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イリュージョン Part 2
「人間が学校というフェンスを出ると、そこは、ドラゴンワールド(現実の、悪意に充ちた世界)なわけだ。地球上には三十億だか、四十億だかの人間がいて、おまえはその三十億プラス一の余り者にすぎない、おまえのことなんか誰も関心を持っていやしない、生きていようと死のうと、こっちの知ったことか、みたいな扱いを受けることになる。ある人間がだめになるというは、そういうことだんだよ。 どうやってそれに対抗するかといったら、やっぱり自分の歌をうたい続けることだと思うね。うるせえ、おまえのその変な歌をやめねえと張り倒すぞ』かなんか言われて、それでだめになっちゃうことだってあるけど、張り倒されても、まだ歌い続けることだ。 もちろん、ドラゴン・ワールドにあっては、、明日の飯代をどうしよう、今日の部屋代をどうしようなんていうわずらいもある。それはしょうがないから、思いわずらい、駆けずり回りながらでも、自分の歌だけはうたい続けるわけだ。」
【イリュージョン/リチャード・バック/村上龍・訳/集英社文庫】
イリュージョン Part 1
「人が本当に愛するものを見つけるのはとても大変なことで、それが全て、要するに人生の中心だと思うのね。一生かかっても、ついにそれが見つからない人も多いと思うんだよ。だけど、ドアが閉まっていても、いつかは絶対に自分の好きなものが見つけられると、そういうふうに導かれていると信じることだね。だいたいは、どこもかしこも閉まっていると、絶望的になっちゃうんだよ。そこへ入る、またドアが全部閉まっている。必死になって叩くと、またひとつだけドアが開く。そいういうところをひとつずつ通過しているうちに、いつか、ものすごい光が自分の中に出てくるはずなんだよ」
【イリュージョン/リチャード・バック/村上龍・訳/集英社文庫】
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