1999年08月01日(日) |
職員室・出会い(近藤→山根) |
クラス替えをして間もないとき 、俺はいつものように体育館裏で煙草を吸っていたら、誰かに見られた。 偶然そこに現れたんだろうけど、まさか人がくるとは思わなくて俺も驚いたけど見た相手も驚いていた。 何か言われるかもしれないと思って、相手を睨みつけたけどそのことには何も振れなかった。 だけど、何故か馬鹿にされてる気がした。 口では何も言わないけれど、俺を見る視線がそう見えた。 オトナぶってる自分を見透かされてるような、そんな気がした。 「オイ」 何か言わないと・・・・・そう思って声をかけたけど何も言えず立ちすくんでいたら、相手は無言のままその場を去っていった。
それが同じクラスの山根だっていうのはしばらくして気づいたことだけど。 山根の家庭の事情とかそんなのが耳に入ってきて、それが自分より苦労してるらしく。 だからかもしれないけど、クラスの誰よりもオトナに近い感じがした。 体格なんか自分より細くて、弱そうなのに。 自分が早くなりたいと思ってるオトナに自分より近づいてるのが、余計むかついた。 あのときの視線は、やっぱり馬鹿にしてたんじゃないかと感じて、そんな自分が嫌でしかたなかった。 腹いせに山根をいじめたりしたけど、結局この気持ちは消えることはなかった。 絶対にアイツには負けないと、思った。
だけどあの事件のときの山根は誰よりも強くて。 何も出来ないでいる自分なんかよりも全然強くて。 完璧な敗北感を感じた。
けれど、認めてしまったらスッキリしてしまった。 そして急激に自覚した思い。
なんであの視線が痛かったのか。 山根に負けたくないと感じたのか。
それは、自分にはない強さを持った山根に惹かれてたんだ。 憧れとはまた違った思いで、山根に惹かれてた。 だから、負けたくなかったんだ。 ずっと、出会ったときからあの視線に囚われてたんだ。
近くに感じる今は、あの視線をずっと感じたいと思った。 これからも、ずっと。 あの視線に囚われ続けたいと、思った。
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