ネコヤシキ日笑
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みんなでみかん(日向夏)をむいて、ひとふさずつにむいたり、ふさにわけずにナイフで切り分けたりして、ああするのがいいとか、これもいいとか、おいしいとか、かしましく食べていたら、そこに居た、はじめて会う若い人が、すごくおもしろそうに、たのしそうに、破顔というかんじで 、なんども笑った。
私は、かしましくみかんを食べる側に居て、その若い人がそんなふうに笑っているのを見て、じぶんがすごくおもしろくてたのしいことをしているような気がして、なんだかうれしくなった。
あとでわかったことに、その若い人は、いま調子をわるくして、入院するかどうかとかいっているかただそうで、とてもそうは思えないほど、安定して、しあわせそうに、その場に居らした。
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言おう言おうと何ヶ月も思っているひとことが言えずに(言わずに)、また今日も言えずに(言わずに)終わった。まだ機が熟していないのだろうか。言うときではないということなのかな。
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「出かけるのはいやじゃないけど、ひとりで宿の部屋に入るとき、ひどく耐え難い感じがして、それがもうとてもダメなの」とおっしゃるかたがいた。
私は、ひとり旅は、すっかりおなじみで、たいていはぜんぜん平気だけれど、ときどき、全身の奥のほうで泣いてしまうようなことが、ある。
夜道をひとりであるいて、ビジネスホテルの部屋にひとり帰るとき、奥のほうで泣くようなかんじが、した。
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