はねごころ。
はねひと



 走ることしか出来なくて。

今日も私立の入試。


『それではお疲れ様でした』

その声を朝からずっと待っていた。


誰よりも早く教室から出て急ぎ足。

人ごみの中校内をぬけて走り出す。


学校に来ているはずのカレに会うために。


今ここでの5分が後の10分になる。

そう考えただけで走らずにはいられなかった。


カレの明日の試験を励ましたかった。
カレに『お疲れ』って言って欲しかった。

そうじゃない。

ただカレに会いたかった。
ただただひたすらカレに会いたかった。

やっと学校の駅につく。

改札を抜けてまた走り出す。

もう少しでカレに会えるかも知れない。

いつもの道を通って学校に向かう。

16:50

いつもならまだ教室にカレが残っている時間。

階段を駆け上がって教室のある4階へ。

息を整える。

走ってきたのがばれないように。

最後の曲がり角。

やっとカレに会える。

ずっとこの時を待っていた。

会いたくて会いたくて。

教室のドアを開ける。





誰もいなかった。


残酷なほどの空虚さだけがオイラを待っていた。

やがて
スピーカーから下校の音楽が流れ出す。


悲しいメロディーとオイラだけが教室にいた。


■今日の体重 69キロ


2002年02月08日(金)
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