a Day in Our Life
『千秋楽、お疲れさん』 電話の向こうのストレートな声に、一瞬照れて、返事に困った。耳に当てた携帯を持ち直して、出来るだけ冷静を装う。 「それだけで電話してきたの?」 『そうやで。おーちゃん泣いてるんちゃうか思って』 泣いたよ、悪かったな。内心毒づいてみたり。 「おーちゃんとか言うなよ」 『あれ、照れてるん?』 「…」 『あー嘘、嘘やって。茶化そう思って電話したんちゃうんよ。たぶん大野くんは、間違いなく泣いてるやろなー思って』 含み笑いみたいな、優しい声。電波を通したヒナの声は、普段聞くより少し低くて、少し舌ったらずで、少し掠れてた。今日は仕事だったのかな、今どこにいるんだろ。どうでもいいことを考えた。 「ヒナも泣き虫だもんね」 『…俺のことはエエねん』 慌てたような声になった。心なしやや早口になる。ヒナは分かり易い。 『大野くん』 「ん?」 『お疲れさん』 「…ん」 『今日はゆっくり休みや』 「うん」 じゃあね、って電話を切った。たったそれだけで、高ぶった気持ちが鎮まった。今夜は眠れないだろうと思ってたのに、緩やかに眠気が襲う。
「ありがと、ヒナ」
きっときみの夢は、見ないだろうけど。
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戦国風千秋楽に書いた(なぜか)大雛。 大雛と大ちゃんには結構、夢見てますよわたし。(大いばり)
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