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2002年09月25日(水) 『検察側の証人』

この舞台は私にとって、キャストを書かないと意味がない。
というわけで、まず予備知識として主なキャストリスト。

<演出>山田和也、<脚本>アガサ・クリスティ
ローマイン:麻実れい、レナード・ヴォール:河原雅彦、
ジャネット(住み込みの家政婦):松金よね子、
検事:升毅、判事:筒井康隆、ハーン警部:増沢望
検死官:有馬光貴、弁護士秘書・血痕鑑定人(2役):桂憲一、
弁護士ウィルフレッド・ロバート卿:古谷一行
メイヒュー(裁判の代理人?):伊藤正之、秘書:神戸みゆき
高越昭紀、塩川健司、水野江莉花、
角川裕明、加藤英雄、やまざきかお


このキャスト陣を見て、色々な事を思う人がいると思う。
私がチラシを見た瞬間の最大の衝撃は、
「総代がクリスティだと?!しかも、麻実れいと夫婦!!」。
他のことなど ぜーーーんぶすっとんで、まずはそれだった。
「この人の演技でクリスティができるわけがない」。
これは動かしようのない確信で、私を劇場に動かしたのは、
何よりも怖いもの見たさであったことは否定できません。
勿論、この作品そのものも好きだったし、増沢さん出るし、
クリスティ作品における山田和也演出は気に入っていたけれど、
ほとんど、ジェットコースターかお化け屋敷に入る前のように
さあ、妙なものを観てやろうじゃないか!気分が最大で。

1幕は、案に相違ずという感じ。
河原雅彦の、何とも形容しがたい うにゅうにゅした動きは、
固さ真面目さが売りのような「ル・テアトル銀座」で、
山田和也演出のクリスティ作品で、やっぱり浮きまくり(泣)
古谷一行の科白は やはりこもってるし、神戸みゆきの声は
どうにも聞き取りにくいし、伊藤正之はいいけど地味。
増沢さんが出てきた時には万歳したいほど待ち焦がれてた。

で、2幕。・・・・何が起こったかと思いました。
なぜ私には河原雅彦が好青年に見えてきた?!なぜ?!
1幕でロバート卿たちが言う、女性や陪審員受けは良いとか
好青年とかの表現が上っ滑りしまくっていたレナードはどこ?

どうやらこの人、下半身が見えないと、すごく良いんです。
ずっと被告席にいて、ほぼ胸から上しか見えないでいると、
好青年に・・しかも、金髪が映えてイギリス人の好青年に見える。
ちょっと動きが大げさ気味なのも、外国人らしさを加味。
「Oh, No!」とか言ってそうに見えてくるから不思議。
ディートリッヒを髣髴とさせるような硬い美貌の妻に対して、
「君のことが分からない!!」と訴える彼の姿には思わず、
この人ってば、こんな誠実で良い人なのに可哀想・・・なんて、
思わず同情して涙して、無罪に一票入れたくなってしまったり。
思う壺にはめられている自分がいて、その事実に驚きパニック。

目に見えて光っていたのは、上半身だけの河原雅彦(苦笑)と、
イギリス人にとっての「ドイツ人」は こうだろう!ってほど
とことん黒と硬さを前面に押し出した、妻役の麻実れい。
こういう人っているよーっ!と笑ってしまうほど上手く、
クリスティ世界に溶け込んでいた、松金よね子の家政婦。
筒井&古谷は、下手とまでは言わないけれどという感じで、
升毅は検事のカツラをかぶっても、恐ろしく升毅のまま。
増沢望は出番が少なかったけど、きっちり良い出来の演技で、
実は今回 最も山田演出に合った人ではないかと思わされて。
髭とトレンチの着こなしが、ダンディ&ブリティッシュ。

前回に続けて、宝塚に小劇場、TV芸能人にアニメ系と
異種格闘技戦を行った結果は「まあまあ」という感じかな?
もう一度是非!と思うには、インパクトに欠けるし、
(いや、2幕の総代だけでも十分な衝撃と言えるか(^^;)
クリスティ&山田和也の割には、ウェルメイド感が低くて
最後も若干、冗長な演出で歯切れが悪いと感じたし。
面白かったです。もう少し総代ファン続けようかと思った。
既に買った人は観に行って吉。買ってない人は買わなくていいよ。
そんな印象の芝居だったかもしれません。
・・・いや私、幕見半額券があったら、2幕だけもう一度観たいですが(^^;



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