それでもお話は続く?
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何話が好きですか?次のお話


2004年04月24日(土) 第一話 『王様』

王様は悩んでおりました。
隣国へ訪問した際聞いた人魚の唄が忘れられないのです。
物哀しい、美しい声。潤んだ瞳で海を恋う唄
彼女?は隣国の王が先頃攻め落とした国から連れ帰ったのだそうです。
「連れ帰ったというのではなく略奪というのだろう。」そう思いながらも若い王様は歌声に心奪われました。
隣国の王は前から気に入らない人ではありましたが、何しろ兵力においては勝てないことがわかっておりましたので同盟国として先代の王が友好関係を結んでからは逆らうことなく国交を保っておりました。
若い王様の国には珍しいものがたくさんありました。
まだまだこの国の国民は心が豊かな証なのでしょう。
「大変気に入られたようですなぁ・・・そうじゃ、あなたの国にはたまごから生まれたという三匹の猫がいましたなぁ」となんだか顔がゆがんでしまいそうなくらい気味の悪い笑顔で隣国の王は話し掛けてきました。
「ええ、二本足で歩き人語を解し今は王宮で働いてくれております。」
「では、いかがなものか物々交換といこうではないか。わしは常々、猫の家来を持ってみたいと思っておったのじゃ。」
「・・・・・・・・・」顔色を変えまいと努力はしましたが誰が見ても気づいたに違いありません。
「恐れながら王様、わが国の三匹の猫は国民のために働いておりまして、
いまいなくなってしまってはわが国の王も国民の不興を買ってしまいますので何かほかのものをご所望くださいませ。」
さすが年の功というべきでしょうか大臣が即座に答えてくれなければ隣国の王は何をしたかわかりません。何しろすでに怒りの形相で立ち上がりかけていたのですから。
「そうか、そうじゃな。では言い伝えにある三つの願いを叶えてくれるという花を所望しようかの。」
夜も眠れなくなりそうなほど気味の悪い笑顔でそう答えました。


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じつは同じジャンルの橘 睦月様・高月 佑様筆頭に書いていらっしゃいました46の台詞を読んでいて自分もやりたくなったというわけでw
皆さんがやっているのには参加できなかったので皆さんの30のお題が終わるのを待ちつつこちらのお題を追いかけたいと思いますw




『童話で15題』をお借りしてきました

01:配達人
02:烏と案山子
03:王様
04:盗まれた人
05:屋根裏
06:三匹の猫
07:カード
08:小人
09:箱舟
10:三つの願い
11:クジラ
12:一輪の花
13:贈り物
14:人魚の唄
15:たまご


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