ロマンティスト・テイスト...jovanna

 

 

ザ・ハリケーン - 2003年03月16日(日)

人種差別による冤罪事件で終身刑を宣告された天才ボクサー
ルービン・“ハリケーン”・カーターが真実の勝利を勝ち取るまでを描いた映画だ。
デンゼル・ワシントンの演技が凄い。無実の罪で20年も服役させられるなんて。
これが実話だという事に驚かされる。
ボブ・ディランの歌う「ハリケーン」が要所要所に流れる。
一瞬当時のボブ・ディランが歌う映像が流れて感慨深かった。
CDで聴く「ハリケーン」もジプシーヴァイオリンの調べが素晴らしかったが
映画の中で聴くこの曲は尚一層迫力に満ちていた。

「自伝を書くこと」だけが生きる支えだった“ハリケーン”が自伝を出版し
支援運動も盛り上がるものの2度の再審も退けられ、すべてに絶望しきっていた時に、
古本で安く売られていたその本を手にした黒人少年との出会いで、
再び希望の光を見出していく、その過程に心を揺すぶられた。
デンゼル・ワシントン扮する”ハリケーン”が自分の境遇を呪ったり
自暴自棄になったりすること無く、誇りを保っている姿に胸を打たれた。
黒人少年を世話し、後にハリケーンを献身的に支援したカナダ人3人組の存在が
本当に嬉しかった。黒人というだけで彼を生涯苦しめ続けた警官とは違い、
暖かい配慮を示し続けた刑務所の責任者のように心ある白人もいるのに。
冤罪が起こったのは1960年代だけれど、この人種差別は現在も続いている。
本当に悲しい事だと思う。
肌の色、出自、貧富、宗教etc.様々な違いが差別を生む。
己の価値観に相容れない者を認めず排除しようとする。
人間の心に潜む驕り、蔑みが何らかの切っ掛けで噴出す。
けれど人間が一人一人心に想う愛や希望や願いは、誰にも侵す事の出来ない自由で
あり宝物だ。私は全てはまず他者への理解から始まるのではないかと思う。

今、オノ・ヨーコさんが『ジョン・レノンに捧げるピース・イベント』を提唱してお
られる。
旅する事が出来なくても、想像する事は出来る。
胸の鼓動を聴く事は出来る。
http://www.dreampower-jp.com/peace/

オノ・ヨーコさんと言えば、一昨年の第一回ドリームパワーライブを思い出す。
サテライトスクリーンに映るヨーコさんを真っ直ぐに見詰めながら話していた
吉井和哉はイエローモンキー活動休止以来初めて公の場に姿を現したのだった。
今年もドリームパワーライブの開催が決まったそうだ。平和を求める歌の力は強い。
あなたの歌うレノンの歌を聴きたい。





3月10日 - 2003年03月10日(月)

あの横浜アリーナでのパンチドランカーツアーファイナルから、今日でちょうど
丸4年経つ。「3.10横浜アリーナ」のDVDを通して見た。
「オマル」が響きはじめ、戦闘の狼煙があがる。
ドラム、ベース、ギター、そして吉井のボーカルが絡んでTHE YELLOW MONKEYライブの
幕開けだ。「O.K」から「ロックスター」への流れ、ヒーセと吉井が二人揃って楽器を振り下ろす
アクションがとても決まってる。「ゴージャス」という曲に集約されている気がするのだが、
イエローモンキーは煌びやかさといかがわしさ、遊び心が際立つバンドだと思う。
私は以前この「3.10」の映像を見る事を躊躇っていた。
パンチドランカーツアーという過酷なツアーがバンドを疲弊させ、消耗し尽くしたのだと
思っていたから。バンドが休止を発表した時、正直このツアーさえなければ、と恨みさえした。
けれど今日、久しぶりにこのライブ映像を見て感じたのは、確かに吉井和哉の容貌は
かつて自分自身で形容した「茹でたトリ肉」のように艶がすっかり失われてはいるけれど、
ここに映るメンバー達は決して、真っ白に燃え尽きた姿ではない。
一年にわたるツアーを乗り越えて来た自信と信頼に満ちた雄々しい戦士達の勇姿だ。
“永遠の中に生命のスタッカート
土の中で待て命の球根よ 魂にさあ根を増やして 咲け...花”
この凄まじい表現力はどうかっ!?
アニーは腰を痛め、ヒーセもエマも腕や膝の痛みを堪えている。それぞれが満身創痍で
臨んだファイナルだった。吉井は終盤、まさに気力だけで前へ前へとつんのめりそうに
なりながらステージを走っていた。体力の限界を超えていたのだろう。
“あの日僕らが信じたもの それはまぼろしじゃない ”
「SO YOUNG」はパンチドランカーツアーが生み出した名曲だ。
最後に流れるモノクロのメンバー達の姿!何でこんなに泣かせるのだろう。
渋谷陽一氏のインタヴューに答えていた吉井和哉の「バンドの理想像」は
あの時と今とでは、変わりはあるのだろうか。
今現在の、あなたの歌う「SO YOUNG」を聴きたい。
復活したその時に「SO YOUNG」を聴かせてくれますか?
「踏絵」とさえ表現したこの曲をその時メンバーはどう演奏し、どう歌うのだろうか。
それをとても知りたいと思う。

何度も何度も繰り返し繰り返し、私は希望の言葉を書き綴っている。
イエローモンキーが活動を停止してから私の身体には黒い穴が空いてしまった。
その穴から絶えず砂が零れ落ちて行くような気がするから、私はそれに対抗するように
急き立てられるように彼らへの愛の言葉を書き続けている。
陳腐で痛々しい言葉たちで。
行き場の無い言葉たちは、どこまで積み重なって行くのだろう。




エディー&ザ・クルーザー ズ - 2003年03月05日(水)

CSで「エディー&ザ・クルーザー ズ」という映画を見た。
60年代、若者達に熱狂的な人気を博したエディー&ザ・クルーザー ズというロックバンドがあった。
そのカリスマヴォーカリスト、エディは2枚目のアルバムレコーディング直後、車ごと橋から転落して
亡くなった。それから十数年後、彼らの曲がリバイバルヒットした事で、
未発表の曲を巡って、“詩人”と呼ばれた男の旅が始まった。
マイケル・パレ扮するエディのライブのシーンが凄く良い。
「エディー&ザ・クルーザー ズ」は映画の中だけの存在だと判っているのに、
彼らのライブを存分に観たいと思って仕舞う。
問題の曲は「地獄の季節」という題名なのだけれど、これが凄くイイんだ。全曲きちんと聴きたかった。
途中、詩人がキーボードを弾きながらたどたどしく自作の曲をバンドのメンバーに聞かせる場面が
あるのだけれど、殆どが駄作とこき下ろす中で、エディだけがその原石の煌きを見つけて
曲をつけて歌いだす。そうしてサックスが1フレーズを奏で、ベース、ドラム、ギターと
次第に音楽が作られていく場面がとても心に響いた。
エディが“詩人”と仲たがいをした時、自分の人差し指の上に中指を乗せて、
『詞と音楽が必要だ。』と叫ぶシーンで、イエローモンキーというバンドの関係の事を
思わずにはいられなかった。
映画では、“詩人”が遂に見つけ出したテープはメディアに取り上げられ、
時を越えて再び若い世代の爆発的な支持を受ける。街頭テレビでその映像を見ていたのは
死んだ筈のエディだというラストだった。
絶対的な自信を持って作った音楽を、レコード会社側に商業的な価値だけで否定され、決裂し、
自分を消すという選択にまで追い詰められてしまった彼・・・年月が過ぎて、自分の音楽が
大衆に喝采を受けるのを見て、どう感じたのだろう。
「自分は早すぎた。」と思うのだろうか。それとも「何故、続けなかったんだろう。」と思うのだろうか。

昨日出た、ヒーセのアルバムをまた聴いている。
「ならず者アイムソーリー」は過去を懐かしんでいるだけの曲じゃあないよね。
手放せない大事なものを慈しんで、そうして未来へ歩いて行こうとする者への歌だよね。
私はそう受け取った。
ヒーセのソロは今始まったばかり。吉井和哉のソロはまだ実態も掴めない。
だけど、メンバー皆の“今”はきっと“未来”に繋がっている。
伝説のバンド・・・そんなものにならなくて良い。
THE YELLOW MONKEYは今も続いている!




「OBSTINATE ROCKAHOLIC」 - 2003年03月04日(火)

HEESEY WITH DUDESのデヴューアルバム「OBSTINATE ROCKAHOLIC」を聴いた。
1曲目の「SPIRIT FREE」の疾走感に一気にヒーセの奏でる世界に惹き込まれ、
3曲目「OLD CHILD」のパワフルさに昂められた。
「NAMELESS LOVER」は聴くほどにシングルらしい口ずさみ易い良い曲だと判った。
吉井和哉作詞の「ならず者アイムソーリー」は、涙が後から後から溢れて
歌詞カードの文字が読めなかった。自分がどれだけ吉井和哉の詞に渇えていたのかを
思い知らされた気がした。曲中に「無性に叫びたい」という歌詞が出て来るが、
私も無性に叫びたい。『吉井和哉よ、あなたの詞と曲を歌を私は聴きたい!』
聞き分けが無くてゴメンなさい。でもヒーセの曲を聴いたら、ずっと我慢して来たタガが
外れて仕舞ったみたいだ。
ヒーセは、本当にこんな事を言ったら申し訳ないけれど、こんなに詞も曲も書けるとは
正直思っていなかった。「Camden Town」はとっても楽しいし、
「カリスマ (Strongman Is Cryin')」の力強さ、厳しさは痺れるくらいに格好良かった。
「ベイサイドメランコリー」の切ないけれど何故か暖っかい安らぎに癒されもした。
発売前にどこかの雑誌インタヴューで、「見事に時代のニーズに合わない。」とか言われていて、
少し心配してた。でも蓋を開けたら全然そんな事無い!
とにかく全編、もの凄く音が身体に馴染んで来る。懐かしさを覚えた。
ビシバシ腰に響くサウンドが心を震え立たせてくれた。
私はこういうロックが好きなんだ。それでイイ。って肩を叩いて貰えたような、そんな気がした。
興奮して、泣かされて、癒されて、そして最後にはまた歩き出す元気を貰えたような
私にとって、とても大切なアルバムになりました。
ヒーセ、ありがとう!!!





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