2004年11月14日(日) |
『ただ゙、その手を』(ヨコヒナ) |
手を、繋ぎたいって、思った。
ロケ帰りに、ただ真暗な場所を二人で歩いていた。集合場所まで結構な距離があったため。話すこともなくなって。二人で無言のまま、ただ月夜を歩いていた。閉店を過ぎた場所ばかりだったので。店の明かりも人工的な明かりはほんの少ししかなく。あとは、月の光だけがたよりの、空間。 通り過ぎる人もなく。目の前を歩く人影もなく。しん、と静まりかえっていて。まるで、この場所には、2人だけしかいないような錯覚を感じる。 昼間の、子供やカップルで賑わったとことはまるで別のようで。寂しいと、思う。
でも。 たった2人だけの空間。 隣の温もりだけを、感じる。
気づいたら、手を、ぎゅっと握っていた。
「ヨコ?」 村上の、呼びかけにも答えることは出来ず。ただ、真っ直ぐに前を向いて歩いた。手は、握り締めたまま。
どうしたのか、なんて聞きたいかのような、村上の視線を感じるけれど。どうしたのかなんて、自分でも聞きたいくらいだった。
ただ、この暗闇のなかなら。 手を繋いでいても。誰にも見られることもないって。 帰り道。数分だけど。昼間にみかけたカップルのような、幸せそうな笑みを。させられるんじゃないかって、思った。
だから、手を繋ぎたいって、思っただけで。 何を、どうして?なんて聞かれても、困るから。 ただ無言で、暗闇のなかを、歩いていた。
繋いだ手が、ぎゅっと握られて。村上の顔を見たら。 嬉しそうに、笑っていて。 その笑顔は、昼間見たどのカップルのよりも、幸せそうに見えるのは。うぬぼれなんだろうか?
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