妄想日記 

2004年03月02日(火) 『雛祭(内ヒナ)』

「ケーキ食べへん?」
ニッコリ笑顔なプリンスに、よく考えずに頷くと。内は嬉しそうに笑ったあと。小さな、箱を取り出した。
「俺に?」
聞くと、嬉しそうにコクンと頷くから。ありがとぉって答えて、受け取った。
中開けると、お決まりのショートケーキ。生クリームの上に赤い苺が乗ってるもので。
そして、その横には、小さな人形の形した、砂糖菓子。

着物と思われる恰好をした、髪の長い女の子のような、人形。


「お揃い」
言って、嬉しそうに自分の箱のなかを開けると。中には同じように着物を着た、男の子のような、人形。


「なんや、これ?」
「え?ヒナ祭のお祝いケーキです!」
「やから・・・なんで、これ?」


ヒナマツリといえば、女の子のお祝い。
華やかでかわいらしい人形を飾りながら、女の子をお祝いする日、のはず。
その、祝いのケーキを。何故、自分が持っているのだろう。嬉しそうに、渡されるのだろうか?

「ヒナ祭ですよ?」
「やから、わかってるって」
「わかってへんやん!ヒナ、祭ですよ?」
「やから、ヒナマツリやろ?」
「そうです!ヒナちゃんの、祭ですよ?」
「やから・・・・・」
わかってると答えようとして、ふと、気付いた。
内が、強調する部分。『ヒナ』という言葉。
あえて、ヒナ祭ではなく、ヒナちゃんの、祭だと言った理由。



ヒナというあだ名の、自分のお祝いだと。
内は、言いたいんか?



「はい!」
嬉しそうに、備え付けのプラスチックのフォークを差し出す姿は。かわいらしいけど。
そんなんで、ええのかと。ヒナマツリだからと自分のお祝いするために、嬉しそうにケーキを差し出すのは、ええのか?
かっこいい、2枚目で売ろうという内には、そういうとこはあかんちゃうか?
阿呆な部分、少しでも隠さなアカンやろ?




なんて思うけど。



「村上くん、あ〜ん」
なんて、ケーキを目の前に、嬉しそうに差し出す内は、本当にかわいくて。
恥ずかしいわ。なんて思いながら、誘われるがままに、口を大きく開けた。




口のなかに広がる、甘い香り。
まるで、今の自分を表してるようだって、苦笑い浮かべた。




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薫 [MAIL]

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