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2002年11月22日(金) 『My Rock'n Roll Star』観劇

今まで観てきた中で一番、完成度は高いかな。
長塚ワールドに似合わぬ安定感があって、
その分、毒が薄くてストレートさが目立ったけれど、
それもまた、Parco劇場という場に合っていたし。
長塚圭史作品を観ようと気負って行っていたら、
少し肩透かしだと感じたかもしれないけれど、
疲れ果ててボロボロで行った身には気持ち良い舞台。
しまったなあ・・、これはもう一度観たかったかも。

でも、何を置いても、長塚パパは受け付けなかった。
役者としての長塚圭史はダメと思っているけれど、
そのダメな部分がそのまま年を食っている感じ。
妙な癖があって表面的で、いかにもつまらない演技。
オープニング、下着姿で出てきて情けないオヤジの姿を
見せる辺りなんかは、テンポの悪さにイライラしたし、
途中でも野際陽子さんとの場面になるたび退屈したし。
同じような演技でも、圭史くんの演技はいつも、
それなりに味があると感じるのに、パパはダメなのは、
脚本や演出のせいかもしれないのだけれど。

その野際さんは、思ったより良かったです。
単体で笑いのテンポを取ったり、長塚京三の演技の
まずさをカバーできるほどではなかったけれど、
基本的マジメな演技をきっちり見せてくれて好感。
ただ、最後の最後で盛り上がっている場面で、
息子の太(中山祐一朗)に駆け寄ろうとした瞬間、
スリッパが脱げたら、思い切り素で履きに戻って(^^;
表情や上半身は演技を続けてるのに、足元だけ素。
あぁ、舞台の人じゃないなあと醒めてしまったり。

主たる2人がその調子なのはマズかったけれど、
他のキャスティングは、最高に合っていて良かった(^^)
猫背椿@小百合は出た瞬間に舞台を変える力があったし、
山内圭哉@美崎森のかっこ良さったら、半端じゃない!
自分は遊ばれているだけだと分かっていても、
捨てられるのが怖くて言い出せないと言う、
小百合の気持ちが、ものすごくよく分かる。

でも、男の趣味が悪いという知留子(京野ことみ)が
惚れる相手としては、趣味悪くないよね?と思った。
もしかして、自分の弱さを語っちゃう卑怯さが、
そのロクでもない部分に当たるのかな?とも思うけれど、
私から見るとそれは、私と長塚圭史の共通点でしかない。
「火事になった時、必死でギターを守る小百合や、
その小百合を守る太からギターを奪い取って逃げた」と、
自分はダメな男だと わざわざ言う美崎森の言葉は確かに
聞く側から言えば「言って欲しくなかった」言葉では
あるかもしれないけれど、私にとっては何でもなくって。
「何があってもライブにだけは来る」という、小百合が
惚れてる部分を、先に聞いて共感しちゃっていたせいかな?
単に私の好みだからというだけの話もあるけれど(苦笑)

猫背@小百合が良かった。山内@美崎森が良かった。
本の完成度も高いと思うし、だから、もう一度観たいと思う。
でも本当はもっと家族の部分で、また観たいと思いたかったな。
多分、長塚圭史の分身としての役割を最も背負ったであろう、
中山@太が、ペットを次々と死なせてしまう事に分かるように、
何かに対して愛情を注ぐことが うまくできない父親と、
コミュニケートしようとしてできない切なさも よく見えたのに、
エンディングが心に迫ってこなかったのは、本当に残念です。
多分それが一番、長塚圭史の書きたかったことだろうにね・・・。



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