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2002年05月14日(火) 久々の青年座、『湖底』観劇

途中から、あれ?という展開になってきて、
最後には、登場人物たちが、生きてるのか死んでるのかという
ごく基本的なことすら、確信が持てなくなってしまいました。
でも、それを悩んでいるかというと、そうではなくて、
そんなことは関係ない段階で、気持ちよく観終わっていた。
変だなあ?生きてるかどうかって、すごく大切なことなのに。
でも多分、命の問題じゃなくて、魂のレベルで、
生きているかどうかが問題だったからなのかな?

本当は、難解な話なんだろうという気がします。
今日は青年座だから、帰宅は遅いぞ!と覚悟して行ったのに、
2時間5分休憩なしという短い舞台。だけど、非常に濃密。
石母田さん演じるトミーは、本当に居るのか?から始まって、
疑問が次々と積み重なっていくミステリー仕立てなのに、
分かってきた気がした辺りで、最初から疑問にも思わなかった
足元が、実は、宙に浮いていたということに静かに気づかされる。
あんまり徐々に静かに知らされるから、それこそ水みたいに
だんだん体に染み込んでいたようで、驚きはしないけれど。

だから、脚本&演出の井上さんがすごいと感じる。
もちろん、役者の演技力もあるからだけれど、
最初の方で指差された時、自分が水面になった気がしました。
そして、最後の方で 皆が見上げた時、はるか上に湖面が見えました。
多分に映像的な言葉と、リアルに作り込まれた校舎のセット、
光と影を多用した照明などが、相当 計算されているんだと思います。
今回、演出家デビューだそうですが、ちょっと信じられない気分。

このエンディングは、観る人によって感じ方が違うと思う。
私は、5人にはやっぱり、生きていて欲しいと思った。
トミーは・・・、皆の幻想の中でのみ生きている気がするけれど。
彼がウサギを殺したことも、5人の記憶の中で変化してしまった
間違った事実なんじゃないかとまで思うのは、甘いかな?
卒業式を一緒に迎えず、湖底に沈んでいるのだろうトミーが、
私たちが生きるために毎日食べる肉や野菜のように、
命の・・・幸せの糧になったんだと思えると、嬉しいです。
きっとこれって、最大に甘々な感想なんだろうなぁ(^^;

周りの人たちの感想とかを横で聞いていると、どうやら
原作には違う所も、削られたエピソードも多々あって、
エンディングも違うけれど、同じ印象を受けるらしい。
どうやっても、日程的に もう一度は観られないので、
これを書き終えたら、買ってきた原作本、読むことにします。
実は、私みたいなミーハーには やたらと嬉しいらしい、
目の前でサインを入れていただいてしまった代物ですが(^^)



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