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2003年07月04日(金) 『ハムレット』(野村萬斎)←21時修正済

すみません・・・。
ここを更新してから出かけたつもりが、
肝心の感想なし、キャストリストだけだったようです。
出先でメール見て慌てまくったけど訂正もできず、
ダッシュで帰ってきて、今から慌てて書き直します。
でも、下書きに使ってたテキストは捨てちゃってるし、
もう少し時間かかるかも。すみません。(19:41記)

現在、20:56。書き直しました。お騒がせしました。


<幕>1幕:2時間、休憩:15分、2幕:45分
<翻訳>河合祥一郎
<演出>ジョナサン・ケント
<会場>世田谷パブリックシアター
<出演>
  野村萬斎(ハムレット)、篠井英介(ガートルード)、吉田鋼太郎(クローディアス)、
  中村芝のぶ(オフィーリア)、増沢望(レアティーズ)、横田栄司(ホレイシオ)、
  植本潤(劇中妃)、壌晴彦(ポローニアス)、津嘉山正種(亡霊・劇中王・墓堀)
  大森博(オズリック)、大友龍三郎(マーセラス)、沢田冬樹(ローゼンクランツ)、
  大川浩樹(ギルデンスターン)、品川徹(司祭)、鈴木豊(フォーティンブラス)、
  廣哲也(隊長)、朝廣亮二(レナルドー・前口上)、松川真也(フランシスコ)、
  鍛冶直人(バーナードー・ルシエーナス)、時田光洋(役者・紳士)、
  アンサンブル:伊藤顕弘、平尾陽三郎、伊達裕秋、藤沼剛


面白かった。・・・というか、興味深かったというのかな?
ハムレットと悩み苦しむことをさせてくれない『ハムレット』。
心情的には私はクローディアス寄りですね、どちらかというと。
狂ってしまって、放置すると方々に害をなしそうな義理の息子を、
どうすれば、なるべく妻を苦しめず、騒乱の種とせずに葬れるか?
なんて、一緒になって しみじみ考え込んじゃうくらい。

下手すると、前王ハムレットよりクローディアスの方が、
まともな王様なのかもと思えてきてしまうのも すごいですね。
極端なことを言えば、前王は勇猛で対外的にはすごかったが、
国内政治的にはイマイチで、国民にも愛されていず、
クローディアスは苦しみ悩んだ末に、兄を倒した可能性もある。
しかし、ただ1人、ファザコンの だめだめ王子だけは
父が忘れられず、母の裏切り(パパ第一の彼にとっては)を
きっかけに、とうとう自分の世界に閉じこもってしまったって感じかな?
もちろん、ちっともハムレットを大切に思ってるように見えない
ホレイシオは、王家をのっとるために幽霊騒ぎを利用しただけと(笑)
あの嘘くさいホレイシオがフォーティンブラスを手玉に取るなんて、
あまりに簡単すぎて笑っちゃうって感じのラストだったし。

だから、悲劇の王子なんて どこにもいない。
どちらかというと悲劇なのは、周りの人々の方かも。
笑いも担当してていくれた、人が良くお節介なポローニアスと、
特に何も考えてなくて、王子様に言い寄られれば幸せだし、
お父様とお兄様に怒られたら大人しく従うだけのオフィーリア、
かっこいいけど、物事の裏を読まずに人を信じるレアティーズ。
ちょっとイっちゃってる学友を、今の環境から引き離す役目を
請け負っただけで(王の命に対する多少の打算はあったとしても)、
命まで取られてしまう、ローゼンクランツとギルデンスターン。

この辺の人たちって、何で自分が死ぬことになったのか、
死んでも良く分かってなさそうで、何とも言えない気分。
あ、レアティーズは自分なりの解釈で納得してそうだけど(苦笑)
今日の観劇の目当てだった増沢さん、前回観た舞台では、
本当に誠実で素敵なホレイショーを演じてくれていたというのに、
今回は愛すべき騙されやすいバカ者で、ちょっぴり悲しいかも。

寛大な目で見れば、今回の舞台においては、
ガートルードやクローディアスだって、ハムレットの被害者。
確かにクローディアスは兄である王を殺したんだし、
ガートルードも、夫の死後、その弟との結婚は早すぎたかもしれない。
でも、彼らはそれなりに、自分の罪に対する罪悪感を抱えて生きている。
ポローニアスが殺害直前の、ガートルードとハムレットの場面なんて、
息子の激昂ぶりは、まさに彼女にとっては罰だったんじゃないかな。
彼女、怯えて見えましたから。自分の罪が招いた息子の狂気に。
クローディアスだって、殺害を決意するまで悩んだんじゃないかなぁ。
「ハムレットを次の王に」という言葉が、いつになく真実に聞こえたし。

・・・とまぁ、随分と違う感じの『ハムレット』を観ました。
気に入ったのは、クローディアスにポローニアス。
まぁこの舞台なら、気に入って当然の立場の人たちですが上手かったし。
ホレイシオに関しては、ハムレットへの愛情が全く見えなかったのが、
意図的なのか単に演技が上手くないからなのかが、最後まで不明。
オープニングの亡霊のシーンなんて、あまりのたるさに熟睡しかけたし、
ハムレットとホレイシオの場面は苛々したから下手だったのかな?
あと、ローゼンクランツは個人的に気に入りました。上手だな〜。
「銅像」フォーティンブラス(この形容は観た人だけ笑ってください)の
この国の人とは違う単純で現実的な感じも、よく出てたと思う。

あと、男性ばかりで演じたことについて最後に書いておくなら、
実は観ている最中は、何も気になりませんでした。声も動きも、
普通の女の人が演じてるのと同じくらい本当に自然に女性で。
でもこうやって思い返してみると、今回の舞台では全く、
「恋」とか「母性」とか、女っぽい感情は感じなかったように思う。
オフィーリアだって、ちっともハムレットに恋してなくって、
自分を守るはずの2人が、殺し殺されたのがショックだったようだし。
もしかしたらこれも、感情移入を制限する手段の1つだったのかな。

最後に。美術は、そういうの好きな人には必見かも。
箱をモチーフにした赤を多用したセットと衣装。
パンフレットを読む限りでは私にその意図は伝わらなかったし(^^;、
私の感じた演技たちとは多少のズレもある意図だけれど、
それでも、美しいことと豪華なことは誰の目にも確かです。



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