蛍桜

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Mobile Phone

電話が、怖い
通話ボタンを押すことが出来ない

なぜ、なのかはよく分かっている


怖い電話があった
知っている人からだけど
知っている人じゃないような気がした

叫ばれて

どうしようも、なかった

心の叫びを
受け入れてあげることもできなかった
心の傷を
縫いあわせてあげることもできなかった

そんな私を、
冷たいやつだな、ってその声は言った


それがいつだったのかも覚えていない
だけど雨の日だった
夏だったかなぁ
とりあえず半年や一年くらい前

そんなに前なのに、いまだに思い出して怖くなる
もう、いやだ

電話には、出ない
その人からだけではなく
みんなからの電話に恐怖を感じるようになった


電話をかけてきてくれることに
感謝をしていた
私を忘れないでいてくれることに
感謝をしていた

ずっとどうでもよい感じで
生ぬるくそれを続けていけばいいな、なんて思ってた
昔から私はそんな感じで
いろんな人からの電話を待っていたし
いろんな人との電話を楽しんでいた

だけど今は、
電話が鳴ると心臓が痛い


とれなくて、ごめんなさい

罪悪感も溢れる


怖い
その人が求める私はここにはいない
その人が求める私を演じてあげることも出来ない

自分が冷たいやつだなんてことは
とっくに気づいていた
とっくに知っていたよ



ここまで怯えながら、
人と関わっていかなければならないのか

ダメな自分がそう尋ねる

嫌なことから逃げるばかりの私
きっと、勇気を出して電話をとってみれば
いつも通りの他愛もない話が出来るのに

のに、

もしかしたら、
また助けてあげれないかもしれない
また傷跡を見つめているだけになるかもしれない

もう、やだ
あの傷は見たくない


携帯電話、は嫌い

もう壊してしまいたい


2011年06月05日(日)

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