イレコミ音楽
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2002年07月10日(水) 『ごあいさつ』高田渡

『ごあいさつ』高田渡 1971


 ベルウッド復刻盤のレコード『ごあいさつ』『系図』『石』の3枚をまとめ買いして聞いていたのは高校生の頃でした。“高田渡”さんの歌は聞けば聞く程、興味をそそられ、自然にその独特な世界へ引き込まれていくのです。

 レコードを手放してからほぼ15年。やっと『ごあいさつ』のアルバムを手に入れて、聞きなおしてみると・・当時見えてないものが見えてきて、再び感動を覚えました。やっぱ、いいわ。

 中でもとりわけ『ごあいさつ』は印象的な一枚です。ジャケットのイラストレーションの表=バナナ、裏=きゅうり、それだけでも変わってるな〜と思ったら、テリー・ジョンソン氏(湯村輝彦さん)の作品ということで納得してしまうのですよネ。左上に小さく鞍馬天狗の図が描かれてるトコなんかもたまりまっせーん。

 アルバムの内容は言う事なしの盛り沢山です。構成&編曲“早川義夫”さんということで、たいくつになりがちなムードを構成で面白くさせているように思われました。そして、高田渡さんのオリジナル曲はもちろん、その他現代詩の詩人の作品に曲つけて歌われていることも奥深いのです。谷川俊太郎、有馬敲、山之口貘、吉野弘、演歌師・沼田亜蝉法・・・など、歌詞(詩)を楽しめます。

 演奏は4曲だけ“はっぴいえんど”がバックをつとめられてます。その他に“中川イサト”“加川良”“遠藤賢司”さんまでコーラスで参加されており、そういうところも盛り沢山なのです。ギターだけで歌うフォーク・ブルースあり、ロック・ブルースあり、幅のある仕上がりになっとりますです、ハイ!

 なので、曲の感じもとても面白くて、例えば・・・
人生の縮図を垣間見る「年輪・歯車」「結婚」「ブルース」
人生を思ってしまう唄「生活の柄」「しらみの旅」
心理の情景、気まずい「夕焼け」
素朴な皮肉で面白い唄「値上げ」「鮪に鰯」
社会的な観点で楽しい「銭がなけりゃ」
素朴でかわいい曲・・「アイスクリーム」「自転車にのって」「珈琲不演唱」

 どれもこれも名曲揃い・・・。「生活の柄」にうなりながら、「銭が無けりゃ」を楽しく口ずさみ、「自転車にのって」でホノボノしてしまう。

 そしてCDアルバムには、ボーナストラックとして「自転車にのって<ファンキーヴァ−ジョン>」が入っているのですが、間奏のところで高田さんが「茂ちゃんがんばって!」とリードギター鈴木茂さんを応援してたりするんですよね♪これには思わず微笑んでしまいました。

 この方に関しては並々ならぬ思い入れがあるので、また書きたいと思います。あ、そうそう、昨年だったか?「あぁめんどうだ、蚊とりマットの〜♪とりかえが面倒だ、風呂に入るのも面倒だ、生きていくのも面倒だ、しかし死ぬのも面倒だ〜あぁ面倒だ〜♪」と歌ってたあの方こそ、“高田渡”さんなのでした。


〈参考アルバム〉
高田渡『ごあいさつ』KICS-8810 1971
高田渡『系図』SKM-7023 1972
高田渡『石』KICS-8819 1973






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