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2007年12月08日(土) 『テイク・フライト』

相変わらず、ネタバレありです。
しかも今回は、東京公演終わったからいいやとばかりに、
エンディングまでばっちり書いてるので、
途中までも少々やばいですが、「でも、話のつくりは」以下は、
ネタバレ嫌な人は絶対、読まないようお願いします。


『テイク・フライト』

[場所]東京国際フォーラムC
[座席]1階6列4番
[時間]1幕85分、休憩15分、2幕60分
[出演]
 アメリア・エアハート:天海祐希、チャールズ・リンドバーグ:城田優
 ライト兄弟:池田成志、橋本じゅん、リリエンタール:ラサール石井
 パットナム:宮川浩、小市慢太郎、坂元健児、今 拓哉、花山佳子、
 杉村理加、治田 敦、岡田 誠、華城季帆、菅原さおり、本田育代
[脚本]ジョン・ワイドマン
[作曲]デイヴィッド・シャイヤ、[作詞]リチャード・モルトビー Jr.
[演出・振付・訳]宮本亜門
[訳詞]森雪之丞
[音楽監督・指揮]デイヴィッド・チャールズ・アベル


<感想>
好き嫌いがあるだろうなぁと思う。
私個人としては、一番最近観たから比較してしまうけれど、
『ウーマン・イン・ホワイト』よりもずっと好きだった。

すごーく出来がいいとは言わない。
音楽も演出も訳詞も、まだまだたくさん課題はある。
特に演出は、ありがちだけれど、正面からの効果しか
考えていないものが多いうえに(私は見えない場面、結構ありました)
多分、遠くから観ていると舞台のわずかな部分だけ使って
せせこましく演技しているように見える部分が多いと思う。
でも、ただ「空を飛びたいな」という人類普遍の想いに、
いろんな個人の事情を重ねて、どこかしらに共感させ、
最終的に、切ないけれど希望がある気持ちにさせてくれたのは、
今の私に、何だか幸せな気分を与えてくれて。


音楽重視するなら絶対、『WiW』。
『テイク・フライト』は、ソンドハイムを思い出す不協和音多用で、
きっと歌いこなすのも難しいのだろうと思う曲が多いうえ、
歌っている姿が目立つのが、成志さん&じゅんさんコンビと、
説明役として出てきているラサール石井さんなので、
音楽的に、うっとりできる聴き心地とは言いかねます。
ちなみにラサールさんの役は、最初のうちは、
出過ぎずいいかなと思っていたけれど、観終えた感想としては、
「きっと、いない方が話がすっきりする」でした(苦笑)

私は歌は重視しないので十分楽しんだけれど、それでも、
リンドバーグの先駆者たちが次々と命を落としていく姿を、
ブラックにコミカルタッチで描いていく場面、
今さんと坂健が何度か出てきてパーッと歌い上げたとたん、
「そういえば私、ミュージカル観てたんだっけ」と、
いきなり思い出して苦笑してしまったくらいだから、
歌重視派が満足できるのは、宮川浩さんくらいじゃないかな。
パットナムのソロからアメリアとのデュエットに続く曲が
1幕にあって、そのソロ部分が、音楽的には一番感動でした。
城田君も、華があって目立つ分、結構いけてる。
天海さんは好きだけれど、歌は思ったより得意じゃないのかな?
特に問題はないけれど、後一歩、もの足りない感じで。


でも、話のつくりは絶対こっちの方が好き。
時間軸が3つあって、それが交互に出てくる感じのつくりで、
しかもその中でも過去にトリップしたりして、飽きさせない。
ライト兄弟が、有人飛行の夢を追って砂漠で試行錯誤を重ね、
挫折しては、また戻る姿を、コミカルに素朴に描き、
リンドバーグが大西洋横断飛行に挑戦している最中を、
その飛行中、眠くなったときに現れる過去の幻影を交えつつ描き、
アメリアは、自分が操縦桿を握ってもいないのに、
女性初の大西洋横断飛行士として人気を博したことに疑問を感じ、
プロデューサーから夫となったパットナムと意見を戦わせたりしていく。
そして最後、アメリアは「最後の飛行にする」と夫と約束した
世界一周飛行の途中で消息を断ち、リンドバーグはパリに到着し、
ライト兄弟のグライダーは飛び立つするところで終幕。

観終わって外に出てきて、わずかに赤くなり始めた空を眺めながら、
「空って、やっぱり、飛べたら気持ちいいだろうな」と思った。
でも基本的に、絶対に人間には許されていないことで、
独りで飛ぼうと思ったら、それ相応の、相当の犠牲が必要で。

広告にあった、「アメリア・エアハートが、
夢と希望をかけて大空に飛び立つ、愛と勇気の物語!」を期待すると、
ものすごーーーく違うと思います。
ただ、理由は違えど「空を飛びたい」という思いを持った人たちの物語。
それを金儲けに利用されてしまって、これは違うと感じたアメリア、
空になら、ただ「独りで」いられることに自由を感じ、
苦難の果てながら、飛んでいることに幸せを感じている最中の
(過去以外は、全編通じて横断飛行中です)リンドバーグ、
ただ純粋に「飛べたらいいな」の段階の、ライト兄弟。

夢を見ること、叶えている最中、叶ってしまった後。
最後の方で、叶ってしまって犠牲を払ったアメリアが、
飛んでいる最中のリンドバーグに、
「ずっと飛び続けて」と言う場面がありました。
それはきっと理想の状態なんだろうけれど、不可能。

いろんな夢があって、叶ったり叶わなかったりするけれど、
やっぱり、夢を見る幸せって、素敵なものだなぁと。
不安定な曲調が多い舞台だというのに、そんな気持ちを、
最終的に、切ないけれど爽やかな幕切れと感じたのは、
本当に素朴なライト兄弟を幸せに観ていたからなのかな?
何となく、そんな気になっていました。



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