a Day in Our Life
2002年09月20日(金) |
恋と花火と観覧車。(翼雛SSS) |
「観覧車に乗りたい」
そんなことを言い出した目の前の男はいま、眼下に広がるネオンの海を見るのに必死だ。 「うわあ〜めちゃ綺麗やで。こんなん大阪じゃ見られへんわ」 目の保養と心の洗濯やね、なんて呟く。その物言いがまるでオッサンみたいだなんて思ってたら、何笑ってるんって軽く睨まれた。 「どうせアホみたいやって思ってるんやろ」 「そんなことないけど」 「けど、やって。その後に含んだ言葉が怖いわ」 言ってヒナは笑った。笑うとトレードマークの八重歯が覗いて、彼を年相応に戻した。 「別になにもないけどね。ただ」 観覧車に乗りたいんだって。そりゃあ言う相手を考えたんだろうっていうのは分かるけど。でもなんで俺だったのかなって思うわけ。 「俺は滝沢みたいに優しくないしさ。アイツの方がよかったんじゃないの」 言うとヒナはまた少し笑った。 「やけど翼くん、結局こうやって付き合うてくれてるやん」 表情の読めない笑顔。ヒナは手強い。その笑顔に騙されて甘い顔をしたら終わりだ。 「ま、たまにはいいかなと思ってね」
ぼそりと言うとヒナは嬉しそうに笑った。
■■■駆け引き。
発掘系つヒナ。ヒナに冷たい人は好きです。翼は適度にヒナに冷たくしてくれそうかな、とそんな夢です。
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