億8400万円などをだまし取ったとして詐欺罪に問われた緒方元公安調査庁長官に対し、懲役2年10カ月執行猶予5年を言い渡したと報じていた。


 約4億8400万円の詐欺事件であれば、通常であれば間違いなく実刑になる。


 それゆえ、執行猶予がつくというのは、足して二で割ったような判決である。


 緒方被告は無罪を主張しており、詐欺罪が成立するかどうか微妙な事案であったのかもしれない。



2009年07月15日(水) 1円の損害賠償請求

 日経(H21.7.15)社会面で、脚本家らが、作家に対し、出版妨害禁止と損害賠償金1円を求めて東京地裁に提訴したという記事が載っていた。


 1円の損害賠償とはどういう意味かと思うかもしれない。


 これは「お金の問題じゃない」という意思を示しているのではない。


 おそらく、東京地裁で裁判を起こすための方策だと思う。


 損害賠償請求(金銭債権)の場合、自分の近くの裁判所で訴えを提起することができる。そのため、1円の損害賠償請求という形をとり、自分が住んでいる所を管轄する東京地裁に訴えたのだろう。


 1円の損害賠償請求というのは何だかいやらしい感じがして、私はやったことはないが、ときどき取られる方法ではある。



2009年07月14日(火) 「スゴ腕弁護士」はいないが「ダメ弁護士」はいる

 日経(H21.7.14)4面の雑誌広告欄で、「スゴ腕弁護士50人が指南」という記事が載っていた。


 残念ながら私はその中に入っていないが、訴訟に限定して言うならば、「スゴ弁護士」というのはいないと思っている。


 訴訟において重要なことは、記録をきちんと読み、謄本類など誰でも収集可能な証拠はきちんと揃え、事件に関連する判例、文献を調べるということである。


 この程度のことは、司法試験を受かる能力があれば誰でもできる。


 しかし、それをきちんとやらない弁護士は意外と多い。


 その意味で、「スゴ腕弁護士」はいないが、「ダメ弁護士」はいると思う。



2009年07月13日(月) 『意見書』は効果があるのか

 日経(H21.7.13)14面で、楽天が保有しているTBS株の買取り請求問題について解説していた。


 すでに買取り請求額を決めるための司法手続きが始まっており、楽天とTBSとの間では、裁判官を説得するために意見書を書いてもらおうと、著名学者の囲い込み競争が起きているそうである。


 この種の巨額の訴訟では、意見書の提出合戦になることは多い。


 一方が提出すれば、他方の依頼者から「先生、こっちは出さないのですか」と言われるから、提出せざるを得ない。


 しかも、相手より格上の学者にお願いしようするから、著名学者の囲い込み合戦が起きることになる。


 しかし、裁判というのは、事実認定をして、それに法を当てはめる作業である。


 それゆえ、法学者の意見が裁判の帰趨を決することはないと思う。



2009年07月10日(金) 旧日債銀粉飾事件で旧経営陣の有罪見直し

 日経(H21.7.10)社会面で、旧日債銀の粉飾決算事件で、証券取引法違反に問われた旧経営陣について、最高裁が有罪を見直し、無罪とする可能性が出てきたと報じていた。


 この事件では、世間は旧経営陣の刑事責任を問う声が強く、検察庁が証券取引法違反で起訴し、裁判所も1、2審で有罪としている。


 事件は1998年に起きているから、10年を経過し改めて冷静に判断してみると無罪であったということになるのだろう。


 罪に問われた旧経営陣も、ほっといると思う。



2009年07月09日(木) ATS設置の責任を個人に帰すことができるか

 日経(H21.7.9)1面で、「JR福知山線脱線事故で、神戸地検はJR西日本社長を業務上過失致傷罪で在宅起訴」と報じていた。


 「会社のトップを起訴か」と思って記事をよく読むと、事故当時の鉄道本部長時代の責任が問題なったもので、会社のトップだから起訴されたわけではなかった。


 紛らわしい報道の仕方である。


 それはともかく、鉄道本部長としての責任の内容は「ATSの設置を怠ったことに過失がある」というものである。


 しかし、ATS設置の責任を個人に帰すことができるのだろうか。


 相当無理した起訴であることは間違いなく、裁判で争われることは必至であろう。



2009年07月08日(水) 裁判官は、被告人と警官のいずれの供述を信用するのか

 日経(H21.7.8)社会面で、職務質問をした警官に暴行したとして公務執行妨害罪に問われた事件の控訴審で、名古屋高裁は、一審を破棄し、無罪を言い渡したという記事が載っていた。


 このような事件では、目撃者は被告人と警察官しかいないから、そのいずれの供述を信用するかということになる。


 そうなると、裁判官が被告人の供述を信用することはほとんどない。


 実際、一審では有罪となっている。


 ただ、この事件では、一緒にいた部下の警官があいまいな証言をしたため、暴行を受けたという警官の証言が信用されなかったのではないかと思われる。


 いいかえれば、警官2人が「暴行を受けた」と虚偽の証言をすれば、ほぼ100%有罪になってしまうということである。


 そのようなことがないことを願うしかない。



2009年07月07日(火) 商品先物取引の損害賠償金は非課税

 日経(H21.7.7)社会面で、商品先物取引によって損害を受け、裁判で損害賠償金を和解金として受けたったが、それに対して所得税を課されたため、国に課税処分取り消しを求めた訴訟で、大分地裁は、和解金は非課税と判断したという記事が載っていた。


 かなりの弁護士が損害賠償金はすべて非課税と思っているが、損害の原因によって課税される場合もあるので、一概に非課税とは言えない。


 ただ、所得税法の解釈からは、商品先物取引によって生じた賠償金は非課税だと思う。


 実質的に考えても、商品先物取引で損害を受けて、その一部を取り戻しただけなのに、それに対し課税されるということは納得できないだろう。


 もっとも、非課税と判断されて一番ほっとしているのは、商品先物取引の損害賠償の裁判で和解を担当した弁護士であろうと思う。



2009年07月06日(月) 大卒なのに、履歴書に高卒と書いた場合

 日経(H21.7.6)14面「リーガル3分間ゼミ」で、採用後に履歴書の虚偽申告が発覚した場合について書いていた。


 そのコラムの中で、東京高裁の判例を引用して、「履歴書に、大卒なのに高卒とした場合も虚偽申告となり、懲戒解雇の可能性がある」としていた。


 この東京高裁の判決に対しては上告されたが、最高裁もこの東京高裁の判断を支持している。


 したがって、記事で書いていることは間違いではない。


 ただ、大卒なのに高卒と偽って申告したことが問題になるのは、政治活動歴を隠していた場合など、本当は別の理由であることが多い。


 この裁判でも、この労働者は成田闘争に参加して2回に渡って懲役刑を受けている。


 そのため、最高裁は、大卒なのに高卒と偽って申告したことを問題にしただけでなく、2回にわたり懲役刑を受けたことも問題にしている。


 そのうえ東京高裁では、「有罪判決を受けた後も成田空港反対闘争に参加するなど自己の行動に対する反省の態度は見受けられず、自己の主張が正しいとして、既成の社会秩序を拒否する考えが強い」とまで述べている。


 このような諸事情を考慮したうえで懲戒解雇を有効としたのである。


 すなわち、「大卒であるのに高卒と偽った」ことだけが問題になったのではないことに留意すべきである。



2009年07月03日(金) 有料老人ホームが増えている

 日経(H21.7.3)11面で、「有料老人ホームが増設」という記事が載っていた。


 一時は総量規制により有料老人ホームの開設が減っていたが、政府が経済対策の一環で規制を緩和したことから、最近、開設がまた増えているそうである。


 成年後見人をしている関係で、有料老人ホームに行く機会がよくある。


 私が行ったところに限っていえば、どこの施設もきれいで、職員も熱心で明るく、資金的余裕があれば、このような施設に入ることは悪くないと思う。


 ただ、有料老人ホームの開設が増えるにつけ、サービスや料金についてのトラブルが急増しているので、入居時にきちんと説明を受けることが重要になるだろう。



2009年07月02日(木) 「過払い金返還請求で不当に高い手数料で儲けている弁護士がいる」

 日経(H21.7.2)文化面「交遊抄」で、『貸金業者への過払い金返還請求で不当に高い手数料で儲けている弁護士がいるのはけしからん』と述べた友人の話を紹介していた。


 「不当に高い手数料で儲けている弁護士」が、整理屋と結びついた提携弁護士のことを言っているのか、一般の弁護士を言っているのかは不明であるが、弁護士会法律相談での報酬基準は高いのではないかと思う。


 基準では、貸金業者1社当たり、

着手金2万1000円、報酬2万1000円

業者の言い分より減額になった場合、減額報酬として減額分の10.5%

過払い金があれば、その21%(訴訟になれば25.2%)

となっている。


 とすると、貸金業者の主張が残金100万円であったところ、それがゼロになり、逆に過払い金が50万円戻ってきたとすると、
弁護士報酬は全部で25万2000円になる。


 弁護士会の基準がこのようになっているから、整理屋と結びついた提携弁護士も、弁護士会基準と同じだけ請求しても問題にならない。


 報酬基準を改正し、せめて減額報酬は廃止すべきではないかと思う。(私の事務所では減額報酬は請求していない)



2009年07月01日(水) 暴力団を隠してホテルを予約したとして、詐欺などの疑いで逮捕

 日経(H21.7.1)社会面で、 日光の老舗ホテルで、暴力団であることを隠して宴会場や宿泊を予約し、忘年会を開いたとして、警察は、暴力団幹部を詐欺、偽計業務妨害、偽計信用棄損の疑いで逮捕したと報じていた。


 しかし、偽計業務妨害はともかく、詐欺罪が成立するのだろうか。


 「重機関係の会社」と偽って予約したから、ホテルを騙したとは言える。


 しかし、警察や裁判所は、世間でいう『騙した』と、詐欺罪が要求する『騙した』とはレベルが違うと考えている。


 そのため、高齢者が騙されて契約させられるという消費者被害においても、警察が「詐欺罪」で捜査することはそれほどない。


 たとえ暴力団であったとしても、記事の事案で詐欺罪の成立は難しいのではないか。


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