便蛇民の裏庭
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修学旅行から息子が帰ってきたので
元相方に連れられて一緒に病院へ行った
ベッドに横たわるおばあちゃんは とっても小さかった
「おばあちゃん、きたよ」
手を握った
その手は小さくて細くて
ぼくを育っててくれた大きな手だと思っていたのに
胸がいっぱいになって涙が出た
娘がおばあちゃんの手を握る
「・・・」
泣いている娘
「もう意識ないの?」
おばあちゃんの反応はない
人工呼吸器がおばあちゃんを動かしているだけ
息子が手を握る
息子はなにやらおばあちゃんにとも
独り言ともつかないことをつぶやく
おばあちゃんの頭をそっと撫でた
小さいころよくそうしてくれた様に
「ばあちゃん、またあおうね」
そういって病室を後にした
地元に戻ると
北海道神宮のお祭が始まっていた
4人でお参りをしておみくじをひいた
屋台で食べ物を買って
少しお祭の雰囲気を味わった
みんなで食べた東京ケーキは
懐かしい味がした
もう92歳の祖母の危篤の連絡がはいった
先日いとこの元夫が白骨遺体で発見され
そのいとこのお父さんが死後二日経って発見され
いとこのおばさんは今パニック状態
今度は一緒に暮らしてたおばあちゃんが危篤だ
生後7ヶ月からぼくを引き取って育ててくれたおばあちゃん
3回もぼっとん便所に下半身落とされた
虹ははじまで行けば上れるとか
王子製紙の煙突は雲製造機だから 行けば雲に乗れるとか
そんな嘘をおしえてくれたり
正月誕生日でケーキないから かわいそうだからって
焼いた餅に仏壇のロウソクさして 八墓村な思い出作ってくれたり
山菜採りやキノコ採りおしえてくれたり
山で遊んでたら熊の子に出くわして 素早くぼくをかついで 疾風のごとく山を駆け下りたり
煙の吹き上がった重たい古いテレビを 勢いよく外に放り投げたり
そんな大好きな大切なおばあちゃん
いまからあいにいくからね 待っててね
ちゃんと見送るから だからまっててね
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