2003年09月28日(日) |
『キミと一緒に』(ヨコヒナ) |
「明日、迎えいくから」
なんて突然言われて、なんのことかわかんなくて?マークのまま首かしげてたら。USJに行くぞと言われた。 なんですか、それ。いきなりな話やなあなんて笑ったら、どーせヒマなんやろと返された。 そらまあ、オフでしす。特に予定入ってるわけやないし。 まあ、ええかなんて頷いた。
二人で出かけるなんて久しぶり。
「デートのお誘いですか?」 なんて言ったら。 「阿呆か」 呆れたように返された。
ま、そんな気ないのなんてわかってるけど。ただ単にUSJに行きたいだけなんだろうし。 同じようにオフだからってだけで僕を誘ったんだろうけど。
けど。 ほんの少しだけ、服を選ぶのに時間かかったり。 ほんの少しだけ、鏡見る時間長くなったり。
ほんの少しだけ、ドキドキしたりして。
着いた途端になにに乗るかでケンカしたり。 はぐれそうになって怒られたり。 乗り物乗るたびに驚く僕にヨコは呆れてたり。 並んでるときいつもとかわらない会話したり。 やっぱ、デートって感じやないよなあ。
なんて思ってたけど。
最後のショーが終って帰るとき。 すごかったなあなんて興奮気味に歩いてると、手をぎゅって掴まれた。
「はぐれるから」
なんてぶっきらぼうに呟いて、少し前を歩くヨコ。 はぐれるって、閉園近いからみんな帰るとこやし。方向同じやからはぐれることないんちゃう? なんて思ったけど。言ったらきっと照れ屋な彼のことだから離してしまう。この温もりが消えてしまうだろうから。 言葉のかわりに、離れないようにぎゅって握り返した。
入り口から少し遠めの駐車場まで、ずっと手を繋いだまま歩いている。 少し前を歩くヨコは無言で、僕も無言だったけど。 その空気が好きだなって思った。
「なんか、デートみたいやなぁ」 また、呟いてみる。阿呆ってまた言われるだろうなって思ったけど。
「みたい、じゃないやろ」
え?って聞き返すとなんでもないって切られてしまった。 だけど、確かに聞こえたヨコの言葉。
みたい、じゃないってことは。 デートだって、ことかな?
「デート、だったんですか?」 「知らんわ阿呆」
ちょっとだけ、怒ったように言い返されてしまった。 けど、ほんの少しだけ早歩きになったヨコ。
きっと真っ赤になってるだろう、ヨコの顔が見たくて。 負けないくらい早歩きして、隣に並んだ。
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