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(実際に観たのは5/9ですが、その日は先に 『新選組!』の感想を長々と書いてしまったので、 こちらの方に移動させてもらいました。)
<座席>明治座5列24番 <脚本>鈴木聡、<演出>ラサール石井 <幕>1幕:65分(30)2幕:70分(25)3幕:65分 <出演> 土方歳三:上川隆也、 近藤勇:風間杜夫、沖田総司:葛山信吾、 山南敬助:羽場裕一、井上源三郎:渡辺哲、 原田左之助:山内圭哉、藤堂平助:京晋佑、 七里研之助:塩野谷正幸、お雪:富田靖子
木村靖司、新納敏正、朝倉伸二、若杉宏二、築出静夫、 平良政幸、鈴木省吾、江端英久、平野くんじ、市川楓人、 唐橋充、西村仁、森山栄治、林洋平 弘中麻紀、風間水希、斉藤レイ、井関佳子、日高恵、 東虎之丞、幸野友之、山根祐夫、甲斐浩、鎌田栄治、 宮川康裕、大村美樹、薛宏美、安藤さくら
何しろ場所が明治座だし、当然、 座長芝居であることを期待して行ったんですけど、 どうも、なりそびれてしまってる中途半端感が強くて。 『燃えよ剣』自体が、「土方歳三ブラボー!」って 感じの話で、彼が主役で褒め称えてる話だから、 思い切りあざとく、頭は切れて強くて、ピンチに現れ スポット当てられ見得を切る、ぐらい期待してたのに。 でも印象は散漫。原作の使いたい場面をつぎはぎして、 そうしてるうちに時間がなくなっちゃった、みたいな。
周りが小劇場系の人たちですからね、 しかも私が知ってるくらいの有名どころばかり。 だから、見せ場を作ってやりたい気持ちは分かる。 でも例えば、笑うしかないと思った総司の死の場面。 山南の幽霊が出てきて近藤勇の刑死の顛末を語る。 総司の死と、山南のお迎え(=「恨んでないよ」かな)と、 近藤勇の死の顛末と、どれもこれも入れ込んでるから 何に感情移入して観たらいいのやらさっぱりで流れてく。 これって舞台的には逆効果になってない?
油小路も、舞台転換と一緒にわらわらと出てきた人が 甲子太郎が御陵衛士として離脱した次第を解説し、 そこに現れた斎藤に「お前が密命を受けて高大寺党に 参加していたおかげで局長暗殺計画が分かった。 そのため甲子太郎を誘い出し殺すことになった」と。 最後に「お前のおかげだ。有難う」と言うために、 本人に向かって今までの経緯を全部説明するのね・・・。 ついでに、そこまで説明しても、知らない人にとっては、 「御陵衛士」と「高台寺党」が別物に聞こえるので、 何のことやら分からなかったと思うのですけど(苦笑)
一事が万事そんな感じで、 出てくる全員の見せ場を削りたくないばかりに、 話の流れを作り出している暇がなくなったという印象。 でも知らない人にとっては、それぞれの場面でいきなり それまで「その他大勢」だと思っていた人が呼ばれて クローズアップされて殺されて、何だったんだ?状態。 鴨に関しては、存在自体を抹殺できたんだから、 他の人や事件もいくつか削った脚本を 書けないわけなかったような気もするのですが。 時間もないし、土方が活躍しない場面は全面カット。 背後の説明が面倒な油小路は伊藤の存在ごとカットとか。
お雪さんと七里の話は続いていたけれど、 彼らは「新選組」というもの自体の流れを追うには 全く関係ないだけに、土方主体ではなく新選組の歴史を 主体としてしまった今回の舞台では本来脇役のはず。 結局、散漫さを増やしただけという感じで、彼らこそ 全部削ってしまってもいいじゃんという印象でした。 『燃えよ剣』であるなら、考えられない感想だよなぁ。
キャストは良かったと思います。各場面は悪くなかったし。 商業演劇らしい笑いを盛り込んだ風間さんのプロっぷり、 少し可愛いけど基本かっこいいに徹していた上川さん、 双方とも単体では満足した。つねさんと深雪太夫を 同じ人に演じさせて「近藤さんは あの顔が好き」と 言わせた処理にも、なかなか感動したし、本当に、 細かい点は良かったんじゃないかと思います。 それだけに、処理不足の本が勿体ないと感じました。 あと、セットも少し疑問。試衛館を筆頭に、建物の柱が ほとんど全部ステンレス製に見えるのはどうかなぁ? 暗転も、1幕はほとんどなく そこだけは感動してたけど 2幕以降は「待たされてる」感が長い商業演劇化。
あ、でも、初明治座で、しかも幕間お食事までして、 「今日は贅沢に観劇なのよ♪」気分は楽しかったし、 もしかしたら、そういう雰囲気中心に楽しむつもりで、 やたら舞台に集中せず気楽に見るようにしていれば、 全体のまとまりより場面ごとの面白みを追求した 感じのある散漫さは成功とも言えるのかもとも。 物語より雰囲気を楽しむ芝居という意味では、 まさしく商業演劇だったのかもしれないです。
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