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2005年06月28日(火) 『風を結んで』

いきなり思い立って、舞台観てきました。
いや、行きたいなぁとは思っていた舞台だけれど、
最近、チケット取りをマジメにやらなくなったので、
手帳に上演期間を書いただけで放置してあって。

普段なら、出不精の固まりの私の場合、
前売りを買ってないとまず行かないのですが、
今月は観劇数少ないし、綜馬さんに会いたいなと。
評判は全く聞いていなかったのですが、とにかく
ふらっと行ってみてダメなら帰ればいいやと、
出かけてみて、買えたので観てきました。

本当は、こういうことができる観劇が好きだなぁ。
半年前から頑張って取らないと観られないんじゃ、
いつまでたっても観劇ってマニアだけのものだよ。
「今日、何か観たいな〜。あ、これやってるわ」
って、そんな観劇ライフは日本では無理かなぁ。

以下、しっかりネタバレつきの感想です。
観る予定のある人はできれば読まずに行って、
そして私の疑問に答えてほしいなと思います。


『風を結んで』

場所:サンシャイン劇場8列5番(サブセンター)
時間:19:00〜20:05、20:20〜21:45
脚本:大谷美智浩、演出・振り付け:謝珠栄
出演:
 片山平吾:坂本健児、加納弥助:川本昭彦
 田島郡兵衛:畠中洋、
 捨吉:鈴木綜馬、轟由希子:絵麻緒ゆう
 橘右近:今拓哉、橘静江:風花舞
 斉藤小弥太:幸村吉也、新畑伝四郎:平野亙
 栗山大輔:福永吉祥、佐々木誠一郎:武智健二

劇団のオリジナル作品にはよくあることだけど、
語りすぎの脚本で、バランスを崩している感じ。
幕末〜明治の頭という時代に生きて、しかし、
歴史に名を残すことのなかった人たちに焦点を当てた、
というからには、本来なら群像劇だと思うんですが、
最後になって綜馬さん(その時点では「捨吉」ではなく、
本名ですが名前をド忘れ。○○ゲキといったかなぁ(^^;
栗山大輔の本名は、実在の人なので分かったのですが)
に過去をソロで語らせたり、いいかげん聞き飽きた、
坂健の熱い語りをデュエットさせたりという感じで。

群兵衛&弥助のその後を語った後だって言うのに、
既にエピローグに入っているというのに、今更、何?
坂健がほぼ主役だから、センターでまとめるのは
いいと思うけれど、最後くらい、それぞれの人たちが
それぞれの場所で歌う声が重なっていくハーモニーで
「いろんな生き方をした人々がいた時代」を、
見せてほしかったなぁと思うのですが。
いや、もともと群像劇なんかじゃなくって、
右近さんや小弥太みたいな生き方は負け組、
扱いする舞台というなら、話は別なのですが。

役者さんはよかったと思います。
特に、観に行った目的の綜馬さん。前半では、
つかみどころのない軽く怪しい、お嬢様の従者。
なのに、ストーリーテラーとして現れる時の雰囲気といい、
絶対こいつ、ただものじゃないと思わせられてるから、
佐々木が、実はある男を捜すために、一芝居うって
この劇団に入ったのだと話し始めた時点で、
「あっ!」と、過去のすべてがつながる。

分かってからの一挙手一投足は泣けるんです〜。
あんな過去を背負った男なんだと思うと・・・。
あ、でも、そうか。もしかして、本来の脚本では、あの場で
「捨吉のことだ!」と分かることは意図していないとか?
分かっていなければ、最後の綜馬@何とかゲキのソロは
どんでん返しで、今更な感じなんて全くなく、泣ける?
それでも構成としては変だと思うし、全て言葉で語るより
見せて理解させた方が、うんと面白いと思うのですが。
あの場で分からなかった人がいるのかどうか、
ちょっと、それが知りたいかもしれないです。

あと良かったのは、畠中@群兵衛さんと、川本@弥助。
平吾と3人での、道場のへたれトリオが、可愛かったな。
畠中さん好き〜。卑怯なまでに笑いを取っていくのに、
最後はきちんと泣かせどころも〆ていくのがずるいし。
3人中、ちょっと目上だけど2人を翻弄するダメダメっぷり。
それに対して弥助は、結構マジメに反応してくれちゃう。
坂健も、群兵衛さんに振り回されてる時は自然な演技だし
「大道芸人に二言はない!」とか、マジで笑った場面も
結構多かったし、2枚目半〜3枚目ぐらいキャラで
笑い取ってる方が断然上手だと思うのですが。
シリアスは・・・、どの舞台でも、イマイチうざいかも。

今@右近は、おいしい役。
腰の位置が高いせいか、殺陣は、道場一番とか、
由希子が一目惚れして劇団に絶対入れようとか
思うほどのものには見えなかったのが残念ですが、
旗本の長男として他の生き方のできない男というのは、
今さんの堅さに似合って、とてもよかったと思う。
藍の着物も似合って、ビジュアル的にめちゃ好みだし。
この兄が、剣も家屋敷も売れずに金に困っていたら、
身売りしますと自ら言い出す妹も、分かる気がしたり。
しかし、この、ありえないほど武家娘の静江さん、
救ってくれた男に惹かれる状況は分かるけれど、
平吾と幸せになれるとは思えないんだけどなぁ(^^;

今、読み返して気がついたけれど、
そういえばタイトルって「風を結んで」なんですね。
「草を結んで約束すれば、大願成就すると言うけれど、
望みが大きければ、風でも結ばなきゃ間に合わない」
みたいな歌詞が、確かに何度もあったと思うけれど、
あれ・・・?もしかして、それくらい大きな望みを持って
生きてない人は、お門違い?やっぱり右近たちは脇?
いろんな生き方自体がテーマだと思ったのは、私だけ?
いや、武士道に殉じるのも、西郷殿に命預けるのも、
大きな望みと言えなくもないのかなぁ・・・。



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