友達

私はあの人が優しいということを知っている
けれど
何故そう思っているのかよく判らない

皆に
あの人はとても冷たい人だ と言われて
私は自分でも驚くほど
必死に抵抗したんだ

けれど何故そんなにムキになったのか
よく判らない
そしてあの人が本当に優しいのかどうかも
実はよく判らない

私は何を根拠に
あの人を優しいと思っていたのだろう


いつものように友人達の会話を
ぼんやり聴いていた
誰かの悪口を言ったって
それが
知っているからこそならば とずっと思っていた
酷く不愉快で泣きたくなっても
ほんとうは大好きだからだと思っている

その頃になってやっと私は
友人達が私のことをどう思っていたのかを知った
そうだなあ
空気が読めない っていうのはかなり致命的


そういえばあの人は
口は凄く悪いけれど
誰かが傷つくようなことは言わなかった
頭が良いからなのだろうか

あの人にそう言ったら
所詮は受け止め方だから と笑われてしまった
あの人の
端々に見えたあの 気持ちは何だろう

私はそれを優しさと名付けた
それでもあの人は
私を憐れむような目で見たりはしなかった




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