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2006年05月22日(月) 『Into the Woods』

「歌いこなせているソンドハイムの曲」は、すごく好きなので、
初演時にキャスト見て悩みつつもチケットを取ったのですが、
結局、諸事情で空席にしてしまったうえ、リベンジもならず。
再演と聞いて、もう絶対観るぞ!と決めていたので、
腹痛抱えたまま、カイロと薬握り締めて観てきました。


『Into the Woods』

<時間>1幕:19:00〜20:40、2幕21:00〜21:15
<場所>新国立中劇場17列58番(7列目上手サブセンター)
<作詞・作曲>スティーブン・ソンドハイム
<演出・振付>宮本亜門
<出演>
 ナレーター&謎の男:鈴木慎平、魔女:諏訪マリー、
 パン屋:小堺一機、パン屋の妻:高畑淳子、
 シンデレラ:シルビア・グラブ、赤ずきんちゃん:宮本せいら、
 ジャック:矢崎広、ジャックの母:天地総子、
 シンデレラの王子&狼:藤本隆宏、ラプンツェル:早川久美子、
 ラプンツェルの王子&御者:広田勇二、執事:大森博史、
 シンデレラの母&巨人&おばあちゃん:荒井洸子、
 シンデレラの継母:藤田淑子、シンデレラの父:二瓶鮫一、
 フロリンダ:花山佳子、ルシンダ:鈴木純子、
 眠れる森の美女&ミルキーホワイト:飯野めぐみ、
 白雪姫&牛:山田麻由


諏訪さんと高畑さんがすごかったかな。
翻訳した時点で、歌詞をセリフとして読んだ時の高低に
沿った音楽ではなくなっているだろうと思うのですが、
それなのに、まさにセリフのように歌を語っていた。
他の人に関しては、やっぱり「歌える」人の方が、
ソンドハイムは苦手なんじゃないかなという気がします。
今回、経歴を見てみたら、歌畑の人、少なかったですが。

幕が開くと舞台は3つに区切られていて、下手から
シンデレラの話、パン屋(と赤ずきんちゃん)の話、
ジャックの話が、それぞれに進む感じなんだけれど、
その一番最初のソロがシルビア@シンデレラさん。
これが、まだ音程に引きずられている感じの歌でした。
結構ショックでした。彼女を最初にすごいと思ったのが、
『カンパニー』だから、もっといけると思っていたのに。

逆に意外だったのが、巧くこなしたパン屋夫婦の後に
上手側で歌いだしたジャックでした。私にとっては
「知らない男の子」だから、全く期待してなかったのが、
声はロクに出てないけれど、曲は自分のものにしていて。
今回は、ちょっと抜けている男の子の役で、それが、
地で情けないのかどうか、よく読めなかったけれど、
他の演技でも結構いけるんじゃないかと期待してみたりも。

さらに読めなかったのは、赤ずきんちゃん。
現代っ子の役で、このうざさが素なのかどうか読めない。
キンキン歌っていて、ものすごく歌詞が聞こえる曲と、
努力しないと何言ってるのか分からない曲とが極端だし。
その不安定さが赤ずきん、ってことでよかったのかな?
「全然ダメだった」と切って捨てたいような気分と、
「実は意外によかったのかも」という気分と半々。

どうしても私は、ソンドハイム作品を観ると、
内容よりもまず、音楽が気持ち悪く感じられないぐらいに
歌いこなせているかどうかを考えてしまうのですが、
逆にそういう点については、大きなソロ曲がなくって、
掛け合いとかばかりの人の方がこなしやすいのかも?
音楽を一切気にせず一番楽しめたのは、2人の王子でした。

ムダに美しくジュテしたり、マント翻し回ってみたり、
下手すると「ははん♪」とか言いそうな王子たちが、
ものすごく勝手な理想の姫像を語っては探し求め、
夢と欲望のままに、美しく幻想を生きていて、バカ。
特に藤本王子は、何考えて生きてるんだと、捕まえて
頭の中開いてみたくなるような童話のバカ王子っぷりが
見事すぎて、『エリザベート』でついたマイナスの
イメージを補って余りありましたね。ドはまり役かも(笑)
でも今後「王子」人種に対して、生温かく見ちゃって、
素直にキャ〜♪できなくなりそうなのは、ちょっと不安。

全体的には、後もう一歩!と思うところが、
ちょこちょこあったけれど、開いてまだちょっとだし、
観客の方もこなれて笑いが増えてくると面白くなるかも。
長めなのはちょっと難だけれど、客席を使う演出も多いし、
ロビーに流れる鳥のさえずり声や、「狼が来るぞー」的な
開演前のご挨拶など、こっちの体調とやる気さえ整えば、
もっと素直に入り込める舞台のはずだと思うし。
公演期間後の方で、もう一度観るべき?

・・・で、多分、テーマもしっかりある作品なんだろうけど、
それは全く分からなかったのは、いいのかなぁ?
「何事も、独善的に決めちゃいけないよ。あなたの周りには
誰かがいて、必ず何かしら影響があるんだからね」なの?
実際、とんでもないことになった話ではあるけれど(苦笑)



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