ガトーショコラは苦いくらいが丁度いい?

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2008年01月12日(土)  リアルフィクション91.


いつものカフェを出ると雨が降っていた。
あたしは雨を避けるためにダウンのフードをかぶる。
君と手をつないで小さく走った。


カフェを出て三歩歩いてキス。
手をつないで歩くなんてめったにないから。
あたしは嬉しくて頬が緩む。
だけどそれをフードで隠す。

小さく走る足音は二つ。
こつこつとぱたぱたと。
笑いながら走っちゃって。
本当にあたしたちってなんておかしいんだろう。なんてね。



仕事帰りに来た君は職場の匂いがした。
驚きを隠せずあたしの隣に座った。
そしてそのままあたしの左手をこっそり握る。

あたしはいつだってキスがしたいのを抑えるのに必死。
君の唇が動くたびにあたしはどきどきしちゃうんだ。



「ここまできてくれるなんてさ、感動したよ」
と君は息を吐きながら言う。とてもうれしそうに。


「違うよ。あのカフェに行きたかったからここに来ただけ」


君は、にやりと笑う。あたしの思想なんて完全に見抜いたかのように。
そのまま抱きしめた。街中で。

そして耳元で囁く。

「そんな可愛くない君が大好きだよ」


にっこりとあたしは笑う。
そしていつものように答える。





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