検索HPなどから飛んでこられた方へ。このページは最新です。
お手数ですが目的のものは、日付を確認の上、BNリストからお探しください。

今日の私
BNリスト昨日明日


2003年10月04日(土) 加藤健一事務所『詩人の恋』

またネタバレしてます。
それから、寝坊して30分遅れた感想です。すみません。

作:ジョン・マランス
演出:久世龍之介
出演:加藤健一、畠中洋
時間:1幕65分、休憩15分、2幕50分だったかな?

壁にぶち当たった元・天才ピアニスト(畠中)が
薦められて老いた声楽教授(加藤)の元を訪れたところ、
「詩人の恋」の歌のレッスンをさせられることになる話。
わが道を行く教授とピアニストとのやりとりに、たくさん
笑わされながら、2人の心の通っていく様が自然に見えてくる。

父に言われ、初めてユダヤ人としてナチスの行状を見てきた
ピアニスト。彼に対する教授の態度に、むしろ泣かされる。
オーストリアの90%がナチスの党員であったということは勿論、
「川の端」という名前の教会(だったかな?)が、川の端に
ないということまで挙げてはウィーンは嘘ばかりだと言い、
僕はドイツ語では歌わないと頑なに言うピアニスト。
部屋にはクリムトを飾り、それでもドイツ語は、
自分にとっての母国語でもあると使い続ける教授。
大きな悲しみと大きな喜び。ピアニストに足りなかったもの。
それを探し、少しずつ変わっていく姿が歌にも表れていたし、
2人とも役柄にも似合って、セットも作り込まれて素晴らしく、
バランスと安定性が見事。珍しいほどに良質の舞台でした。

で。この後は、私の非常に我がままな気持ち。

なのに。観終えて思うのは、あと一声、何か欲しい。
遅刻しておいて、偉そうに言えたものじゃないとは思うけれど。
実は、カトケンさんの舞台っていつもそうで微妙に苦手なのですが、
畠中さんの2人芝居だし、連れもいるし、行ったんです。
結果。非常に良質で、人に自信もってお勧めもできる。けれど。
いっぱい笑って涙まで流して満足のはずが、残らないのは何故?
ウェルメイドの良さというのは、非常に良く出来ていて、
後を引いて残らないってことらしいから、それなんだと思えば
いいのかもしれないけど、下手に重い話を扱ってるだけに、
「本当に残らなくていいのか?!」と私が思いたいだけなのかな。
観終えて重くのしかからず、教授のように生きていけるためには、
自然に、いつかふと思い返せるくらいの舞台がいいのかな?

後もう一個。カトケンさんにも畠中さんにも関係ない点で。
予てより疑問。ユダヤ人はユダヤ人にしか心許せないものなの?
以前、『扉を開けて、ミスター・グリーン』という舞台を観た時も
相手もユダヤ人であるということが重要なファクターとなって、
頑なな人間が心を開いていく部分があり、大きな抵抗を感じました。
『扉を開けて…』の方は、作者もユダヤ人だったらしいので、
余計にそう思ったのですが、今回の作家さんはどうなんでしょう?
日本人にとってみれば、同じ町の出身で、同じ店を知っていて、
小学校が同じというぐらいの親しみがあるものなのかなぁ・・・。



面白かったり共感したら、押して下さい。
ランキングに反映され、かずきが やる気を出します。

MyEnpituに追加する
かずき |MAILHomePageつぃろぐ