検索HPなどから飛んでこられた方へ。このページは最新です。
お手数ですが目的のものは、日付を確認の上、BNリストからお探しください。
今日の私
BNリスト|昨日|明日
『エリザベート』で気になったパク・トンハさん。 その歌や踊りよりも表現力が気になったので、 次はストレートで観てみたいと思っていたのですが、 日本語の発音が不安で、あと一歩手が出せず。 得チケが出たので安いならと申し込んだのですが、 当日引き取ってみたら、最前列どセンター!(^^; 手を伸ばせば届く階段で役者さんが演技するし、 そんな席で観たいんじゃないんだよぉぉと 焦り泣きつつの観劇となりました。
『歩兵の本領』 全1幕:だいたい19:00〜21:40 紀伊国屋サザンシアター、1列12番 原作:浅田次郎 脚本:和田憲明、演出:杉田成道 出演:窪塚俊介、高橋一生、森本亮治、水川あさみ、 花王おさむ、こぐれ修、武田義晴、友部康志、鈴木省吾、 橋爪遼、荻野貴匡、パク・トンハ、的場浩司
観終わってみて、一番の衝撃だったのが、 開幕直後のパクさんによる ♪君が代 独唱でした。 ほぼ完璧な言葉での見事な歌だったし、彼が何者か 知らない人にとっては何の問題もないのかもだから、 演出に対して文句を言うのは筋違いかもしれませんが。
でも、現実に、主筋にほとんど絡まない役柄の彼が 独唱するのは、観終えても話的に違和感のあることで、 「韓国人が君が代を歌う」というインパクトだけを 狙われたとしか思えない自分に、困ってしまいました。 ものすごく堂々と誇りを持って、かつ丁寧に美しく 歌って下さっていただけに、居心地悪かったのです。 途中での、♪歩兵の本領を口ずさんで通り過ぎる 場面×数回は、そこまでの違和感はなかったけれど、 それでも不思議な使われ方だった気がしたし、 なぜ出演者に選ばれたのかなぁと、少し疑問。
本体部分は、「自衛隊もの」と聞いて身構えていた分、 悪い意味ではなく、大きく肩透かしされた感じでした。 日本の戦争に関しての思いで複雑な気分になったのは、 オープニング他の、ほんのわずかな部分だけで、 基本的に作者の感傷に感情移入する作品という印象。
後でパンフレットを読んだら、作者の言葉の中に、 「自叙伝はそうなりがちだから好きじゃないけれど、 これは珍しく自叙伝的部分の強い作品だ」とあって、 とても納得させられました。「自衛隊もの」といっても、 今の自衛隊とは多分ものすごく違う状態なのだろうし、 およそ、想像していた社会派の作品ではなく、素直に 泣き笑いして、何も残さず終わっていい作品かも。 そういえばRUP制作だし、先に気づくべきだった。
そういう意味で言えば、大きく肩透かしでしたが、 でも、物語として普通に面白かったです。 人物描写がしっかりしていて、個々がとても魅力的で。 特に的場さんの存在感が舞台を引き締めていたと思う。 花王おさむさんも、途中から話は読めるけれど泣けた。
落ちこぼれが1人いると、1個小隊が全滅するから、 突出した1人を作るより落ちこぼれを作らない。 どんな理由があろうと、落ちこぼれを作らないよう 努力してくれるなんて親切な世界は、今どきレア。 「汗と油と煙(だっけ?)の臭いだけで構成された 単純な世界」が居心地いいのも、分かる気もする。 人間が単純化されて幸せな世界なんだなと、 そこを愛しつつも出てくることを選択した人間の 思いに、何となく共感しながら劇場を後にしました。
|